更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き.
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2008
それからというもののおいしいものを食べても、楽しいはずの会話をしていても何をしても気分が乗らない自分がいる。
話は合わせる程度。
食事も咀嚼するだけで、味なんてうろ覚えだ。
「どーしたの?」
その声が自分にかけられたものだと気づくまでに時間を要した。
自然と下がっていた顔を上げるとそこには、野坂がいた。
手には、酒の入ったコップが握られている。
同じものが深岬の目の前にも存在している。
場所は、宿泊する安いホテル。
そのうちの一室で恒例の酒盛りだ
部の人間が集まって飲みに発展しないほうが彼らにとって異常だ。
今も、アルコールが入ったことで異様に騒いでいる者が数名。まだ、それほど酔っていないものは、大人しく飲んでいたり、すでに酔っ払っている者にさらに酒を飲ませたりと各人がやりたい放題。
そこへ入っていけるほど深岬の気分はいいものではなく。
最初、やめとくと言って自分達に割り当てられた部屋で寝てようと思ったのだが、同室の雪子に引っ張られるようにして連れてこられた。
どうも浮かない表情をしている深岬を心配してか始まったばかりの頃は深岬の横にいて大人しく飲んでいた雪子だったが、常に飲んでは騒ぐ中心人物といえる彼女が大人しくしていられるわけもなく。
気づけば、騒ぎの中心に居て他の者と浴びるように酒を飲んでいる。
そこには、坂上の姿もある。
野坂の声に顔をあげた深岬だったが、取り繕うような笑みを浮べたが、それは見事に失敗していたようだった。
「何でもないですよ」
「坂上?」
「え…と」
そこで、はっきりと違うといえればまだ良かったのかもしれない。
しかし、悲しいことに深岬は言葉に詰まってしまった。
それほど飲んでいないとは言え、アルコールの影響も手伝っているのかもしれない。
「やっぱり」
苦笑を浮べながら深岬の横に腰を下ろす。
野坂の動きを深岬はただ目で追いかけることしかできなかった。
彼の顔が赤くなっているのは、アルコールの所為だろう。
深岬は、悲しいかなどれだけ飲んでも顔色が変わらないタイプの人間だ。
「車で何かあったの?」
答えに逡巡してしまう。
野坂は、深岬の気持ちを知っている。
困ったように野坂を見て、少し離れた位置で騒いでいる坂上を一瞥してまた、野坂を見る。
不思議そうな表情を浮べてこちらを見てくる野坂をじっと見つめながら、どうせ相手は自分の気持ちを知っているのだからいいか…と思いぎゅっと噛み締めて閉じていた唇を開いた。
それでも言い出すまでには、時間がかかったのだが野坂は、急かすこともなくただ黙って待っていてくれた。
「…あったというか……別に坂上さんは悪くないですよ…私が勝手に落ち込んでるだけだし…」
「そうなの?俺は、てっきり何かされたのかなぁなんて思ってたんだけど」
「いや…福田さんと坂上さんの会話で…」
「何?」
「坂上さんの女癖の悪さと彼女ののろけ話を聞かされただけなんです。ほんと、ただ…それだけで」
「ショック受けちゃった?」
「のろけ話がちょっと…」
「そうか…」
聞き出したはずの男は、頷くだけで何も言ってはこない。
しかし、寧ろそれが深岬にとって心地よかった。
下を俯いたままの深岬の頭にそっと大きな手が触れる。
童顔な顔つきも手伝ってか見た目はひょろひょろとしているように見える野坂だが、その体躯にはしっかりとした筋肉がついている。
以前、練習後にふざけて「脱げば私、凄いんです」などと言って上半身裸になって遊んでいた時に深岬も目にしているのだが、その身体つきは筋肉質な身体である。
外見にそぐわない大きくて無骨な手にひどく安心感を覚えて、不覚にも泣きそうになる。
ただ、事実を聞いただけだというのに―。自分に落とした影は大きい。
分かっていたはずなのに―。
そんな自分が嫌になる。
のろけ話を聞かされたショックとそれに一々反応して落ち込んでいる自分への苛立ち。
感情のコントロールがうまくできないはがゆさ。
「てっちゃーん!!浮気はいかんよ浮気は!彼女に報告しちゃうよ~」
はしゃいでいる者たちとは一線を隠してどこか重たくシリアスな雰囲気を纏っていた深岬と野坂だったが、それは見事に1人の男によってぶち壊された。
