更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き.
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2008
喧騒と熱気が漂う。
深岬もその中の1人だった。
誰が企画したのかは、深岬は興味も湧かなかったので気にしていなかったのだが、部活の1年生だけが、集まっていた。
全員とまでは、いかないものの練習に頻繁に訪れる者は、大体揃っていた。
勿論、険悪な雰囲気が続いている麻美と望もいる。
どちらも引くことを知らないから当然こうなる。
深岬の所属するバドミントン部の1年生だけが、大学周辺の居酒屋に集まっていた。
名目は、親睦を深めるため。
それなりに会話をすることは、あっても1年生だけで集まったりするということがなかったので、企画したのだ。
発案者は、一番練習に参加している望だった。
当初、麻美は嫌そうな顔をしていたのだが、全員が集まっている。
もうめっきり顔を見せなくなった者もいれば、そこそこ顔を出している者もいる。
最初は、気まずい雰囲気で、練習に高確率で参加している者同士は、話題もそれなりにあるので違和感なく溶け込むことができるのだが、練習に参加していない者たちはどうも疎外感を感じずにはいられなかった。
しかし、時間の経過とともにアルコールの助けも借りてか自然と両者の間にあった壁は取り払われていた。
時折、かかる一気のコールの中で徐々にペースも激しくなっていき、既に上級生に引けを取らない飲みっぷりになってきていることに気づいて深岬は、自然と笑いが零れてきた。
当然、急に笑い出した深岬に周りは、怪訝な目付きで深岬を見る。
「深岬ちゃんどうしたの?」
「…ん?何でもない…ハハッ」
「やっぱ変だよ」
「酔っ払いがここにいる~」
などと囃し立てられながら、また自分にコールが掛かるのであまり深く考えずに深岬はコップに入った焼酎を一気に飲み干す。
「あ、そういえば…」
と何かを思い出したような口調で望が言葉を発したので、全員の視線が彼女に向く。
「望ちゃんどうかしたの?」
「深岬ってば、花火行った後、小島さんや坂上と飲んだんでしょ?」
「うん」
「それで醜態晒したって話、坂上から聞いたよ~」
望の言葉を受けて、今度は深岬に視線が集まる。
別にこの場で話すような内容でもない気がした深岬だったが、一度出た話を途中で無理やり終わらせても場が白けるような気がして、深岬は適当に相槌を打った。
とはいってもその時の記憶は、深岬には全くないので何をしたかと問われれば覚えてないと答えるしかない。
一部分を坂上や小島が話をしていたのを聞いたのだが、最後まで聞くのは恥ずかしさのあまり途中で2人に「忘れてください…」と小さな声で訴えて断念した。
「チョー面白ぇって坂上がやたら言ってたし。小島さんは、何かにやにや笑ってたし」
「一体何したの?」
「あ…いや、記憶がなくって…何したかまでは」
「一体、どんだけ飲んだの?」
「いや、それも覚えてない…」
「マジで?」
「やっちゃったね~」
などと言われながら、深岬は誰かが新しく注いでくれた酒の入ったコップを傾ける。
内輪ネタは、聞く人によっては不快感を与えかねない。
誘ってもらえなかったと思う子もいるかもしれない…。
もし、自分がそっちの立場だったら、少なからずショックだっただろう。
深岬は、ちらりと周囲の顔色を確認した。
明らかに麻美が不快な顔付きをしていた。
話題を変えてもらうためにも、否、変わることを期待しつつトイレに行くために席を立った。
深岬がトイレから戻ってくると彼女の願いが通じたのか、話題は変わっていた。
主に中心になって話すのは、女子で。きゃあきゃあいいながら話をしている。
自分の席に座りながら、横に座っている子に「何々、何の話?」と尋ねてみる。
「あのね、小島さんと坂上さんだったらどっちがいいかだって?」
「2人だけなの?」
「うん。深岬ちゃんは?」
「…えー…」
間違いなく深岬の答えは決まっているのだが、即答することは、躊躇われた。
考える振りをしながら、正直に言うべきかと迷っていると…。
「麻美ちゃん以外、皆小島さんだって」
「え?そうなの」
殊のほか深岬の声は大きくなってしまった。
深岬からしてみれば、意外な答えだった。
ぐるりと皆の顔を確認する。
「ど…して?」
「ということは、深岬も坂上?」
麻美の言葉に頷く。
ここで、取り繕っても仕方ないし、麻美も坂上と答えているのだから怪しまれることもないだろう。
望を横目で確認すると意味ありげに笑う。
「ねぇねぇ、何で2人は、坂上がいいの?」
「え…何でって言われても…。坂上さんの方が、下の学年まで目を向けてくれてる気がするし…」
