更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き.
嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック
2008
同期との飲みで振られた話に辟易している管理人です。
付き合う付き合わないなんて当人の勝手じゃございませんこと?
周りに言われるのが一番いらっと来ますね
ただ楽しいから一緒に遊んでるだけなのにさ。
と、私のぐちはここまでにしておきます。
ゴン太ママ様
早速のお返事ありがとうございました。
嬉しくて酔っ払ったまま返事をしようとしたのですが、途中で落ちました…。
失礼しました。
いや…最高の賛辞を頂いてしまった後に何ですが、ほんっっっとに下らないものしかないんですよ。
裏なんてとくに…。
やまなし、おちなし、いみなしこれぞほんとのやおいです。
あと、すみません。
感想下さったお礼にお礼ページのアドレスも後日お送りさせて頂きますね。
ネット開通してからになるのでだいぶ先になってしまうと思いますが悪しからず…。
いらなければ破棄してくださって結構ですよvv
付き合う付き合わないなんて当人の勝手じゃございませんこと?
周りに言われるのが一番いらっと来ますね
ただ楽しいから一緒に遊んでるだけなのにさ。
と、私のぐちはここまでにしておきます。
ゴン太ママ様
早速のお返事ありがとうございました。
嬉しくて酔っ払ったまま返事をしようとしたのですが、途中で落ちました…。
失礼しました。
いや…最高の賛辞を頂いてしまった後に何ですが、ほんっっっとに下らないものしかないんですよ。
裏なんてとくに…。
やまなし、おちなし、いみなしこれぞほんとのやおいです。
あと、すみません。
感想下さったお礼にお礼ページのアドレスも後日お送りさせて頂きますね。
ネット開通してからになるのでだいぶ先になってしまうと思いますが悪しからず…。
いらなければ破棄してくださって結構ですよvv
PR
2008
Vizard(74)
今にも駆け出さんばかりの浮き足だった足取りで先を行く怜迩の後を、一定の距 離を保ちつつ追いかける一哉だった。
約束でもしているのだろう。
急いで目的地へと向かっている怜迩は、前だけを必死に見つめ、背後など全く見向きもしない。
一哉は、そんな怜迩の姿にもう少し周囲に気をつけろと小言の一つでも言いたい気分だったが、まだ年端もいかない子供に言ったところで、理解できるわけでも、ましてや実践できるわけもないだろう。
容易にそれが想像つくため、一哉はそのことについて考えることを放棄して後を追いかけることに集中することにしたのだった。
一哉が妙な違和感を感じ始めたのは、いつからだろうか―。
自分以外にも、怜迩の後をつけている存在を感じたのだ。
それは、ともすれば見逃してしまいそうなほどの小さな違和感。
眉間に皺を寄せながら、足を止めて一応周囲に目を配ってみる。
しかし、これと言って怪しい人物も物陰も見えない。
気持ち悪さだけを感じながらも気のせいかと首を傾げた一哉だったが、再び足を動かして、怜迩の後を追うことを再開させた。
――一抹の不安を感じながらも…。
その後も一哉は、周囲に気を配りながらも少し離れた位置から怜迩の動向を見守り続けた。
だが、不安は一向に払拭されない。
それどころか一哉の身の内に積もっていくばかりのようだった。
1人になった自室で、椅子に深く腰掛けながら難しい顔をして考え込む。
気のせいかもしれない。
―だが、この不気味な不安感は何か?