大きな声で叫んだ後、下を向いていた深岬の上にどっかりと体重を乗せてくる。
自分より10キロ以上は重たい男の身体に当然、そんなものが降ってくるなんて思いもしなかった深岬の身体は前のめりに崩れる。
小さな悲鳴とともに―。
「うっ…いたっ…」
酒臭い。
上に、頭がビンの角か何かでぶつけたかのように痛い。
「2人でこそこそエロイんだからー」
「重い…」
「もー。俺も混ぜてよー」
男によって潰された深岬の悲鳴など圧し掛かっている男には届いていないようだった。
「福田さん。深岬ちゃん潰れてます」
「あ…」
見かねた野坂の指摘で初めて気がつきましたとばかりに声を発する福田に圧し掛かられていた深岬のネジはどこかへと消えてしまったようだ。
「重たいっつーのっ!!」
力よく身体を起こして上に圧し掛かっている福田の下から抜け出る。
圧し掛かっていた男に向き直るときっと睨みつける。
「人の上に圧し掛かって何を悠長に会話してんですかっ!?」
「怒っちゃやぁよ」
と言って小首を傾げつつウィンクする様は、23、24のむさい男がしてもかわいげのかけらもない。寧ろ不快感そのものだけが残る。
顔を顰めた深岬の眉間によった皺を人差し指でつんつんと押しながらまたもや酔っ払いは深岬の怒りを煽る。
「カルシウム不足かなぁ?牛乳は大事よー。ほらぁ、怖い怖いおばさんになってる。皺増えちゃうよ~」
失礼きわまりない言葉。通常なら軽く笑って流せるものも今の深岬にそんな余裕はなかった。
無言で立ち上がると先輩にあたる男を足蹴にして床に転がすと立ち上がってひっくり返った蛙のような福田を上から睨みつける。
「ああああぁぁぁ!!もうっ!悩んでたのがバカらしいっ!こんなバカ騒ぎしてるところでうじうじ悩む私が悪いってのはわかってるのよっ!」
突然、声を張り上げた深岬に驚いた視線を寄越すのは、何も転がされた福田だけではなかった。
部屋中の視線が深岬へと向いている。水を打ったように静かだった。
しかも、頭に血が上っている深岬は一向に気にした様子もなく、声を張り上げた所為で息があがり、肩を上下させながら息をしたまま転がる福田を見つめる。
そして、彼の右手に握られたボトルに目が行く。
ずいっと足を踏み出して福田に近づくと彼の手からボトルを取り上げる。
そして、ボトルの蓋を取って開けると口をつけ、ビンを一気に傾ける。
中に入っていた液体がどんどんと深岬の胃の中へと消えていく。
「うわっ!それ原液!」
「ああぁぁ!さすがにそれは、ダメだって!」
「深岬っ何してるの~!?」
深岬の突然の暴挙にただ呆然と彼女の行動を見ていた周囲だが、慌てて止めに入る。
取り押さえられるようにして手にしていたビンを取り上げられる。
「こうなったら飲んでやるー!」
「ちょっと、どうしちゃったの?野坂さん何したんですか?」
「俺は、何も…。強いていうなら福田さんだよー」
飄々とした口調で野坂が今だ転がりながら目を点にして深岬を見つめる福田を指差すと全員の視線が福田に向く。
何のことかさっぱり分からない福田は、手を顔の前で何度も振り「知らない」ということを主張する。
「ま、いんじゃない?」
と軽く笑いながら野坂は立ち上がると近くにあったコップを手に取って深岬に差し出す。
「あ、ありがとございます」
礼を言えるくらいには落ち着いた深岬だったが、そこにジュースで割った焼酎を注がれるとそのまま勢いよく一気飲みをしてしまう。
深岬らしからぬ飲みっぷりに上級生達は目を丸くしていたが、誰かが笑いだすと同時に元の騒がしい空間へと戻っていった。
「一体どうしちゃったの?」
時間を置いてそう聞きに来たのは坂上だった。
その時には、雪子を含めて数人の上級生と飲む―もとい飲まされていた深岬は据わった目で坂上をじぃっとにらみつけた後、そのほっぺたをぎゅーっとつねりあげた。
「いひゃい!いひゃい!ひゃんひゃよー」
「いけーもっとやってやれー。女の敵ー」
はやし立てるのは、近くにいた福田だった。
彼は、悪乗りして深岬と同じように坂上の頬をつねり上げた。
元はといえば元凶は、坂上なのだ。
なのに全くそ知らぬ顔でそんなことを聞いてくる相手に多少なりともむかつきを覚えるというもの。
「はい、そこまでー。深岬は、こっちで大人しく飲みなさい。福田さんはそのまま思う存分やってください」
雪子が深岬の手を取り上げるようにして、坂上から引き離しながら言う。
そんな彼女の言葉に、福田が坂上に乗り上げるようにして悪ふざけを開始する。