戸惑いながらも尤もらしいことを口にする深岬。
結構、冷静だったかもしれない。
「何で、望は小島さんなの?一番可愛がってもらってるじゃん」
そう尋ねたのは、麻美だった。
それが深岬には、少し剣のある声に聞こえたのは、気のせいだろうか。
「だって、あいつ浮気性だし。それに短気だしー。ちょっと付き合うのは、無理かも」
望の言い分を聞いて、深岬はまさに開いた口が塞がらないと言った状態だった。
自分が嫉妬という醜い感情を覚えるほどに可愛がってもらってるのに、その言い草はないだろうと思った。
そんな風に思うのなら、その立場を譲ってくれとさえ思う深岬だった。
深岬のそんな心情に気づかない望は、きゃっきゃっと笑いながら続ける。
「その点、小島さんって何か一途っぽいし…格好いいし」
机の下で思わず手をぎゅっと握り、軽く唇を噛む。
あれこれと並べていた望だったが、急に深岬の顔を凝視したので、一瞬顔に出ていたかと焦る深岬。
「あ、それよりも、深岬この間、坂上に何か聞かれたときになんでもないって断ったでしょ?教えてくれなかったって怒ってたよー」
くすりと笑いながら望が言う。
それは、既に花火の日に解決済みの話だ。
今更、望に言われることでもないし、あんたと麻美のことでしょ。と口に出すこともできなかった。
悩んでた時間を返せと言いたくもなる深岬だった。
会が終わり、帰り際。
上機嫌で2次会と言っている者達も居たが、深岬はとてもじゃないがそんな気にはなれなかった。
真っ直ぐ駅に向かって歩く。
集団に小さく「お疲れ」と声を掛けて背を向けた深岬に気づいたのは、望で。
「深岬。帰るの?」
という問いに、何とか引き攣った笑いで頷くことで精一杯だった。
暗闇が上手く深岬の顔を誤魔化してくれたようで、望もさして不審がる様子もなく、また、引き止められることもなく帰ることができた。
ひどく疲れている自分がいる。
電車に揺られながら、アルコールの所為もあってかうとうととしているとカバンの中に閉まってある携帯電話のバイブがぶるぶると震えだす。
目を擦りながら携帯の画面を確認すると一件のメールが届いていた。
坂上からだった。
それは、気づかれしてないかということを問うメールで…。
自分のことを気にしてくれているということに嬉しさを感じて、それまで少し沈んでいた気持ちが一気に浮上していくのを深岬は感じずには、いられなかった。
深岬もその中の1人だった。
誰が企画したのかは、深岬は興味も湧かなかったので気にしていなかったのだが、部活の1年生だけが、集まっていた。
全員とまでは、いかないものの練習に頻繁に訪れる者は、大体揃っていた。
勿論、険悪な雰囲気が続いている麻美と望もいる。
どちらも引くことを知らないから当然こうなる。
深岬の所属するバドミントン部の1年生だけが、大学周辺の居酒屋に集まっていた。
名目は、親睦を深めるため。
それなりに会話をすることは、あっても1年生だけで集まったりするということがなかったので、企画したのだ。
発案者は、一番練習に参加している望だった。
当初、麻美は嫌そうな顔をしていたのだが、全員が集まっている。
もうめっきり顔を見せなくなった者もいれば、そこそこ顔を出している者もいる。
最初は、気まずい雰囲気で、練習に高確率で参加している者同士は、話題もそれなりにあるので違和感なく溶け込むことができるのだが、練習に参加していない者たちはどうも疎外感を感じずにはいられなかった。
しかし、時間の経過とともにアルコールの助けも借りてか自然と両者の間にあった壁は取り払われていた。
時折、かかる一気のコールの中で徐々にペースも激しくなっていき、既に上級生に引けを取らない飲みっぷりになってきていることに気づいて深岬は、自然と笑いが零れてきた。
当然、急に笑い出した深岬に周りは、怪訝な目付きで深岬を見る。
「深岬ちゃんどうしたの?」
「…ん?何でもない…ハハッ」
「やっぱ変だよ」
「酔っ払いがここにいる~」
などと囃し立てられながら、また自分にコールが掛かるのであまり深く考えずに深岬はコップに入った焼酎を一気に飲み干す。
「あ、そういえば…」
と何かを思い出したような口調で望が言葉を発したので、全員の視線が彼女に向く。
「望ちゃんどうかしたの?」
「深岬ってば、花火行った後、小島さんや坂上と飲んだんでしょ?」
「うん」
「それで醜態晒したって話、坂上から聞いたよ~」
望の言葉を受けて、今度は深岬に視線が集まる。
別にこの場で話すような内容でもない気がした深岬だったが、一度出た話を途中で無理やり終わらせても場が白けるような気がして、深岬は適当に相槌を打った。
