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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0321
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2008

0424

Vizard (25)

肉親と呼べるものはただ1人だった。

綺麗な母親。

とても子供なんて産んでいるようには、見えなかった。
子供ながらに、自慢だった。
父親がいないことは、別に何も思わなかった。
どうしてお父さんがいないのと言って困らせるような子供でもなかった。
そういうものだと受け入れていた。

親類と呼べるものはいなかった。
寂しいとは思わなかった。
同じ保育園に通う友達が自慢げに彼らの祖父母の話をしたところで、何も思わなかった。
自分には、綺麗で若い母親がいた。

自分へと向けられる母の愛情が深かったというのも気にならなかった理由のひとつかもしれない。
母さえいれば他に何もいらなかった。
彼女さえいてくれれば―。
それは、彼女も同じだったようで…。
彼女に良く似た自分が笑うだけで、彼女も嬉しそうに目尻に皺を刻む。

若い女が1人で幼児を抱えて生活をするのは、並大抵の苦労では語れない。
少しでも実入りのいい仕事をと探していくうちに、夜の仕事に彼女は身を落とした。
自分が眠った後、家を出て、起きる頃に帰ってくる。
寂しいとはいわなかった。
自分がそう言えば、彼女が困るということは分かっていたから。
大好きな母を困らせることはしたくなかった。
悲しみに歪む瞳は、見たくなかった。

母譲りの愛らしい容姿に年にそぐわない聡明さを兼ね備えた幼児だった。
草壁―否、上田 一哉は……。

それでも、休みの日に自分の傍に居てくれる母親に一哉は、普段甘えられない分、その穴を埋めるように存分に甘えたものだった。
疲れているだろうに、彼女は嫌な顔ひとつ浮べることなく、一哉のしたいようにさせてくれた。

自分にも父親がいると知ったのは、何時だったか―。
それは、彼女が亡くなる少し前のことだった。
まるで、彼女が自分がもう少しでこの世からいなくなると悟ったようだったと後から思ったことは数度のことではない。
最初聞かされたとき、自分にも父と呼べる存在がいるのだと不思議に思ったものだった。
ずっと母と2人だったが故に、妙な違和感しか一哉には与えなかった。
嬉しいとも何とも思わなかった。自分には母さえいればそれで満足だったのだから…。
きょとんとした顔で自分を見る息子に、眉根を寄せ、眉尻を下げて、困ったように笑う母の姿が印象的だったことを覚えている。
そして、小さな声で「ごめんね」と謝られたこと。

そのごめんねが何を意味しているのか一哉にはわからなかった。

そして、彼女はそれから幾許も経たないうちにこの世を去った。
動かなくなった彼女は、まるで別物のようで怖かった。
自分が笑っても笑ってくれない。
青白い冷たいモノがそこにあるだけだった。
自分が状況を理解する前に、大人たちの手によって彼女の姿は悲しくも骨だけになった。
それが、母だといわれても一哉には理解できるはずもなかった。
ただ、理解できたのは、自分に向けられる笑みはこの先、一生見ることが適わないということだけだった。

5歳を迎えるまで後、数日という日だった。

母を呼んでも返事はない。
近所の大人が収入の少ない母が一哉のためにと少しずつ蓄えていた金で小さな位牌と遺影だけがひっそりと置かれていた。
写真の中の彼女は、笑ってはいても一哉を見てくれるわけではない。
寂しさは、感じたものの涙は出なかった。
ぽっかりと穴の開いたような喪失感だけがあった。



育てる者のいなくなった一哉の身を周囲の大人が案じる前に1人の男が表れた。
一哉は、男を見ても顔色ひとつ変えなかった。

「私は、君の父親だ」

と口を開いた男に、一哉は父親って何だっけというくらいにしか思わなかった。
しばらくして、母が生前話してくれた存在だと思い出しても、別に驚きもしなかった。
表れた父と名乗る男の手に引かれるまま、一哉は母と過ごしたぼろいアパートを出た。
母の位牌と遺影だけを持って。

しかし、直ぐにそれらは捨てられた。
新しく出来た家族と呼ばれる者たちの手によって――。





父に連れられて到着したのは、今まで住んでいたところとは全く異なる大きな豪華な佇まいの家。
背を押されて入るように促がされ、小さな幼児は足を踏み入れた。
待っていたのは、母とは全く違う化粧の濃い、醜悪なまでに歪めた顔で見る女の姿と自分よりずっと大きい幼児の一哉からしたら、十分大人に見える兄と呼ばれる存在たちだった。皆一様に、女と同じ瞳で一哉を見ていた。
歓迎されてなどいないことは分かった。
母は、妾だったのだ。
当時は、言葉こそ知らなかったが、母が彼らにとってどんな存在だったのか悟った。