素直に気のせいで片付けられない自分がいる―。
それは、長年の勘とも言えるべきものかもしれない。
考えに耽っていた一哉の耳に遠慮がちに扉をノックする音が聞こえてくる。
ふっと意識をそちらに向けると、一人でに扉が開いた。
そこから顔を出したのは、綾だった。
綾は、素早い身のこなしで室内に身を滑りこませると椅子に座っている一哉に近づいてくる。
「怜迩は?」
「さっき寝たわ」
「不貞腐れてた?」
「寝るまでずっと一哉は意地悪だって言ってたわよ」
つい数十分前までの息子の姿を思い出したのか、くすくすと声をあげて笑う綾に、一哉は苦笑を浮かべた。
「約束を守らなかった怜迩が悪い」
厳しいことを口にしながらも、顔には笑みが浮かべられているのだからその厳しさは表には出てこない。
寧ろ愛情がありありと表れている。そんな表情だった。
「あら、それじゃ仕方ないわね。でも、あれだけぐずぐず言うほど何をさせたの?」
「うーん。大したことはさせてはないと思うんだけどな…素振りを3倍にしただけだけどな」
さらりと恐ろしいことを口にした一哉に綾は一瞬、顔を凍りつかせた後、すぐに噴出した。
今日の一哉の予定には、夕方から剣道の稽古の時間が組まれていた。
しかし、遊びにすっかり夢中になってしまった一哉は、その時間も忘れて遊びすぎてしまい、その時間までには帰ると言ったのに帰ってこれなかった。
当然、「仕方ないですね」と笑って許す一哉ではなかった。
お仕置きとばかりに、その後の剣道の稽古中にいつもよりきつい練習メニューを課したのだった。
不平を言えば、怒られるだけでなく、更にペナルティがつくことを知っている怜迩は、態度では不満だということを表しつつも口には出さずにこなしていた。
しかし、最後の方は、半泣きになりながらではあったが―。
「それは、8歳の子にはきついんじゃない?ベッドに入ってすぐに寝付くのも仕方ないわね」
「これでしばらくは時間に遅れる事はないと思うけど…」
そう口にした一哉はどこか気がそぞろだ。
綾は、怪訝な顔つきで一哉の顔にぐいっと近づけるようにして覗き込んだ。
突如、視界いっぱいに広がる綾の不満そうな顔に彼は、おどろいたように目をぱちぱちを繰り返した。
「何?」
「難しい顔して何考えてるの?」
「あ、いや…。ちょっと気になることが…」
言葉を濁した一哉に更に不満そうに綾は顔をずいっと近づけた。
「何?」
知らないことがあることが許せないというように綾も一哉と同じように難しい顔をして2つの瞳を覗き込んだ。
「何って…何かはよくわからないけど」
「はっきりしないわね」
「はっきりしないんだから、仕方ないだろ」
「ぜんっぜんわかんない!」
ぷぅと頬を膨らませて言う彼女を横目で見ながらも一哉は、何と口にしたら良いか迷いあぐねていた。
考えるだけでも疲労感を感じていた一哉だった。
「何だかよくないことが起きそうなんだよな…」
としか言うことができなかった。
それだけで、綾に伝わるわけもなく…。
綾はますます眉間に深い皺を刻んでいく。
「良くないことってどんなことよ」
俄かに声音がきつくなってしまう。
「んー。わからない」
「何よ…」
「ただ、今日、変だったんだよな」
「今日?」
不満を口にしようとした綾の言葉は、ぽつりと語り始めた一哉の声によって遮られた。
「そう」
「今日って…」
「怜迩が遊びに出かけていったときだよ」
「何が変だったの?怜迩は、時間こそ破りはしたけど、いつもと何も変わらなかったじゃない」
数時間前のことを思い出しているのか、綾は一哉から視線を逸らして何もない空間を見つめた。
「そりゃそうだよ。何もなかったし…」
「じゃあ、いいじゃない」
「そうだったらいいんだけど。どうもな…」
「何がそんなに気になるの?」
「怜迩を追いかけている奴がいるかもしれない」
想像もしていなかった一哉の言葉に、綾は目を瞠って、一哉の顔を信じられないものでも見るかのような瞳で見つめた。
「それって…」
「まだ、憶測の段階だけど」
一哉は、綾を見返すわけでもなく、自分の両手を組み、その指を遊ばせながら淡々と応えた。
問う綾の声は、俄かに震えていた。
「何で?」
「理由までは、わからないけど。探せばいくらでもあるだろ」
「それは、そうかもしれないけど…」
「気のせいかもしれないけどね」
その言葉は、できればそうであって欲しいという一哉の思いが籠められた言葉だった。
誰かにこの不安を消して欲しかった――。
2008
です。
気づくと昼寝をしています。
ゴン太ママさま
隠しページについての回答メールをお送りしました。
ご確認ください。
社会人になってから早4ヶ月。
おっさんに近頃の若いやつはと言われました。
それが何か?
若くて悪いですかと短気な私は切れました…。
軽くね。軽くだけどね。
ふっとした拍子に毒を吐きそうになる自分がいやになります。
こうして言うに言えないストレスが溜まっていくんでしょうね。
Vizardがようやく終わりが見えてきました。
いままでちんたらちんたらやってましたが、急に面倒になって展開が速くなっておりますがあしからず。
実際のところ、心情描写や背景描写が面倒になってきたんです。
気づくと昼寝をしています。
ゴン太ママさま
隠しページについての回答メールをお送りしました。
ご確認ください。
社会人になってから早4ヶ月。
おっさんに近頃の若いやつはと言われました。
それが何か?