「まかせとけいっ!」
という言葉と坂上の悲鳴だけが、大きく部屋中に響きわたった。
話は合わせる程度。
食事も咀嚼するだけで、味なんてうろ覚えだ。
「どーしたの?」
その声が自分にかけられたものだと気づくまでに時間を要した。
自然と下がっていた顔を上げるとそこには、野坂がいた。
手には、酒の入ったコップが握られている。
同じものが深岬の目の前にも存在している。
場所は、宿泊する安いホテル。
そのうちの一室で恒例の酒盛りだ
部の人間が集まって飲みに発展しないほうが彼らにとって異常だ。
今も、アルコールが入ったことで異様に騒いでいる者が数名。まだ、それほど酔っていないものは、大人しく飲んでいたり、すでに酔っ払っている者にさらに酒を飲ませたりと各人がやりたい放題。
そこへ入っていけるほど深岬の気分はいいものではなく。
最初、やめとくと言って自分達に割り当てられた部屋で寝てようと思ったのだが、同室の雪子に引っ張られるようにして連れてこられた。
どうも浮かない表情をしている深岬を心配してか始まったばかりの頃は深岬の横にいて大人しく飲んでいた雪子だったが、常に飲んでは騒ぐ中心人物といえる彼女が大人しくしていられるわけもなく。
気づけば、騒ぎの中心に居て他の者と浴びるように酒を飲んでいる。
そこには、坂上の姿もある。
野坂の声に顔をあげた深岬だったが、取り繕うような笑みを浮べたが、それは見事に失敗していたようだった。
「何でもないですよ」
「坂上?」
「え…と」
そこで、はっきりと違うといえればまだ良かったのかもしれない。
しかし、悲しいことに深岬は言葉に詰まってしまった。
それほど飲んでいないとは言え、アルコールの影響も手伝っているのかもしれない。
「やっぱり」
苦笑を浮べながら深岬の横に腰を下ろす。
野坂の動きを深岬はただ目で追いかけることしかできなかった。
彼の顔が赤くなっているのは、アルコールの所為だろう。
深岬は、悲しいかなどれだけ飲んでも顔色が変わらないタイプの人間だ。
「車で何かあったの?」
答えに逡巡してしまう。
野坂は、深岬の気持ちを知っている。
困ったように野坂を見て、少し離れた位置で騒いでいる坂上を一瞥してまた、野坂を見る。
不思議そうな表情を浮べてこちらを見てくる野坂をじっと見つめながら、どうせ相手は自分の気持ちを知っているのだからいいか…と思いぎゅっと噛み締めて閉じていた唇を開いた。
それでも言い出すまでには、時間がかかったのだが野坂は、急かすこともなくただ黙って待っていてくれた。
「…あったというか……別に坂上さんは悪くないですよ…私が勝手に落ち込んでるだけだし…」
「そうなの?俺は、てっきり何かされたのかなぁなんて思ってたんだけど」
「いや…福田さんと坂上さんの会話で…」
「何?」
「坂上さんの女癖の悪さと彼女ののろけ話を聞かされただけなんです。ほんと、ただ…それだけで」
「ショック受けちゃった?」
「のろけ話がちょっと…」
「そうか…」
聞き出したはずの男は、頷くだけで何も言ってはこない。
しかし、寧ろそれが深岬にとって心地よかった。
下を俯いたままの深岬の頭にそっと大きな手が触れる。
童顔な顔つきも手伝ってか見た目はひょろひょろとしているように見える野坂だが、その体躯にはしっかりとした筋肉がついている。
以前、練習後にふざけて「脱げば私、凄いんです」などと言って上半身裸になって遊んでいた時に深岬も目にしているのだが、その身体つきは筋肉質な身体である。
外見にそぐわない大きくて無骨な手にひどく安心感を覚えて、不覚にも泣きそうになる。
ただ、事実を聞いただけだというのに―。自分に落とした影は大きい。
分かっていたはずなのに―。
そんな自分が嫌になる。
のろけ話を聞かされたショックとそれに一々反応して落ち込んでいる自分への苛立ち。
感情のコントロールがうまくできないはがゆさ。
「てっちゃーん!!浮気はいかんよ浮気は!彼女に報告しちゃうよ~」
はしゃいでいる者たちとは一線を隠してどこか重たくシリアスな雰囲気を纏っていた深岬と野坂だったが、それは見事に1人の男によってぶち壊された。
大きな声で叫んだ後、下を向いていた深岬の上にどっかりと体重を乗せてくる。
自分より10キロ以上は重たい男の身体に当然、そんなものが降ってくるなんて思いもしなかった深岬の身体は前のめりに崩れる。
小さな悲鳴とともに―。