「体裁が悪いったらないわ」

開口一番に彼女は言った。

「…」

女の言葉に、父は何も言わなかった。

「大きくなって金銭目的で強請られても困るから、引き取っただけよ。水原に迷惑をかけるようなことだけはあってはいけませんからね。草壁の名に傷がつくわ」

こんな幼児に大人の何がわかろうというのか。
そんなもの女には関係なかったようだ。

「手元に置いて飼い殺しにする方がずっとかマシだから、引き取ってあげただけよ。感謝しなさい」

と母を失って悲しみにくれている筈の幼児に向かって高々に宣言した。
ぎゅっと手にした母の遺影を抱きしめる。
彼女はあろうことか、一哉の小さな腕からそれを乱暴な手付きで取り上げると床に叩き付けた。
ガラスの割れる音がする。
小さく声をあげてそれを拾おうとする一哉に対して容赦なく一哉の頬を肉厚な手で叩いた。
小さな体が床に叩きつけられる。
叩かれた熱が発生すると同時に、一哉の耳にくすくすと笑う男達の声が聞こえてくる。

「弥一。燃やしなさい」
「はいはい」

あっと思ったときには遅かった。
一哉の目の前で薄く笑う美しい、自慢の母は灰となった。
位牌は、他の少年によってゴミ箱へと捨てられた。
それを見ては高らかに笑うもう1人の少年。
泣きはしなかった。
ただ、目の前の女をにらみつけた。
それが気に入らなかったのか。燃えていく写真を満足げな笑みを浮かべながら見ていた女は一哉の視線に気づいた女は、もう一度手を振り上げた。

「あの泥棒猫に良く似たこと。その恩知らずなところも!誰も引き取り手のいなくなったあんたを引き取ってあげた私に感謝したらどうなのっ!礼のひとつくらい言ってみせなさいっ」

その口で飼い殺しと言った癖にそんなことを言う女の矛盾に幼いながら一哉は気づいていた。
聡明すぎたのだ。
そこに居た誰よりも。

そして、父親は何も言わずにその場にいただけだった。

ここには助けてくれる者は誰もいない。
母のように笑いかけてくれる人はいない。
いるのは、敵だ。



「あんな女、死んで当然よ。いい気味!天罰だわっ」

母をあざ笑う女が憎かった。
その笑いがあまりに癪に障って――。

「クソババア」

小さな可愛らしい声が紡いだのは醜悪な言葉。
ピシャリと手が飛んできても泣かなかった。
堪えた。

「このっ…」

頬がはれ上がるまで叩かれながら、母を罵る言葉を聞きながら一哉は誓った。





報いを――。





この醜悪なる人間達に―。
母を見捨て、愚弄し、ゴミと同然に扱った人間達に―。


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2008

0328

Vizard(24)




コンコン。

遠慮がちに鳴らされる音は、今日何回目か。
そして、今のような行為を何日続けたのか。
もう既にわからない。

それでも、意思表示なのだ。
というよりもこんなことでしか、己の意思を表すことのできない自分に嫌になる。

その間にも、ずっと誰かが部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。
綾はベッドに座ったままじっとその音が止むのを待っていた。

するとしばらくしてからその音が途絶えた。
漸く諦めたかと綾が思っていると何やら扉の向こうで言い争う声が聞こえる。
一体、何事かとそちらに目を向けると勝手に部屋の扉が開く。
別に鍵がつけられていない部屋だ。空けようと思えばいつでも開けられる。
ただ、今まで綾の様子を伺いにきてた者たちは、皆綾に配慮して強引に入ってくるような真似をしなかっただけなのだ。

では、綾の意思を無視するように入ってこようとしているのは誰か…。



それは、一哉だった。
いつもの穏やかな表情は立ち消えたすっきりとした美少年を思わせる顔つきで部屋に入ってきて綾を視界に捕らえるとその一点のみに集中する。
綾は、突然入ってきた一哉に驚きに目を見開いて食い入るように彼の顔を見つめた。
開いた扉の向こうには、誰の姿もないことがわかった。
今ここにいるのは、綾と一哉の2人だけ―。

通常なら考えられない光景だった。




一哉、数日間出てくる気配のなかった綾の様子を父から聞き、話しをさせてくれと懇願した。
話をさせてくれれば、彼女を元に戻す自信があると言い切った。
そして、今ここにいる。
もちろん兄の宗司は、自分を差し置いてそんな行動をとろうとする一哉にいい顔をしなかった。
だが、一番の権限を持つ父と、また、何とかこの状況を改善したいと願って止まない綾の父親が許可したことで実現したのだ。




「か…ずや」

綾が小さな掠れるような声で名を呼ぶのと同時だっただろうか。
一哉は乱暴な手付きで部屋の扉を閉めると大股に綾の座るベッドに近づいていき、綾の目の前に立つ。
冷え冷えとするような目で綾の顔を上から見下ろす。