若くて悪いですかと短気な私は切れました…。
軽くね。軽くだけどね。
ふっとした拍子に毒を吐きそうになる自分がいやになります。
こうして言うに言えないストレスが溜まっていくんでしょうね。
Vizardがようやく終わりが見えてきました。
いままでちんたらちんたらやってましたが、急に面倒になって展開が速くなっておりますがあしからず。
実際のところ、心情描写や背景描写が面倒になってきたんです。
2008
Vizard(73)
「ねぇ、ねぇ。遊びに行ってきてもいい?」
子供の少し甘えたような懇願する声が響く。
毎度のことながら、遠巻きに眺めるものたちは、微笑ましい光景に目を細めるばかりだ。
まだ、幼い小さな手で大きな大人の男の手を掴むと力加減もなく、ぶんぶんと振り回す。
その所為で体を揺さぶられながらも、自然と顔は綻ぶばかり―。
上背のある男を首をこれでもかと曲げて、仰ぎ見ながら上目遣いにしきりに懇願する少年。
すらりと伸びた手足、はっきりとした顔立ちは将来が実に楽しみな風貌だ。
ましてや、これが血の繋がった息子ならば可愛くないわけがない。
今も良い答えを期待したらんらんとした瞳でじっと男を見つめている。
「今日は…」
「わかってるってばぁ。それまでには帰ってくるから!お母さんが一哉が良いって言ったら行ってきても良いって言ったんだもん。ねぇ、いいでしょ?」
ソプラノの声がそう告げるのを聞いて、子供にぐいぐいと腕を引っ張られながら「全くあの人は…」と心の中でため息と同時に零す。
自分に注がれる期待に踊る瞳を見つめ返しながら、苦笑を浮かべつつも仕方なさそうな声で告げる。
「きちんと時間までには、帰ってくるんですよ」
苦笑いとともに彼が云うとぱあっと少年の顔が輝き、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「うん!ありがと!」
「その代わり、今日は…」
「いってきまぁす!」
男が皆まで告げる前に、脱兎の如く飛び出して行った少年の耳に男の言葉は届いてはいなかっ。
男がはぁっと息を吐き出しながら、がっくりと肩を落としているとくすくすと笑う声が聞こえてきて、そちらに目を向けると肩を揺らしている同僚と目が合う。
肩を竦めて見せる男に、首を横に振る彼女達。
「あら、でかけちゃったの?」
そこへ、ぎしっと古い家特有の床の軋む音をさせて現れた女が問う。
「…ええ、そうですよ。では、私もいってきます」
息子に自分が良いと言ったのならば遊びに行ってきてもいいと―そう告げた張本人である女に少し恨めしげな視線を送る男に、彼女は気づいているのか気づいていないのか意味深に笑うだけだった。
「よろしくね」
女の言葉を背に受けながら、本来の自分の職務である既にこの場から姿を消した少年の後を追うべく玄関へと向かった。
いつもの午後の一時が、いつものように流れていた。
男の仕事は、たった今まで自分にしがみついていた少年から危険を遠ざけること―。
とはいえ、始終ついて回るのも子供からしてみれば鬱陶しいものこの上ない。
遊びたい盛りの子供からすれば尚更のことだ。
だから、いつも後からこっそりとついていくだけに留まっている。
それは、男の独断で決めたことだったが、子供の母親も容認しているが故に今まで不満等が出たこともない。
「おや、怜迩様どこかにお出かけで?」
「うん!遊びに行ってきまーす」
庭で水やりをしていた老人が小さな少年の姿に気づき、声をかけるが、少年―怜迩は、この後のことに気を取られているのか相手を見ることもなく老人の横を通り過ぎながら大きな弾んだ声で答えると颯爽と姿を消してしまった。
微笑ましい光景に老人の頬の筋肉も緩む。
そんな老人の耳に庭に敷き詰められた砂利を踏む足音が聞こえてきて、口許に笑顔を象ったままそちらへと顔を向けた。
「ご苦労様です」
老人の視線に気づいたその靴音の持ち主である男が一礼すると、口から軽い笑い声を零しながら、目を細めた。
「お元気で何よりです。ついこの間まで、はいはいしていたような気がするのは私だけですかなぁ」
もう姿の見えなくなった誰もいない空間を細めた目で見つめては、誰に聞かせるでもなくそう口にした。
老人と同じように視線を老人から恐らく怜迩が姿を消したであろう方向へと向けていた男に、老人は喉の奥で笑った。
