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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0320
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2008

0412
寝ぼけ眼でキャンパスの構内を歩くのは、ついさっきまで乗っていた電車で寝こけていた所為もある。
通学時間2時間以上かかる深岬にとって1コマの授業ほどつらいものはない。
朝は5時半起きになる。
眠い目を擦って適当にご飯を見つけて食べる。
見つけてというところがポイントかもしれない。
母親が起きているときは、何か作って貰えるが起きていない時は自分で作るあるいは昨夜の残り物を探して食べてから出て行く。
顔を洗って化粧をして出て電車の中では足りない睡眠時間を補うようにして規則的な振動音に揺られながら眠る。

「あー眠い」

誰に聞かせるわけでもなくぼやく。
余計に眠くなってくるのは気のせいだろうか。
朝からテンションの高い奴を見ていると無性に腹が立つのは気のせいだろうか。
これが一般教養などの授業なら、もうすでに大学という空間に慣れてきた身。無理して出てくることはない。
しかし、専門教科はそうはいかない。
中には、専門教科だろうが一般教養の科目だろうが一向に構わずでてこないという強者もいるが、もともとそこまで成績も頭もいいというわけではない深岬には、ずる休みをするという選択肢は存在しなかった。
とろとろと歩いて教室に向かう。
電車の時間という電車通学の者には切っても切り離せない時間の制約というものがある。
一本遅い電車だと遅刻になる上に、この科目の教授が嫌がらせかといつも深岬は思うのだが、最初に出席を取るために遅刻ができない。
しかも出席簿を回して自分のところをチェックするならまだしもいちいち名前を呼ぶのだから尚更質が悪い。
従って、このクラスに女子学生は深岬と涼子の2人しかいないために代返は不可能となる。
鬱々とした気分のまま教室までの道のりを歩いて目的の教室に漸く到着する。
人もまだまばらだ。
後方の席の一つに座り、体を机に伏せて憎き教授がやってくるまでの数十分の間、眠ることにした。

深岬は、肩を遠慮がちに叩く指に覚醒した。
耳に入ってくるのは、ざわざわとした人の話し声。
それにもうすぐ授業かと思いながら緩慢とした動作で体を起こすと自分の肩を叩いてきた人物のいるであろう方向に目を向ける。

「おはよう」
「…はよぉ」

相手の言葉に返すように言うと軽くメイクが崩れない程度に目を擦る。
顔を確認するまでもなく声で相手が誰だかわかるのだが、はっきりとした視界に飛び込んできたのは、今日もばっちりとメイクが施されて綺麗に着飾った涼子の姿だった。
何となく退いてしまうのは何故だろうか。
めっきり苦手意識ができてしまったのか。それとも、本能的な反射だろうか。

「どうしたの?」

深岬の反応に気づいたのか小首を傾げながら聞いてくる姿は、何の悪意も感じられない。
悪意があったらあったで困るのだが。

「別に…なんでもない」

と深岬が答えたところで教室内に教授が入ってきたので涼子もそれ以上、何も言わなかった。

矢鱈と板書の多い講義で、また書くスピードも早いのでノートを取るのに必死になるので自然と授業自体は静かだ。
中には、早々に放棄して睡眠学習に入るものもいたがそれでも大半の学生が真面目にノートを取っている。
深岬もその中の1人だった。
逆に涼子はもう既に放棄している。
横目で確認した彼女は、詰まらなさそうに肩まで伸びた綺麗に巻かれた髪で指遊びをしている。

そんな彼女を見ながら、そう言えば昨日の飲み会は結局どうなったのだろうと思ったが、自分から聞くのも何だか気が引けた。
津田からは『ひどいよ』と深岬を詰るようなメールが届いていたが、無視をしたのは自分だ。
思い出したように教室内に津田の姿を探すがそこに彼の姿はなかった。
元々サボり癖のある男だけに特に気にも留めなかった深岬だった。

ほぼ90分間ペンを握っていると流石に疲れる。
いつもこの講義が終わった後はどっと疲れが押し寄せてくるのだ。
大きく息を吐き出した深岬がカバンに教科書とノートを閉まっていると横から手が出てくる。

「ノート貸して?」
「……いいよ」

涼子の言葉に苦労して取ったノートを差し出す。
少しは自分で努力しろよと思わない深岬ではなかったが、それは敢えて顔に出さなかった。

“僕を利用する人達”

津田の書いた文字が頭を過ぎる。
深岬が津田の友人だと思ってた人物達が津田を利用する者だというのならば、涼子はさしづめ深岬にとっての自分を利用する人なのかもしれない。
その思いが強くなるのは、それから直ぐのことだった。

「今からノート写すから…ちょっと早いけどお昼も兼ねて学食いかない?」

そう言われて別に断る理由もなかったので頷いて2人ですぐ近くの食堂に向かう。

「コピーじゃないの?」

コピー機という文明の利器があるのに、何故そんなわざわざ面倒な方を選ぶのか深岬には不思議でならなかった。
いつも涼子がコピー機を利用しているのを知っているだけに余計に―。
大体、授業中にノートを取るのを諦めたからこそ深岬にノートを貸してと言ってきたのではないか…。それなのにどうしてだろうと思うのだったが、まぁすぐにノートを返して欲しいというわけでもない。
気になったから一応聞いてみたのだが…。

「うん。コピー代も莫迦にならないし、それに途中まで書いてるから~」

軽く言いながら食堂に入り、適当な席に座る。

早速ノートを写し始める涼子だったが、その時間ははっきり言って深岬には何もやることがなく暇な時間でしかない。
退屈だと思いつつも面と向かってそんなことは言えないので、黙って見ていた。
綺麗な女の子らしい字で書き取られていく文字をただ追いかけていた。

退屈だなぁと思いつつ学食の中をきょろきょろしても面白いものは見当たらない。
そんな深岬に気づいたのだろう涼子が顔を上げて済まなさそうな顔をして顔の前で両手を合わせてくる。

「ゴメンね。急いで終わらせるから」
「いい、いい。別にやることあるわけじゃないから」

そうやって言われてしまえば、深岬はそう答えるしかなかった。
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