「お前は、一体何がしたいんだ?」

落ち着いた声。
綾は、うろたえた表情で見返すだけで、その問いに答えることはできなかった。
答えない綾に、一哉は続ける。

「また、お得意の我侭か?いい加減にしろよ。お前ひとつの行動でどれだけの人間が迷惑を被ると思ってるんだ?いい加減自覚しろよ。いつまでも我侭ばかり言っていい年じゃないだろうが」

一哉の言葉を聞きながら、綾の瞳には涙が浮かぶ。
綾のそんな表情を見ても一哉は何も思わない。
眉一つ動かさない。

2人の温度差は、むしろ滑稽だ。



何で…一哉までそんなことを言うの…。
どうして、お父様と同じようなことを…。
私の気持ち知ってるんでしょ?


感情の高ぶりと同時に唇がわなわなと震えだす。
それを上から見つめるだけの一哉。

「好き…なの。だから…嫌なの」

だから…。

震える声で言う綾のか弱い訴えを退ける。

「っるせぇ!!」

怒声にぐっと口を噤む。
ぼろぼろと止まらない涙をいくつも零しながら自分を怒鳴りつけた相手を見返す。

「お前の婚約者はあの男だ!いい加減わかれよ!お前の我侭に巻き込まれるこっちの迷惑も考えろっ!」
「けど、けど…あたしは…一哉が…あなたがいいの」

大きく溜息が零れる。
はき捨てるように笑うと綾から顔を逸らして頭をかきむしる。
これでは、おもちゃが買ってもらえなくて駄々をこねてる子どもと一緒だ。
欲しいものが手に入らないから、意地でも手に入れようとする。

「お前は、何がしたいんだよ」

苛立たしげな一哉とさめざめと涙を零す綾。

「あたしは…、一哉と……一哉と一緒に」
「……わかった」

綾に全ての言葉を言わせなかった。
言う前に遮った。
一哉は頭においていた手を下ろして、顔を綾に向ける。
一哉の言葉に驚いたように自分の顔を見てくる綾の視線を真っ直ぐに受け止める。

「わかった…期限付きでお前の我侭につきあってやる」
「ぇ…」

小さな声で聞き返す。
だが、彼は言い直すことなどせずに続ける。
表情はさきほどから何一つ変わらない。
それどころか、どんどんと面倒くさそうな表情を隠しもしない。

「但し、お前のことは好きにならない。期限がきたら終わりだ」

それ以降、口を閉ざした一哉を何度も瞬きを繰り返しながら綾は見返す。

いつまでもこんな茶番を繰り広げられたら迷惑千万。
それならいっそのことと咄嗟に考えた上での言葉だった。
綾が食いついてくるか、それともそんなことじゃ嫌だとさらに我を通してくるかはわからなかったが、このまま平行線を辿るよりずっとましだろう。
一哉が言い出さなければ、きっとこの我侭な彼女は言い続けただろうから――。

「どうするんだ?」
「それって…」
「お前の恋人を演じてやるって言ってるんだ。期限はお前が飽きるか卒業までだ。こっちの条件は、期限がきたらとっとと大人しくあの男と結婚しろ。今度は、どんな我侭も認めない」

ごくりと綾の喉が上下に動く。
表情は変化してもうんともすんとも言わない綾に、一哉は苛立ったように続ける。

「どうする?これが嫌だというのなら、お前の護衛から外れる」

綾が選ぶのは、ひとつしかなかった。

「わ、わかった。それでもいい…」
「今度こんな真似してみろ。即座にお前のところから離れていくからな」

それは、軽い脅迫に似たものだった。
一哉がそう言えば、綾が頷くことは明白だった。



馬鹿な女だ……。俺みたいなヤツのどこがいいんだか……。



「じゃあ、期限がくるまでお前が望むような恋人を演じてやる。満足か?」

聞き返して、部屋を出て行こうとした一哉に綾が、「待って」と声をかける。
まだ、何か言うことがあるのかと振り返った一哉に綾は懇願する。

「その間…他の人と付き合わないで…」

眉一つ動かさない一哉の答えをじっと待つ。





「それが、お前の望むことならな」

とだけ答えて一哉は、部屋を出ていく。
無事説得したと父と主でもある綾の父親に告げるために――。





期限付きの恋人がいつまで続くのか。
綾が飽きるのが先か、それとも卒業を迎えるのが先か。

どちらにせよ。
それは、仮初の姿にすぎない。
思いは一方通行。



どこまで耐えられるのだろうか…。

どちらがかとは問わないでおこう…。問うほうが、無粋というもの―。
それは時間の経過だけが教えてくれるものに違いない。

 

2008

0327

Vizard(23)