「私のような老いぼれとこんなところでのんびりしていると見失ってしまいますよ。子供は見当もつかないところにすぐ行ってしまいますからな」
という老人の言葉にそれもそうだと思った男は、老人に一礼すると足早にその場を去り、怜迩の後を追いかけた。
今から遡ること数年前――。
国内有数企業の社長の溺愛する娘―水原 綾は決して事実が他者に知られてはいけない出生を持つ赤子を産み落とした。
赤子の父親は、水原が娘にボディーガードとしてつけた草壁 一哉である。
対外的には、赤子の父親は、綾の戸籍上の夫である旧姓・堺―水原 正一の子供となっている。
名を怜迩と名づけられた子供は、成長して8歳になっていた。
彼は、親の欲目なしにも、聡明で勘の鋭い子供だった。
遊びの中に潜ませた英才教育の数々―。
彼は、まるでスポンジが水を吸うかのように吸収してしまっている。
但し、初孫であり、唯一の孫である怜迩を猫かわいがりし、甘やかす水原の存在や、その他の人間に至れり尽くせりの生活を教えられた子供は、同年代の子供よりも傲慢で、自分勝手な子供として育っているのかもしれない。
そんな兆候がみられた。
それでも誰も咎めるものなどいなかった。
―否、咎められるものがどこにいようか…。
この8年間、戸籍の上での父親である堺は、怜迩の前に姿を見せたことはなかった。
全くということではないのだが、少なくとも怜迩の記憶に残っている父親の姿は、朧気だ。
怜迩は、父親というものが、知識として何かは知っているが、実体としての父親は知らない。
それこそ、まだ赤子の頃に何度か対峙はしているのだが、そのたびに一哉が堺から遠ざけた。
何かをしでかしかねない暗い瞳に本能的に危険を感じた一哉の判断だった。
強ち、それは間違いではなかったのかもしれない。
堺は、いわば怜迩が成長するまでの繋ぎでしかないのだ。
怜迩が成長して、水原を告げる人間に成長したときには、用済みとなる。
その時のことを想像しては、実際に危機感を堺は感じていた。
己の血を引いていない己の子に、忌々しさすら感じていた。
それは、日を追うごとに徐々に増していくばかりだった。
いっそのこといなくなれば、全ては自分のものになる―。
男の危険な思想を一哉は感じていたのだろう。
一哉は、怜迩を堺に近づけないその点だけは徹底した。
怜迩が意志を持ち始める頃には、既に怜迩は堺には全く近寄らないようになっていた。
2008
Vizard(72)
「あーー。うーうー」
赤子が何かを訴えようとする姿は、実に愛らしい。
むちむちの肉感たっぷりの小さな短い腕をいっぱいに伸ばして弱弱しい力で、スラックスをぎゅっと握る。
自然と顔が緩むのは、スラックスの持ち主とて例外ではなかった。
周囲を確認した後、しゃがみこむと掴まり立ちをしている赤子に顔を近づけた後、赤子の脇に手を入れ、ひょいっと軽々しく抱き上げる。
「日に日に重くなってくなぁ」
そう感慨深げに呟くと自分の目線と顔を合わせるようにする。
円らな瞳とばっちり目が合い、きょとんとした表情の赤子の顔はどこかおかしい。
だが、赤子の顔はすぐにくしゃりと歪み、ふみゃと小さく声が上がり、慌てて確りと抱き上げた。
「ああ、ごめんごめん」
ぽんぽんと背中を軽く叩いてやるその仕草は、既に慣れた手つきで実に安心して見ていられる。
そんな赤子を抱き上げる男と赤子の姿を見て、同じ空間にいた人物がくすくす笑う。
ふっとそちらに顔を向ける男に、彼女は言う。
「すっかり懐かれたみたいね」
少し離れた位置にある椅子に腰かけながら、机の上に置かれたソーサからカップを持ち上げた後、傾けながら流し見る女は、綺麗に揃えられた爪といい、手入れの行き届いた艶やかな髪は、子供を産んだ一児の母には到底見えない。
乳児の温もりを感じながら、女の姿を見つめた後、もう一度乳児に視線を戻した。
「怜迩…」
小さく乳児の名を口にすると彼は、自分の額と乳児の額をあわせた。
円らな瞳をまん丸にして、ぱちぱちと瞬きを繰り返しながら自分を抱いている男を見る乳児。
男は、額と額を合わせたまま、乳児の名前を口にした時と同様に、小さく口を動かして、密やかな願いを述べた。
「…強くなれ…」
突拍子もないその言葉は、親としての願いか―。
または、己が息子に苦境を強いることへの罪悪感か―。
一日を屋敷の中で過ごす綾に一哉のようなボディーガードのような存在は、不要だった。
一哉は、綾というよりも自分達の子どもである怜迩の側にいた。