「うっ…いたっ…」
酒臭い。
上に、頭がビンの角か何かでぶつけたかのように痛い。
「2人でこそこそエロイんだからー」
「重い…」
「もー。俺も混ぜてよー」
男によって潰された深岬の悲鳴など圧し掛かっている男には届いていないようだった。
「福田さん。深岬ちゃん潰れてます」
「あ…」
見かねた野坂の指摘で初めて気がつきましたとばかりに声を発する福田に圧し掛かられていた深岬のネジはどこかへと消えてしまったようだ。
「重たいっつーのっ!!」
力よく身体を起こして上に圧し掛かっている福田の下から抜け出る。
圧し掛かっていた男に向き直るときっと睨みつける。
「人の上に圧し掛かって何を悠長に会話してんですかっ!?」
「怒っちゃやぁよ」
と言って小首を傾げつつウィンクする様は、23、24のむさい男がしてもかわいげのかけらもない。寧ろ不快感そのものだけが残る。
顔を顰めた深岬の眉間によった皺を人差し指でつんつんと押しながらまたもや酔っ払いは深岬の怒りを煽る。
「カルシウム不足かなぁ?牛乳は大事よー。ほらぁ、怖い怖いおばさんになってる。皺増えちゃうよ~」
失礼きわまりない言葉。通常なら軽く笑って流せるものも今の深岬にそんな余裕はなかった。
無言で立ち上がると先輩にあたる男を足蹴にして床に転がすと立ち上がってひっくり返った蛙のような福田を上から睨みつける。
「ああああぁぁぁ!!もうっ!悩んでたのがバカらしいっ!こんなバカ騒ぎしてるところでうじうじ悩む私が悪いってのはわかってるのよっ!」
突然、声を張り上げた深岬に驚いた視線を寄越すのは、何も転がされた福田だけではなかった。
部屋中の視線が深岬へと向いている。水を打ったように静かだった。
しかも、頭に血が上っている深岬は一向に気にした様子もなく、声を張り上げた所為で息があがり、肩を上下させながら息をしたまま転がる福田を見つめる。
そして、彼の右手に握られたボトルに目が行く。
ずいっと足を踏み出して福田に近づくと彼の手からボトルを取り上げる。
そして、ボトルの蓋を取って開けると口をつけ、ビンを一気に傾ける。
中に入っていた液体がどんどんと深岬の胃の中へと消えていく。
「うわっ!それ原液!」
「ああぁぁ!さすがにそれは、ダメだって!」
「深岬っ何してるの~!?」
深岬の突然の暴挙にただ呆然と彼女の行動を見ていた周囲だが、慌てて止めに入る。
取り押さえられるようにして手にしていたビンを取り上げられる。
「こうなったら飲んでやるー!」
「ちょっと、どうしちゃったの?野坂さん何したんですか?」
「俺は、何も…。強いていうなら福田さんだよー」
飄々とした口調で野坂が今だ転がりながら目を点にして深岬を見つめる福田を指差すと全員の視線が福田に向く。
何のことかさっぱり分からない福田は、手を顔の前で何度も振り「知らない」ということを主張する。
「ま、いんじゃない?」
と軽く笑いながら野坂は立ち上がると近くにあったコップを手に取って深岬に差し出す。
「あ、ありがとございます」
礼を言えるくらいには落ち着いた深岬だったが、そこにジュースで割った焼酎を注がれるとそのまま勢いよく一気飲みをしてしまう。
深岬らしからぬ飲みっぷりに上級生達は目を丸くしていたが、誰かが笑いだすと同時に元の騒がしい空間へと戻っていった。
「一体どうしちゃったの?」
時間を置いてそう聞きに来たのは坂上だった。
その時には、雪子を含めて数人の上級生と飲む―もとい飲まされていた深岬は据わった目で坂上をじぃっとにらみつけた後、そのほっぺたをぎゅーっとつねりあげた。
「いひゃい!いひゃい!ひゃんひゃよー」
「いけーもっとやってやれー。女の敵ー」
はやし立てるのは、近くにいた福田だった。
彼は、悪乗りして深岬と同じように坂上の頬をつねり上げた。
元はといえば元凶は、坂上なのだ。
なのに全くそ知らぬ顔でそんなことを聞いてくる相手に多少なりともむかつきを覚えるというもの。
「はい、そこまでー。深岬は、こっちで大人しく飲みなさい。福田さんはそのまま思う存分やってください」
雪子が深岬の手を取り上げるようにして、坂上から引き離しながら言う。
そんな彼女の言葉に、福田が坂上に乗り上げるようにして悪ふざけを開始する。
「まかせとけいっ!」
という言葉と坂上の悲鳴だけが、大きく部屋中に響きわたった。
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