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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0319
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2008

0401
練習後、帰る支度を終えて皆が出てくるのを体育館の外で待っていた。
これから皆でご飯を食べに行くからだった。
先に着替え終わった深岬が外で待っていると4年生の野坂が出てくる。
深岬を見つけて、近寄ってくる。
野坂と他愛もない話を続けていると、そこへ坂上が現れる。
坂上は、深岬と野坂がなにやら話をしているのを見つけるとにやりと悪戯を思いついたような顔をして悪ガキのような顔をして2人に近づく。

「深岬。何時の間にあんな男前の彼氏、見つけたんだぁ?」

にやにやと笑いながら言う坂上の言葉にはっとして声のした方を振り返る深岬。
そこに楽しそうな顔をした坂上を見つける。
男前の彼氏――と聞いて思いつくのは、1人しかいない。
約1月ほど前から、自分に懐いてきた男。津田 旭。
坂上の言葉に、深岬を不思議そうな顔で振り返る野坂。
誤解される…しかも、自分が片思いしている坂上にそう思われるのは嫌だと思うと慌てて否定する。

「は?深岬ちゃん彼氏いるの」
「いませんっ」
「またまた~。嘘をついたらダメだって、滅茶苦茶男前でしたよ。っつーかそういうことは、黙ってねぇで教えろよ」
「だから違いますってそんなんじゃないです!」

必死に否定するものの坂上は、信じて疑わず全く聞いてなどくれない。
冗談じゃなかった。
深岬からしてみれば、心外そのもの。
一番誤解されたくない相手だというのに…。
その相手が楽しそうにからかってくるというのは正直ツライものがある。

違うと言葉を繰り返す深岬に対して、笑ってそれを見ている野坂。
だが、深岬の必死の形相を見て野坂の顔つきが変わる。

「おーい、何してんだぁ?おいてくぞ」

と少し離れた位置から声を掛けられて、深岬と坂上の会話は中断された。
野坂は深岬の背中を追いかけながらも遅れてゆっくりと一団に向かっていった。



練習に参加した部員全員でご飯に行った帰り際…。
深岬は、駅に向かおうとしたところを野坂に呼び止められる。

「深岬ちゃん」
「…?何ですか?」
「あのさ、違ってたら悪いんだけど…」

と妙な前置きをおく野坂に深岬は思わず怪訝な視線を送った。

「野坂さん?」
「深岬ちゃんってさ…もしかして、坂上のこと好きなの?」

そう指摘されて体に緊張が走る。
一瞬の動揺を野坂は見逃さなかった。

「やっぱり?」

どこで…と思った深岬だったが、思い当たる節は、ここへ来る前のやり取り。
深岬に彼氏ができたとからかった時くらいしか思い当たらなかった。
急なことに何と答えていいかわからなかった。
否定するのが、一番上手くいくことだとは分かっていたのだが……。

次の言葉に迷っている深岬に野坂は言う。

「坂上は止めといたほうがいいよ…」

と雪子と同じようなことを言う野坂に深岬は目を見張った。
何で、皆口をそろえたように言うのか…。

「人として嫌いじゃないけど、女関係だけはアイツは進めないよ。影でいろんな女と遊んでる。それを自慢げに言うところも含めてね…」
「…ぁ」
「傷つくのは、深岬ちゃんだよ」

ドキンと心臓が一回脈打つ。

「それに…」

まだ何かあるのかと深岬は、自分より頭ひとつ上にある野坂の顔を揺れる瞳で見た。

「坂上の彼女に会ったことある?」

その問いにはこっくりと頷く。
深岬の目から見ても可愛いと思えた人物の姿を脳裏に描く。

「あいつがあの彼女と別れることは、まずないよ」

何故、断言できるのか…。
でも聞き返すことはできなかった。
喉の奥がきゅうっと締め付けられるような感じがして、声の出し方も忘れてしまったようだった。

「坂上、彼女にべた惚れだし…それに彼女もああ見えて強いから、坂上が浮気してんの知っててどんと構えられる女だよあの子は…」

とてもそんな風には見えなかった。
つくづく女は、見かけによらないものだ…。
ただ、坂上が彼女のことを物凄く好きだということは感じ取れた。

「悪いことは言わない。綺麗さっぱり忘れたほうがいいよ…それに、あいつ公言してるだろ?」
「…部内では彼女作らない…ですか?」

搾り出すような小さな声に野坂は目を見張ったものの頷いた。
深岬は顔をうつむけたまま唇をかみ締めて、握りこぶしを作った。

「…深岬ちゃん」

心配そうな野坂の声に深岬は何とも返事を返すことはできなかった。

「あっれー、深岬ちゃん」

そこへ来て聞こえてきた能天気な声に深岬の体がびくりと震える。
野坂が不審に思い声のした方を振り返ると長身の男が立っている。
その男は、野坂ではなく野坂の向こう側にいる深岬を見ている。

「あ…」
「知り合い?」

と尋ねた横で深岬は頷くと同時に厄介なのが来たとも思った。
男―津田は、深岬の傍までつかつかと歩いていくると野坂から深岬を引き離すように自分の背後に隠した。

「深岬ちゃんを苛めちゃダメっ!」

大きな声で言うと、言われた野坂は目をまん丸にした。
野坂をきっと睨みつける。

「深岬ちゃんの何?」
「えーと深岬ちゃんは、部活の後輩なんだけど…」

津田の剣幕に少し驚きつつも苦笑を浮かべる。
野坂の言葉を聴いて、津田は背後に隠した深岬に「ホント?」などと聞いている。
それに、深岬から返ってきたのが、蹴りだった。

「痛いぃ」
「ジャマ」
「だってぇ」
「ジャマ」
「…はい」

深岬に睨まれると津田は大人しく引き下がった。
しゅんとした様子で深岬の横に移動する。

「もしかして…」

と野坂が意味ありげに尋ねてくるのを深岬は肯定した。

「たぶん、坂上さんが私の彼氏とかんちがいしたのは、このバカです」
「ああ、なるほど」

頷きながら深岬の横にいる津田の顔を見て苦笑を浮かべた。

「ったく余計なことを…」

小さな声で深岬が悪態をつくのを野坂は確りと聞いた。
野坂に聞こえたということは、横にいる津田の耳にも確りと届いていた。
むしろ聞かせるために言ったといいかもしれない。
悲壮な表情をした津田の顔を見て野坂はくくっと笑って、深岬の肩をぽんぽんと叩いた。

「いいんじゃね?」

と軽く言って野坂は深岬の前から姿を消した。
その後ろ姿に深岬の「何が良いんですか!?」という大きな声が向けられたが野坂は振り返ることなく手を振るだけで、答えなどくれなかった。

残された深岬は横にいる津田の顔をちらりと確認した後、ため息をひとつ零した後、すたすたと駅に向かって歩き始める。
遅れて、津田が深岬の後を追いかけてくる。

「どこ行くの?」
「どこ行くのってあんた。帰るに決まってるんでしょ。っつーか、何で付いてくるの!?」
「駅まで送る」

津田の提案に深岬が乾いた笑いを口にした。

「はっ!?別にあんたに送ってもらわなくていいわよ」
「ダメ。危ない。送る」

と言った津田の顔は意外に頑固な一面を如実にあらわしている。
たかが数分の距離で人通りもあるとおりなのに一体何が危険だというのか。
津田から視線を外しながら、深岬はこれみよがしに大げさなため息をひとつ零して、「勝手にすれば」と言って津田のしたいようにさせたのだった。
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