一番近くにいる一哉に怜迩はすっかり懐いている。
水原は、初孫の誕生を甚く喜び、不要だと言わんばかりの人数の世話係を怜迩に与えた。
とは言っても、大勢の人数がいても邪魔なだけだ。
それだけでなく、綾が必要以上に人を付けることを嫌がったこともあり、結局一哉のほかに1人だけだ。
堺と言えば、子供が産まれたことによって水原からの信頼を得ることはできたが、肩身が狭いことに変わりはない。
ほとんど屋敷に寄り付かない生活のままだった。
1年近く経過しても、怜迩の顔も数えるほどにしか見たことがなかった。
たとえ、見たとしても堺には、憎い存在のようにしか映らなかった。
その視線の危うさに気づいていたのは、一哉だけでなく綾も同じだった。
綾が、怜迩の出産と育児のために大学を休学して1年近く経つ。
綾としては、中途半端なまま終わらせることはしたくなかった。
そろそろ、復学しようかと思っている綾だったが、不安は家に残していく怜迩だった。
堺の怜迩を見る不気味な暗い視線に不安を覚えずにはいられなかった。
一哉を残していけば大丈夫だろう…とは思っているものの、自分の目の届かない範囲だけに怖いのだ。
「綾。話って何だい?」
夜半過ぎ、話があると言って部屋に現れた娘を父親は、快く迎え入れた。
話があると部屋に入ったものの、何も言い出そうとしない娘に水原が急かすように尋ねる。
ゆっくりと父の顔を見据えて考えていたことを口にした。
「私、大学に復学するわね」
「…」
いいかしら?という疑問系ではなく、決定事項としてそれを口にした娘をまじまじと水原は見つめた。
もう少し遅くからでもいいのではないかと思うのは、何も彼だけではないだろう。
大学は、最長で8年在籍することが可能だ。
急いで1年で復学せずとも、子供が―怜迩が3歳くらいまでなるのを待ってからでもいいのではないかと思っていたのだ。
「そういうことだから」
と言うだけ言って部屋を出ていこうとした娘の背中に、水原は少し動揺で上擦った声で問う。
「もう少し、待ってからでも…」
「嫌よ」
「綾」
頑として譲らない顔で自分の顔を見てくる綾に困惑せざるを得ない。
「子供もきちんと産んだわ。これで、義務は果たしたことだし、後は、私の好きにさせてもらうわ」
既に何度か見たことのあるきつい眼差しに、ぐっと息を呑む水原だった。
一拍の間を置いた後、綾は「それと…」と勿体つけるように、そして、はっきりと宣言した。
「これからは、お父様も指図は一切受けないわ。覚えておいてくれるかしら?」
「何?…綾、待ちなさい!」
言いたいことだけ告げると背を向けて部屋を出ていこうとした綾の背中を厳しい声で呼び止めようとした水原だったが、まるで綾は彼女の言葉を体言するかのように振り返ることも立ち止まることもしなかった。
バタンというドアが閉まる音だけが響いた自分以外の誰もいない部屋で、水原は大きく息を吐き出し、肩をがっくりと落とした。
いつからこうも娘との不和が続いているのか―。
しかし、自分の所為だとは思わない水原だった。
恐らく、彼が認めるか気づくまでは、娘との溝は一向に深まることはないだろう。
困った水原は、最近、富に綾を宥めることに長けている一哉を呼び出した。
しかし、思ったような結果は得られなかった。
その後、次の春から綾は、大学に復学した。
今まで―怜迩を産む前なら、一哉を連れていたが、それは宗司だけになった。
代わりに一哉には、怜迩を守ってと頼んだ綾だった。
守るという言葉は大仰すぎるかもしれないが、綾は怖かったのだ。
色のない堺の怜迩を見る視線が…。
その言葉通り、怜迩の側には常に一哉がいた。
怜迩の話し相手や遊び相手は、一哉だった。
産まれたときから常に自分の側にいる一哉に怜迩はよく懐いていた。
屋敷の中の誰よりも―。
一哉も一哉でただ、甘やかすだけのようなことはしなかった。
将来のために――。
綾もボディーガードとしては、少し行き過ぎている感の否めない一哉の怜迩への接し方へ注文をつけるようなことはしなかった。
そして、綾自身、いつになるかは分からないが、決して遠くない未来のために在籍した文学部とは関係のない、経済の講義を受けたりしながら、綾なりに考えて残りの在学期間を過ごした。
父親の死後、堺と離婚したときのために―。
怜迩が、後を継げるようになるまでの間、自分が代わりとなれるように―。