声を張り上げて、自分に触れようとする男を突き飛ばした後は、ただひたすら逃げることに集中した。
寝室を飛び出して、部屋を飛び出すとエレベータに乗り込んで一気に地上まで降りる。
そしてホテルを飛び出した。

丁度ホテル前で待機しているタクシーの一台に乗り込むと「早く出して」と急かして、家までタクシーで帰った。
財布なんて持ってなかったが、家まで着けば誰かが出てきて支払う。

だが、最初に綾を見た使用人の一人はひどく驚いた顔をした。
そして、何事かと出てきた父親も綾の姿を見て驚いたような表情をしてみせた。
それで綾は、理解した。
最初から、決まっていたことだったのかもしれない。
あの男も言っていた。

「お父様!ひどいわっ!!」

と詰ってみるものの、既にもとの状態に戻っていた父親は肩を竦めてみせるだけだった。

「何がひどいというんだい?」
「何でこんな私の意志を無視したようなことをするわけっ!?」

廊下で父親と対峙したまま激昂したように声を張り上げる綾に父親は冷静だったが、使用人たちは慌て、はらはらとした様子で父と娘のケンカ―一方的に綾が怒っているに過ぎないのだが、その光景を見守る。

「いずれは、夫婦になるんだよ?時期が早いか遅いかだけだ」
「嫌よ!」

はっきりと口にした。
綾の目には、感情の高ぶりを表すかのように涙が溜まっている。
幾分か高い位置にある父親をぐっと強い眼差しで睨みつける。

「綾…。何が嫌なんだい?」
「あんな男と結婚しなくちゃいけないことよっ!もう嫌!!」

叫ぶように言い切ると綾は、父親に背を向けて2階の自室に向かおうとする。
慌てたのは、父親の方だった。

「綾!待ちなさい。何が嫌だというんだい?」
「何もかもよ!」
「無茶を言うんじゃない!子どもの我侭もいい加減にしなさいっ」

だが、いつもなら自分に甘い父親は、いつになく厳しい顔つきでぴしゃりと言い放つ。
こんな風に大きな声で父から厳しい言葉を言われたことはなかった。
綾の怒りはすとんとどこかへと消えてしまう。というよりも父の覇気にあてられてどうしたらいいのかわからなくなったという方が正しいかもしれない。
驚愕に見開かれたままの瞳で父を見る。

「綾。いい子だ。わかっているだろう。彼の家は、今後の水原の発展には必要なんだよ。わかっておくれ」

綾に近づいてきて、彼女の身体に大きな手を伸ばして抱きしめる。

そんなの分からない。
分かりたくもない…。
私の気持ちは、そんな家と引き換えにしたらそんなちっぽけなものなの――。
どうでもいいことなの――。

言葉に出せずに心の中で何度も繰り返す。
自分ではない他人の温もりを感じながら、綾は嗚咽を漏らしながら涙を流す。
但し、自分を抱きしめる父に縋るようなまねはしなかった。それは、一種の意地だった。
なけなしの意地。





朝、家を出ようとしていた一哉は、父親に呼び止められる。
同じ家にいながら滅多に声をかけてくることのない男の声に、一哉は驚きを覚えつつも平然とした顔で父親と向かいあう。

「何でしょうか?」
「今日は、お嬢様はお休みされるようだから」
「…何故ですか」

単なる風邪ということも考えられたのに、何故かこのときは父にそう聞き返してしまった。

「お前が知ることではない」

と言ったのは、兄の宗司だった。

父と自分の会話に割り込むように入ってきた兄の顔をみて、一哉は彼が何かを知っていると悟った。
そして、理由があって綾が休むということも――。
良くも悪くも勘がいい男だった。草壁 一哉という男は―。
恐らく4人の兄弟の中で一番だろう。

「まぁ…、一哉にも無関係というわけじゃあるまいし…」
「父さん!」

父の兄を諌めるような声に、宗司は納得がいかないとうように声を張り上げた。

「何か理由があるのですか?」
「いや、昨日の夜。突然、お嬢様が婚約をなかったことにして欲しいと旦那様に詰め寄ったらしい。今日も朝から塞ぎこんでて学校には行かないと…」

ドキンと一度大きく心臓が脈打つ。

自分が無関係だとは言えない内容だった。

「旦那様は何と?」
「勿論、そんな我侭は通用しないと言い聞かせて、お嬢様もそれ以上何も言わなかったから納得したように思ったらしいのだが…。朝になると食事にも降りてこないし、部屋から出てこないらしくってな」

同様を悟らせないように取り繕って父親に問えば、彼は困ったように息を吐き出しながら事の次第を話してくれる。
同時に父の横に立つ兄の顔を伺えば、苦虫を噛み潰したような顔。

