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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0320
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2008

0421
「あれ…珍しい」

ぎりぎりで教室に滑り込んだ深岬は、そこに津田と涼子の姿がないのを見て小さく零した。
津田がいないことはままあることだが、涼子がきていないのは珍しかった。
そんな日もあってもおかしくないかと深岬は、適当な席に座った。
津田の友人達は相変わらず固まって座っていたようだったのでその近くに腰を下ろした。



遅刻でもしてくるのかと思ったが、結局2人は講義終了まで出てくることはなかった。
講義担当の准教授が出て行った後、昼をどうしようかなどと考えながら立ちあがるとふいに声をかけられる。
その声に振り返るとそれは、津田の友人達だった。
最近は行動を共にすることが多かったので、不思議なことではない。

「飯どうする?」
「どうするって学食でいいじゃん」
「3コマないし、外いかね?」
「ああ。まぁいいけど…」

という具合に今日の昼はいつもの学食から外に変わった。

「どこ行くの?ラーメン?定食?」
「進藤さんのチョイスって何だか俺らみたい…」

彼らからの指摘に深岬が立ち止まって考えてみると自分の口から出てきたのは、津田と行ったところばかりだった。

「そう?津田と行ったところばっかなんだけど?」
「あいつと?そんなところに?」

何もおかしいところはないのだろうと深岬は思うのだが、彼らは互いに顔を見合わせている。

「何か変?あいつ意外に安くておいしいところ知ってるのよねー」
「そんなにあいつと行ったりしてるの?」
「んー。そんなに回数は行ってないと思うけど…基本学食なんだけど急にあそこに行きたいとか言い出すから…。そのたびに面倒くさいって言うんだけど、奢るとかなんとか言ったりして譲らないんだから。頑固なのよ頑固」

きっと津田のことをこんな風に言うのは、深岬だけだろうと彼らは思う。

「奢ってもらえるなら行けばいいんじゃない?」
「何で奢られなきゃいけないのよ。あいつもおかしいのよ。女の子にはそうして当然だと思ってたとか言うし。ばっかじゃないのー」

けたけたと笑いながら深岬は先に教室を出る。
その後を津田の友人達が追いかける。

「さぁどこ行くの?」
「マックでいい?」
「うん。いーけど」

案外あっさりと行き先は決まり深岬と津田の友人の3人、合わせて4人で大学近辺にあるファーストフード店に向かう。
昼時ということもあり、深岬達と同じように学食に飽きたか或いは、時間に余裕があるからか外に食を求めた学生達が多くいる。
適当なメニューを選択して、あらかじめ取っておいた席に座る。
最初は、雑談交じりにハンバーガーを食べていた深岬だったが、大方食べ終わりセットメニューのポテトを摘みながら何気なく聞いた。

「今日、アイツは?」
「津田?」
「うん」
「さぁ?」

深岬が知らないように彼らも津田が来なかった理由は知らないようだった。
知らないのかと思ってまた食べることに集中しはじめるのだったが…。

「でも、あいついなくて良かったな…津田がいたから俺らなかなか話せなかったんだよな」
「あいついっつも進藤さんにべったりで睨みきかせてるからな」
「睨みなんかきかせてないわよ」

否定しながらも急な彼らの言葉に首を傾げながら3人を見る。
既に食べ終えていた3人は、深岬をじっと見つめる。
6つの瞳に見つめられるのは、何だか落ち着かない。

「何よ?」
「進藤さんって津田のことどう思ってるの?」
「は?」

突拍子もない問いに深岬の目がまんまるになる。
手にしたポテトを食べようと開いたままの口で固まる。

「津田は、『深岬ちゃんは友達』って言ってるけどさ。進藤さんは、津田のことどう思ってるのかなぁなんて。ほら、あいつってば男の俺らからみてもいい男だからあんなのに懐かれて恋愛感情…」
「ないわよ」

皆まで言い切る前に深岬はばっさりと言い捨てる。

「私も津田と同じ。アイツは友達。だって、私、他に好きな人いるし」

深岬が答えてポテトを口に含んでいると3人は顔を見合わせた。
そして、すぐに深岬に向き直る。
それが何だか気持ち悪い。

「何?まだ、何かあるの?」
「じゃあさ…もう少し涼子ちゃんに協力してあげてもいいんじゃない?」

1人が発した言葉に、他の2人がうんうんと頷くのを見て、「こいつらこれが狙いか…」と漸く悟った深岬だった。
おせっかいか、頼まれたかは深岬には判断はつかないが…。じとりと3人の顔を睨む。
涼子のことを呼ぶのも苗字でなく、名前だ。いつの間にこんなに親しくなったのか―。
少なくとも数日前まで、苗字で呼んでいたはずだと記憶している。

「あのさぁ、あんた達津田の友達じゃないの?」
「そうだけど?」

深岬の記憶している限り津田が彼らを友達と思っているかどうかは甚だ疑問だが…。
彼らはそのように思っているようだった。
口に出して答えたのは1人だけだったが、表情から伺うに他の2人も同様だろう。
何を聞いてくるんだという顔つきまでしている。

「津田が涼子のことどう思ってるか聞いたことある?」
「そんなの聞くまでもないだろ?」
「あんな可愛い子に好かれて嫌な思いする男なんていないだろ?」

―お前らバカか…。

と口にしそうになったのを深岬は堪えて心の中でとどめておく。
しかし、表情までは繕いきれなかったようで、深岬は引きつった顔をしていた。
そんな深岬に彼らのうちの1人がいう。

「進藤さんが津田のこと好きだって言うなら涼子ちゃんに協力しないのもわかるんだけどさぁ」
「そりゃ、ライバルだったら嫌だろうし…」
「そうじゃないんならもうちょっと協力的になってあげてもいいんじゃないの?」

代わる代わる尋ねてくる彼らに深岬の眉間に皺がよる。
しかし、彼らは深岬の変化に気づいていない。
涼子のための行動に酔いしれてるのかもしれない。困っている彼女のために何かしてあげているという自分達に―。

「見返り何?」

声のトーンを下げて言った深岬にぎょっとしたような表情を見せる。
深岬はそれだけで確信した。
涼子に頼まれてこうやって自分に言ってきたのだと…。
そして、涼子からは何か見返りがあるのだ。

「何言ってんの?」

その惚けたが怪しい。
一度、そう思ってしまうと何もかもが疑わしく見えてくるから不思議だ。

「いや、最近の涼子ちゃんがあまりに可哀想で…」
「慈善事業?」
「さっきから何言ってるの?」

深岬の挑戦的な表情と言葉に今度は彼らの表情が曇った。

「涼子に何言われたか知らないけどね。あんた達、津田の気持ちも汲んでやったらどうなの」
「そういう進藤さんは涼子ちゃんの」
「私、涼子だけの友達じゃないの。津田とも友達なの。言いたいことあるなら、私に面と向かって言えって言っといて。裏から手を回すような汚い人間に協力してあげるほど優しい人じゃないの。私」

最後ににっこりと笑って言い捨て、立ち上がるとまだ食べかけのトレーを持って、その机から離れる。
彼らの視線に気づいてはいたが振り返ることはしなかった。

気分は最悪―。
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