とはいってもその時の記憶は、深岬には全くないので何をしたかと問われれば覚えてないと答えるしかない。
一部分を坂上や小島が話をしていたのを聞いたのだが、最後まで聞くのは恥ずかしさのあまり途中で2人に「忘れてください…」と小さな声で訴えて断念した。
「チョー面白ぇって坂上がやたら言ってたし。小島さんは、何かにやにや笑ってたし」
「一体何したの?」
「あ…いや、記憶がなくって…何したかまでは」
「一体、どんだけ飲んだの?」
「いや、それも覚えてない…」
「マジで?」
「やっちゃったね~」
などと言われながら、深岬は誰かが新しく注いでくれた酒の入ったコップを傾ける。
内輪ネタは、聞く人によっては不快感を与えかねない。
誘ってもらえなかったと思う子もいるかもしれない…。
もし、自分がそっちの立場だったら、少なからずショックだっただろう。
深岬は、ちらりと周囲の顔色を確認した。
明らかに麻美が不快な顔付きをしていた。
話題を変えてもらうためにも、否、変わることを期待しつつトイレに行くために席を立った。
深岬がトイレから戻ってくると彼女の願いが通じたのか、話題は変わっていた。
主に中心になって話すのは、女子で。きゃあきゃあいいながら話をしている。
自分の席に座りながら、横に座っている子に「何々、何の話?」と尋ねてみる。
「あのね、小島さんと坂上さんだったらどっちがいいかだって?」
「2人だけなの?」
「うん。深岬ちゃんは?」
「…えー…」
間違いなく深岬の答えは決まっているのだが、即答することは、躊躇われた。
考える振りをしながら、正直に言うべきかと迷っていると…。
「麻美ちゃん以外、皆小島さんだって」
「え?そうなの」
殊のほか深岬の声は大きくなってしまった。
深岬からしてみれば、意外な答えだった。
ぐるりと皆の顔を確認する。
「ど…して?」
「ということは、深岬も坂上?」
麻美の言葉に頷く。
ここで、取り繕っても仕方ないし、麻美も坂上と答えているのだから怪しまれることもないだろう。
望を横目で確認すると意味ありげに笑う。
「ねぇねぇ、何で2人は、坂上がいいの?」
「え…何でって言われても…。坂上さんの方が、下の学年まで目を向けてくれてる気がするし…」
戸惑いながらも尤もらしいことを口にする深岬。
結構、冷静だったかもしれない。
「何で、望は小島さんなの?一番可愛がってもらってるじゃん」
そう尋ねたのは、麻美だった。
それが深岬には、少し剣のある声に聞こえたのは、気のせいだろうか。
「だって、あいつ浮気性だし。それに短気だしー。ちょっと付き合うのは、無理かも」
望の言い分を聞いて、深岬はまさに開いた口が塞がらないと言った状態だった。
自分が嫉妬という醜い感情を覚えるほどに可愛がってもらってるのに、その言い草はないだろうと思った。
そんな風に思うのなら、その立場を譲ってくれとさえ思う深岬だった。
深岬のそんな心情に気づかない望は、きゃっきゃっと笑いながら続ける。
「その点、小島さんって何か一途っぽいし…格好いいし」
机の下で思わず手をぎゅっと握り、軽く唇を噛む。
あれこれと並べていた望だったが、急に深岬の顔を凝視したので、一瞬顔に出ていたかと焦る深岬。
「あ、それよりも、深岬この間、坂上に何か聞かれたときになんでもないって断ったでしょ?教えてくれなかったって怒ってたよー」
くすりと笑いながら望が言う。
それは、既に花火の日に解決済みの話だ。
今更、望に言われることでもないし、あんたと麻美のことでしょ。と口に出すこともできなかった。
悩んでた時間を返せと言いたくもなる深岬だった。
会が終わり、帰り際。
上機嫌で2次会と言っている者達も居たが、深岬はとてもじゃないがそんな気にはなれなかった。
真っ直ぐ駅に向かって歩く。
集団に小さく「お疲れ」と声を掛けて背を向けた深岬に気づいたのは、望で。
「深岬。帰るの?」
という問いに、何とか引き攣った笑いで頷くことで精一杯だった。
暗闇が上手く深岬の顔を誤魔化してくれたようで、望もさして不審がる様子もなく、また、引き止められることもなく帰ることができた。
ひどく疲れている自分がいる。
電車に揺られながら、アルコールの所為もあってかうとうととしているとカバンの中に閉まってある携帯電話のバイブがぶるぶると震えだす。
目を擦りながら携帯の画面を確認すると一件のメールが届いていた。
坂上からだった。
それは、気づかれしてないかということを問うメールで…。
自分のことを気にしてくれているということに嬉しさを感じて、それまで少し沈んでいた気持ちが一気に浮上していくのを深岬は感じずには、いられなかった。
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