「部屋の閉じこもってしまわれたのですか?」
「ああ。何か知っているか?一哉」
「いいえ。私は、何も」

といつものように軽く受け流す。

「だろうな…。旦那様もどうしたものかと頭を悩ませているようで…参った。まぁ、兎に角今日は、お嬢様は学校には行かないそうだから。そういうことで頼む」

そういうと父親は、もう用はないとばかりに一哉に背を向けてどこかへと消えていく。
一哉が父に軽く頭を下げて見送った後、顔を上げると疑わしい視線を向けている兄の存在に気づく。

「何でしょうか?」
「…お前、本当に何も知らないのか?」
「ええ。申し訳ありません。何も…。学校では、いつもどおりのご様子でしたから」
「フン。役立たずめ」

といらだたしげに告げると乱暴な足取りで兄の宗司も一哉の目の前から去っていく。
父にしたのと同じように頭を下げて兄の姿を見送りながら、一哉は床に向けた顔に渋面を刻んだ。
ぎりっと奥歯を噛み締め、同じように拳を強く握る。

自分とは無関係ではない―。
寧ろ、間違いなく自分の存在が、彼女にそれだけの暴挙にでる口実を与えたのは間違いなかった。
苦々しい思い出一杯だった。

確かに、最初から決められた婚約者との結婚を望んでいない節があったのは確かだ。
しかし、まさか―。
というところが一哉の正直な思い。



自分にいくら好意の感情を寄せられようとも無駄だというのに―。

そんなもの向けられても邪魔で鬱陶しいだけだ。




人の感情ほどあてにならないものはない。



くだらない。




迷惑。





それ以外の言葉は見つからない。
もし、綾が自分のことを口にしようものなら、自分の身が危ない――。

今までは、言うなら言えと彼女に言ってきた一哉だったが、それは決して彼女がそんなことを口にするはずがないという自信があったから言えた言葉。
だが、今はどうだろうか。
ひどく危険な気がした。
言いかねない。

直感に過ぎないのだが、何となく思った。





冗談じゃない。
苦労して積み上げてきたものが一気に崩されるなんて溜まったものじゃない。
それが相手の気まぐれなら尚更のこと――。
 苦々しい表情を取り繕うことも忘れて、一哉はどうするべきかと頭をフルに回転させて考えた。

 

2008

0325

Vizard(22)



痛い。
苦しい。

伝わらない――。





一番、振り向いて欲しい人に振り向いてもらえない。



目の前で繰り広げられる光景を少し離れた位置から見ることだけが、自分に許されたこと。
きっと分かってやってる。
見られていると分かってやっている。
それくらいは、分かる。
女の方は気づいてないかもしれないが、男の方―一哉は、間違いなく確信犯だ。

きゅっと唇を噛み締めてカバンを持つ拳にも力を入れてぎゅっと握る。
綺麗に整えられた爪が手のひらに食い込む。

物陰に隠れているように見えるが、綾の下駄箱の位置からは、丸見え。
あえて狙ったような場所は、きっと一哉が選んだに違いない。

綾の視界には、互いの身体を密着させる2人の姿。

「すみません。来たようなので」

という若干低い声が聞こえてきて、女の背に隠れた一哉が発したものだとわかる。
女は、別段困らせる様子はなく、身体を彼から離す。

「仕方ないわね。じゃあ、また後で」
「ええ。すぐ戻ってきます」

と笑いながら顔を寄せる。

一部始終を綾は見ていた。

唇を押し付けあった後に離れていく2人の姿。
軽く笑いながら自分へと近づいてくる一哉。
ただ、待った。待っていた。待つことしかできなかった。

「行きましょうか?お嬢様」

それは、まるで彼からの忠告のように思えた。
自分と彼の距離は、それ以上でも以下でもないのだと…。

それは、当然なのかもしれない。
彼は言った。


憎いと――。


先を行く一哉の後ろを追いかけながら、片隅で一哉と触れ合っていた女をちらりと確認する。
相手も綾のことを見ていた。
別に何も感じる必要などないのに、綾は、気まずくてばつが悪そうな顔をして彼女から目を逸らした。
だから、気づかなかった。
彼女が嘲笑を浮べていたことなど…。

後少しで、自分の正規のボディーガードである宗司の待つ場所へと到着する。
綾は、ぐっと拳を握りなおすと意を決したように口を開いた。

「あ、あんなところで…恥ずかしくないのっ!」

だが、出てきた言葉は何の可愛げもない詰る言葉。
何故、自分はこういう風にしかできない。

先を行く一哉の足が止まる。
くるりと振り返ると人目もある所為か…にっこりと笑って「ええ」と答えた。

「最低よ」
「じゃあ、あなたも最低ですよ」

顔は笑っているのに、目は笑っていない。
綾がぐっと言葉に詰まっていると彼は言う。まるで、綾に言い聞かせるかのように。

「そんな人間を好きだといったあなたも最低の人間でしょう?……なんなら、兄に報告してもらって結構ですよ。そちらの方がこちらとしても清々します。これで心置きなく遊べますから」

