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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0320
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2008

0423
涼子からその日のうちに深岬の携帯に謝罪のメールが入った。

『今日はゴメンね…』

という簡素なものだったが、深岬も同じように言い過ぎたと謝りのメールを入れた。
その後の返事はなかったが、恐らく大丈夫だろうという確信のようなものはあった。
深岬のその考えは間違いじゃなく、次の日からは普通に過ごしていたと思える。
当初は、ぎすぎすしたような空気が2人の間には、流れていたが時間が解決してくれた。



そして、時間はもう一つの変化をもたらした。

「彼女できた~」

と間延びした声で言うのは津田 旭その人だ。
でれっと笑いながら言うのは、ココに深岬しかいないから―。
いつものように深岬を誘って買い物に来たのはいいのだが…彼女がいると分かっていたのなら深岬は、津田と2人でこんなところには来ない。
そもそもなんで深岬が津田の買い物に付き合わなければならないのかという疑問が浮かんでくる。
ご飯を食べようといわれて適当に入ったファミリーレストランの机の下で脛を思いっきり蹴り上げると悲鳴があがる。

「いたいっ!」

―痛いじゃないっつーの。

「彼女できたなら早く言えっつーの。分かってたらあんたに付き合って買い物なんかこなかったのに…」
「何で?」
「何でじゃないわっ!このウスラトンカチ」

一応声は抑えてはあるものの、深岬の顔はこわばっていた。
しかし、津田は何故深岬がそんな怖い顔をしてそんなことを言うのか分かっていない様子で、首を傾げている。

「あんたねぇ。彼女からしてみたら、自分以外の女と買い物に行くなんて言語道断よっ。私、嫌だからね。いらぬ嫉妬浴びて迷惑被るの!本当に!マジで!勘弁っ!!」

食事を中断して端を握り締めて言う深岬の剣幕に津田は、飲まれるようにして頷く。

「う…うん」
「分かったのならよろしい」

津田が頷いたのを見てふぅっと息を吐き出しながら椅子に座りなおす深岬。
やはり、どこかずれてると思わずにはいられなかった。

いずれ、どこかで会うだろうなと思いながらも津田の彼女が自分のことを誤解しなければいいが…と淡い期待を寄せながら中断していた食事を再開する。
それと同時に涼子がどうでるかなと思ったりもした。





しかし深岬の予想は外れ、その後深岬が津田の彼女に会うことはなかった。
それどころか当初はもう少し疎遠にはなるだろうと思っていた深岬だったが、津田との時間が減ることもなかった。
そんな様子に深岬は首を傾げずにはいられないのだが、これが津田の付き合い方なのかもしれないと口に出すのは止めた。

講義の後は、深岬達と時間を過ごすし、昼ごはんのときも一緒だ。
キャンパス内を歩いていると声を掛けられるのも前と変わらない。

「旭クン」
「ああ。小西サン」
「ねぇ、最近、彼女できたって本当?」
「本当」

最近の話題は専らこれだ。
今日、声をかけてきた彼女も今までの声をかけてきた者達同様の話題を吹っかけてくる。
その度にどれだけ顔が広いのかと言いたくもなるが、声をかけてくる津田の知り合いは毎回のように横にいる深岬を意味深な視線で見つめるのだが、すぐに津田が彼らのそんな視線に気づいて否定する。

「深岬ちゃんじゃないよ」
「えー?てっきり一緒にいるからそうかと思っちゃった~」
「深岬ちゃんは友達」

などと言ってくすくす笑うその笑いの意味に気づかない深岬ではなかった。
特に女に限ってそれが顕著だ。男の場合、仕方ねぇなというような意味合いを込めた苦笑だったが、女の場合それが明らかな嘲笑に変わる。
声に出して、「やっぱり?」という者もいれば含みのある笑いをするだけの者もいる。
最初の頃こそ、一々頭にきていた深岬だったがそれが何度も続けば慣れるというもの。
最近では彼女達が去っていった後に謝ってくる津田が鬱陶しく感じるほどだ。
彼女達は、気に入らないのだ。自分みたいな取り分け美人でもない十人並みの女が津田の傍にいることが―。

「ゴメン」

いつものように津田に話しかけてきた人物の姿が見えなくなった後のお決まりの台詞。
深岬は一瞥をくれてやるとぴしゃりと言い放った後にヒールの音を鳴らして津田を置いて先を歩く。

「あんたが謝る必要なし!」
「はい…でも…」
「五月蝿い。あんたってどんだけ顔が広いの?」
「いやー、見たことあるなぁって程度の子もいるんだよ?でも向こうが声かけてくるから…」
「あ、そ」

聞けば聞くほどまるで自分は、声をかけてくる者たちのことは興味ないというように―何だかひどい台詞に聞こえなくもない。
深岬は聞いておきながら適当に返事をしてつかつかと先を歩くとすぐに慌てて追いかけてくる。

「待ってってばぁ」

無視して先を歩いていると走って追いかけてきた津田が深岬の前に立ち、にたりと人の悪い笑みを浮べてぼそりと呟く。

「焼餅?」
「帰る」

冷たい一瞥とともに言い放つ。

「ごめーん。もう言わないから待ってくだしゃい」
「知らん」

と言い捨てても後を追ってくるのだから仕方ない。
津田が追いついたところで立ち止まって相手の顔を見上げる。
深岬の真っ直ぐの視線に戸惑いながらも視線を合わせる。

「彼女、文句言わないの?」
「へ?」
「私みたいのがうろちょろしてるって知って文句言わないのって聞いてんの。あんた、付き合う前と付き合った後も全く変わらないんだもん。もっと彼女と過ごしてやれば?」
「やだよ」

深岬の苦言に津田はきっぱりと答えた。
自分が間違っているのかと思えるほどはっきりとした答えだった。

「深岬ちゃんとの時間減らしてまで会う彼女なんかいらない」

その台詞に深岬が盛大に顔を顰めたのは言うまでもない。

「あんた、それ変!」
「どーして?」

びしっと指を指して断言した深岬に不思議そうな顔をする津田。

―こっちがそんな顔したいっつーの!

と心の中で叫ぶ。

「私だったら絶対嫌っ!」
「えー」

津田の眉間に皺が寄る。

「考えてもみなってば…おっかしいでしょ?ただの友達と彼女どっちが大切?」
「深岬ちゃん」
「だから私じゃなくて…」

どうやって言えば相手に上手く伝わるかと深岬が少しイライラしながら言葉の選択をしていると落ち着いた声が聞こえてきて、深岬はゆっくりと相手の顔を見た。

「彼女は別れたら終わりだけど、友達は違うでしょ。だから、彼女より友達を優先するの」

真摯な津田の表情に毒気を抜かれたように深岬は言葉を失った。
ただ呆然と自分の顔を見てくる深岬に特に気にした様子を見せることもなく、薄く笑いながら「行こう?」と言われてしまい、深岬は頷くしかなかった。
その後、津田が付き合い方を変えるということは全くしなかった。

この数日後、漸く深岬は津田の彼女に出会うことになった。
同じ大学の4年生。
最初に向けられたのはあからさまな敵意で辟易したものだった。
だが、それは津田 旭という人物の友人をやっている限り切っても切り離せないものなのだろうと諦めることにした。
なんだかんだで友人というポジションを気に入ってるのも事実なのだから――。
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