くるりと背を向ける。もう綾には、見向きもせずに先に歩いていってしまう。
綾は遠ざかっていく背中に声を張り上げる。

「嫌よ!宗司には言わないんだから!!」

きちんと聞こえているはずなのに、一哉はなんの反応も見せない。
少しくらい動揺してくれてもいい筈なのに…。
何で、自分ばかりがこんな思いをしなければならないのか……。
自分を兄の手に送り届けた後、待たせている彼女と何をするのか。どこへ行くのか。知りたくても聞けない。
近くにいるのに遠い。

何でこんな惨めな思いを……。

それでも、離れたくないのだから仕方がない。
必死だった。
どれだけ相手から煙たがられても少しでも一緒にいれる時間をと必死だった。

それは、惨めなまでの健気さ。
どうしていいかわからなくて悩んだ挙句の稚拙な答え。

それ以外の何物でもなかった。





「お嬢様。到着いたしましたよ」

宗司の声にはっとして顔を上げる。
直ぐ傍には、ドアを開けて顔を覗き込ませている宗司の姿がある。
慌てて、綾は近くにおいてあるカバンを掴むと彼の身体を押し退けて車から降りる。

「あ、ありがとう」
「いいえ。堺様がお待ちです」

背後から掛けられた声に綾の身体がぴたりと硬直する。
恐る恐る振り返る。

「何で?」
「さぁ、私のような下の者には、理由までは聞かされておりませんが」

父親が手を回して自分が卒業するまでは、極力干渉をしてこないという話になったのではないか…。
今の綾にとって会いたくない人物。
さらに動揺を増加させる人物。

動けないでいると宗司が近寄ってきて、綾の背中に手を添えて軽く押す。
力は入っていないはずなのに、その力に流されるようにして玄関へと向かって歩き出す。
玄関に入りそのまま自室へと逃げる時間も与えられずに、客間へと通される。
そこには、堺だけでなく、父親の姿もある。

「あ、帰ってきたね。おかえり、綾」
「た、ただいま。お父様。…なんで、堺さんが…」
「いや、今日はどうしても綾と一緒にというものだから、綾もいつも自分のわがままばかりではなくて、彼の言うことも聞いてあげたらどうかな?」

と理解のあるような台詞を言う父を動揺した瞳で見返す。
すぐに堺が座っていた椅子から立ち上がって近寄ってくる。

「綾さん。行こうか?」

嫌だという拒絶の言葉を言う前に客間から連れ出される。
父親の「気をつけて行っておいで」という言葉を背に受けながら綾は手を引かれるままにまた再び外へと連れ出された。
外に出ると一緒に家の中に入ってきたはずの宗司が車の後部座席の扉を開けて待っている。
そのまま後部座席に押し込まれるようにして入ると続けて堺も入ってくる。
後部座席の扉が閉められて、運転席に宗司が座ると車が発進する。
どこへ向かっているのかと綾が尋ねる間もなく、堺が綾の手を強く握った。思わず身体が跳ねる。
綾の反応に堺はくすりと笑うと綾の手に唇を落とす。
寒気すら覚える気障な行動。

「今日はね。どうしても君と一緒にいたかったんだ」
「……」

という彼の言葉にを実行するべく連れてこられたのは、ホテルのレストランだった。
その前には、制服のままだった綾の着替えをする為に高級ブティックにも足を踏み入れた。
正装して、向かいあう2人の姿は、まさに一組のカップル。

「何で、僕が今日君に一緒にいてほしいって言ったかわかる?」

わかるはずもない綾は、正直に首を振る。

「寂しいな。夢中になっているのは、僕だけなのかな」

少し目を伏せながら言う彼の姿。
取り繕うように言葉を発する。

「そ、そんなことは…」
「まぁ、いいよ…。今日は、僕の誕生日なんだ。だから一緒にいてくれるよね?」

有無を言わせない雰囲気があった。
嫌な予感はしていた。
宗司は既にこの場にいなかった。

ただ、運ばれてくる食事を食べることでその嫌な予感というものを振り払おうと必死だった。
これが終われば、解放されるのだからと言い聞かせて―。





フルコースの食事を食べ終えて、漸く帰れると安堵した時だった。
綾がホテルの外に出ようとするのに対して、「違うよ」という声がかかる。
ぞわりと身体中に纏わりつくような声だった。
立ち止まった綾の腰に手が回される。
それは、太くごつごつとした男の手で、決して自分が触れて欲しいと願った手とは異なっていた。あの細く綺麗な手ではなかった。

「今日は、こっちだよ」

と引かれるままに向かった場所は、上の階へと行くためのエレベータ。
そこにあるのは、宿泊するための部屋だ。

「そ、そんな…お父様にも」
「お父上には、僕のほうから伝えてあるから心配しなくても大丈夫」

綾の逃げ道を塞ぐように堺が答えるとまるでタイミングを見計らったかのようにエレベータのドアが開く。
その小さな箱の中に押し込まれて、向かった先は最上階。
スイートと呼ばれる部屋。
尻込みをする綾など全く気にすることなく彼女の身体を部屋の中に案内する。
そのまま向かったのは、寝室。
激しく脈打つ綾の身体。
動悸がすぐ耳の傍で聞こえてくるようだった。

ここで……。このまま……。

嫌。

想像もしたくない。

何で。何で…。

と何度も心の中で繰り返す。
俄かに身体が震え始める。
それは、これから自分の身に起こることを考えての反応だ。

「大丈夫。怖がらなくていいよ」

と耳元で囁く男の声に鳥肌が立ち、ある明確な意思を持って自分に触れようとする手に吐気を覚える。
気づいた時には、叫ぶようにして相手の身体を突き放していた。

「嫌っ!!」

まさか綾からの抵抗など考えていなかった男は、突き飛ばされたままベッドの方に倒れた。
男の身体が自分から離れると同時に綾は部屋を飛び出していた。

 

2008

0225

Vizard(21)



一哉は、中等部の校舎にある自分の教室へと戻る最中、心中穏やかではなかった。
辛うじて顔の筋肉は取り繕うことができたが……。

冗談じゃない。
寒気がする。

好きだという言葉。

ぴたりとそこで足を止める。
後方を振り返る。

そして、おおよそ自分らしからぬ行為に舌打ちをする。

頭にちらつくのは、最後に背を向ける瞬間に目にした泣き顔。

自分が気にする必要などない。
今まで、散々人を振り回してきた報いだと思えばいいのに、頭に彼女の姿がちらついて仕方がない。
何で、自分がこんな思いをしなければならないのか…といくら考えたところで答えは出そうになかった。
頭を軽く振って、脳裏に浮かぶ人の姿を追い払うと再び、教室に戻ろうとして足を踏み出した。

いつになく乱暴な足取りで自分の教室まで戻ってきた自分の教室の前に立つ高等部の女子の制服を着た彼女の姿にぴたっと足が止まる。
向こうも一哉に気づいて少し俯きがちだった顔をぱっと上げるとはにかむように笑って一哉に駆け寄ってくる。

今日は厄日かよ――。

人当たりの良い表情を浮べた裏で一哉は忌々しげにそう呟いた。

「一哉」

遠慮がちにかけられる声も一哉を刺激する以外の何物でもない。
ぴくりと眉尻が動いたことに近寄ってきた彼女は、今まで会うことのできなかった一哉に会えたことの喜びを感じている彼女には、気づくはずもなかった。

一哉は、手を伸ばせばすぐ触れられる距離にいる彼女の顔を上から見下ろしながら、こいつか…と心の中で思った。



綾に余計なことを吹き込んだのは――。
余計なことを――。
しかも、ここまでのこのこと現れるとは―。



舞いあがっている彼女は、一哉の侮蔑を含んだ視線にも気づかなかった。

「全然、会えないから…」
「…そうですか」

会えないのではない。
会わないようにしていたのだから―。
もとより、もう彼女は用済みだった。
最初から自分に秋波を送り続けていた彼女は、利用しただけなのだ―。
自分の仕事を円滑に進めるため、綾の弱みを握るために…。
一哉は、彼女の名前すら碌に覚えていなかった。必要なくなったと同時に、記憶から追い出した。捨てたのだ。
それなのに…。何を勘違いしているのか。

これだから、甘やかされて育ってきた人間は困る。

そんなこと一哉が思っているとは知らない。寧ろ、自分と同じ気持ちのはずと思っているに違いなかった。
彼女は、一哉の顔を見つめるとそれが彼女の一番自信のある表情と仕草なのだろうか。
俄かに首を傾げて、軽く微笑む。

「2人だけで話がしたいわ。いいでしょ?」
「……ええ」

と頷いて、手を引かれるままに人気のない場所へと移る。

さて、どうやって追い払おうか…。
あくまでも自分の本性を悟られてはいけない。
見ず知らずの相手だったら、何も躊躇うことはないのだが…。
この場で彼女に地を晒すことは一哉にとっては危険だった。

しかし、ただ追い払うだけでは気がすまない。
綾に余計なことを吹き込んでくれたことに関しては、報復をして然るべきだろう。

人気のないところについて、辺りを確認した後、彼女は両手を広げて一哉に抱きつく。
頭の彼の着やせする胸に押し付ける。

「会いたかったわ」

だが、一哉は何も言葉を返さなかった。
それだけではなく、彼女の身体に腕すら回さなかった。

いつまでたっても望のものが得られないことに不審に思った彼女が顔を上げて一哉を見返す。

「一哉…?」
「何でしょう?」
「抱きしめてくれないの?」
「どうしてですか?」
「え…」

彼女の身体から力が抜ける。
背中に回されていた腕から力が抜けだらりと落ちる。
怪訝な表情で見返してくる彼女の顔を一哉は、薄笑みを口元に湛えてまま悠然と見返した。

「こんないつ人に見られるかわからないところで、そんなことするなんてはしたないですよ」

彼の言葉にかっと紅潮させる。

「だ、誰もこないわ!それに…見られたって困らないわよ」
「いいえ、困ります」
「何で困るの?私達は、恋人同士でしょ?」
「…そうやってお嬢様に言ったんですか?僕とあなたが恋人同士だって…」

という問いに彼女は口を噤んだ。
じっと見つめるような一哉の視線から、逃げるようにして顔を背ける。

「約束だったでしょう?お嬢様には…」
「だって、綾が悪いのよ!私とあなたの間を邪魔するからっ!綾は知ってたんだわ!だから私にあなたを合わせないようにって。ねぇ、そうでしょ?私には、本当のことを言って!いつも困ってたでしょ?綾ってば凄く我侭だし」

自分んお言葉を遮るような彼女の言葉を眉一つ動かさずにじっと耳を傾ける。
聞くに堪えない嫉妬まみれの言葉を聞きながら心の中で彼女のことを嘲笑していた。

「…醜い」

ぼそりと呟くように言われた言葉に、彼女は大きく目を見開いた。
くすりと笑ってみせる一哉をまるで信じられないものを見るような目で見返す。

「良家の子女がみっともないですよ?約束は約束です。それが守れなければ僕は、あなたとお付き合いすることはできません」
「だっ、だって仕方ないじゃない。綾が問い詰めてきたのよ?」
「どちらにせよ、あなたが言ったんでしょう?それに……」

眼光を鋭くして彼女の顔を見返すとぐっと身体を退く。

「ご婚約が決まっている方とは、お付き合いできませんよ。僕は…」
「な、んでそれを…」

驚愕の表情を浮べる彼女に一哉は、くすくすと笑って「では…」と言って彼女から離れていこうとする。
しかし、離してなるものかと彼女が縋る。

「待って!あなたが望むなら破棄にするわ!ねぇ、だから」
「僕は、そんなこと望んでおりませんよ。どうぞお幸せに」

最後まで、柔らかな表情を浮べて一哉は言い捨てるとその場を後にした。
そして…帰ってからするべきことを頭の中で組み立てる。
全ては自分の身を守るため。

そして、自分との約束を反故にしたうえに、余計な火種を作ってくれた彼女に報復をするために―。

最後まで、よくも面倒ごとを残しておいてくれたものだ…。
自分が切り捨てたときに大人しく引きさがっていれば良かったものを――。





――それから数週間後、彼女の姿は、学校から消えた。





家の倒産とともにそれが告げられたのだ。
何、ここでは、珍しくもないこと。

まことしやかに流れている噂によれば……。
婚約が決まっていた家の相手を怒らせて、婚約が破棄になっただけでなく倒産にまで追いこまれたということ。
理由は、婚約が決まっているというのに他の男と何度となく逢瀬を重ねていたということ。
当人は、知らないの一点張りだったが、証拠がすでに相手方の手に届いていたのだから分が悪い。
しかも―相手がさらに悪かった。
自分のところよりも格下の相手だったら良かったのだろうが、残念なことに、相手は数段格上の相手。彼女の生家が太刀打ちできるはずがなかったのだ。
そして、姿を消した。





「過ぎたる欲は、身を滅ぼす……。ふん。バカな女め……だが、予想外にも時間がかかったな」

とその噂をどこからか耳にした一哉は小さく独り言を呟いた。
横にいた友人が耳を掠めた音に「何か言ったか?」と聞き返したが、軽く笑うだけで「何も」と言い返すだけだった。





真実は、闇の中。





恐ろしいのは、人の欲か。
それとも、それを利用しようとする人の心理か…。

そんなことは、どうでもいいこと。
平穏な生活が戻ってくればいいのだ。



一哉は、いつもどおりの日常の自分を振る舞いながら日々を過ごした。
時折、自分へと向けられる綾の視線を感じながら――。

彼は、何もできた人間ではない。
それに、苛立つ時もある。
そういう時は、わざと見せ付けてやるのだ。
他の女との自分の行為を。
彼女の傷つくような表情には、気づかない振りを続けた。
そんな日々が続いていた―。

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