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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0321
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2008

0118
完全な夏休みに入って数日後、やることなくて家でだらだらとした時間を過ごしていると坂上から連絡が入る。
何だろうと首を傾げつつも電話に出る。

『あ、今、ヒマ?』

数日前の怒っていた様子なんてなんのその。
いつもの飄々とした口調で話す坂上。

「ヒマですけど…」
『じゃ、今から大学出てきてよ』
「は?2時間以上かかりますよ」
『いい、いい。待ってる。じゃ、大学の近くの駅ついたらまた連絡して』

一方的に言うだけ言うとプッと通話が切れる。
切れた携帯電話を見つめていた深岬だったが、仕方ない行くかと仕度を始めて、数分後に家を出た。
坂上の言葉通りに、駅についたと連絡するとまた、一方的にそこで待っててと言われる。
その数分後に2台の見慣れた車が現れる。
一台は、坂上のものでもう一台は、小島のものだった。
きょとんとする深岬の前に車から出てきたのは、麻美と望、そして4年生の野坂と院生の福田だった。

「何の集まりですか?コレ…」

と聞かずにはいられない。
というよりも、まず驚いたのが、麻美と望の取り合わせ。
見た瞬間にできれば、遠慮したいと思ったのは致し方ないことだろう。

「花火行こう花火」
「はぁ」
「どっちの車でもいいや適当に乗って」

選んだのは、坂上の車だったが、行く前からすでに深岬の気分は重かった。
案の定、深岬を介して行われる会話。
間に挟まれた深岬は、居心地悪いことと言ったらこの上ない。
最初は、周りに悟らせまいと顔を無理やり作っていたものの、次第に疲れによって表面上に作った仮面はいとも簡単に剥がれてきてしまう。
3人で並んで土手に座って、花火が上がるのを待っているのだが、とうとう耐え切れなくなった深岬は、「トイレ」と言って2人の場から離れていく。
望と麻美の声が背後に聞こえていたが、振り返らなかった。
逃げるようにして、トイレに入り、少し時間が経ってから外に出る。
また、あの場所に戻るのかと思いながら、溜息をついて歩いていると声をかけられて振り返ると坂上が立っていた。

「悪い。無理やり誘ったみたいで」

最初にそう言われて、もうバレバレだなと悟る。
済まなさそうな顔をする坂上に対して、深岬は首を横に振る。

「坂上さんは悪くないですよ。気にしないでください。私がもっと上手くやれば良かったんですけどね…」

苦笑を浮べながら言う深岬に、坂上は、伺うような目で深岬を見ながら問う。

「もしかしてずっと悩んでたのコレ?」
「いや、全部が全部そうっていうわけじゃないんですけど…。何となく言いづらくって」

そこは、もう取り繕っても仕様がない部分だったので、正直に答える。

「俺に気遣ってたんだよな?」
「全然そういうんじゃないんですから気にしないでくださいね」
「ゴメン」
「謝らないでくださいよ…あ、それなら…また、相談乗ってくれます?」

別に深岬とて謝って欲しいわけではない。
悪いのは、坂上ではないのだから。
だが、丁度いいとばかりに声の調子をあげて深岬は、坂上との接点を増やそうとしてみる。
すぐに快諾の返事が返って来て深岬は、にっこりと嬉しそうな笑みを浮べて返した。

「いいよ」
「やった。ありがとうございます。あ、それと…雪子の件どうなりました」

ずっと気になってはいたものの、他の人間の目があって聞けなかったことだった。
一応、雪子から話したということだけは聞いていたが、結果としてどうなったかまでは聞いてなかった。

「それも大丈夫。なんか、ごめんねー。色々と迷惑かけて」
「イエイエ」

一緒にきた他のメンバーの待つ場所へと向かいながら取り留めのない話をしながら歩いていく2人だった。
少し、ほんの少しだけだが、距離が縮まったような気がして、深岬の先ほどまでのどんよりした気分などどこかへ飛んでいってしまったかのように高揚する気分に浸っていた。



花火を見終わって大学近辺まで帰ると飲みに行くはもうすでに彼らの間では、決まりきったこと。
どこに行くと話をしていた坂上たちに麻美が、望といることに耐えられなくなったのか、「帰る」と言うとさっさと帰ってしまった。
望は、最初行くつもりだったのだろうが、母親から帰ってこいと言われて帰ってしまった。
深岬はと言えば、とっくに終電の時間なんて過ぎていて、帰れるわけもなかった。
麻美のところに泊めて貰えばいいかと思っていた深岬だっただけにどうしようと考えているとそれに坂上が気づいたのか。

「大丈夫。大丈夫。朝まで飲んでりゃいいんじゃねぇか」

それは、切実に遠慮したいものがあるのだが、深岬が訴えたところで聞いてもらえるわけもない。

「麻美も望もいなくなったことだし、深岬のお疲れ様会とでもしておくか」

何の?とは、誰も聞いてこないということは、皆知っているということだろうか。
小島は、雪子のことがあるから何とも思わないだろうが、福田と野坂はどうなんだろうと2人の顔を確認してみる深岬だったが、笑いながら頷いてるだけだった。

「もしかして…」
「知ってるよ。雪子のことだろ?」

とりあえずそれだけかと思ってほっとする深岬だったが、もうひとつのこともあっさりと坂上が暴露してしまう。

「麻美と望のことも迷惑かけてたんすよ」
「何?」
「あー!坂上さん。余計なこと言わなくて!!」
「余計じゃないって。麻美と望が今、仲悪いんすよ」
「だったら、お前考えて呼べよ」
「いや、気づかなくって」

上級生の苦言に苦笑を浮べながら答える坂上。
深岬は、坂上を止めるのを断念した。

「2人とも深岬を間に挟んで険悪そのもので」
「ハハ…そりゃ最悪だわ」
「おつかれさーん」
「んじゃ、飲むか。今日は、深岬ちゃん潰しで決定」
「止めて下さい!」

楽しそうな声をあげて口々に言う上級生に必死に食い下がった深岬だったが、勝てるわけもなく――。


翌朝には、深岬の生ける屍が坂上の家に転がっていた。

ぱっと目を見開いた瞬間に、ここはどこだと周りを確認する深岬。
近くに坂上と小島が転がってるのを見つけて、思わずやってしまったと思った。
ついでに言えば、記憶も全くない。

起き上がった瞬間にガタンと物音を立ててしまい、坂上が目を覚ます。

「ごめんなさ…」
「ん?いい、いい…」

と言いながら体を起こす坂上。

「ここどこでしょう」

頭がはっきりすればするほど気持ち悪さを自覚する。
不快感を感じながらもまずは、居場所を確認とばかりに聞いた深岬に坂上が「俺ん家」と答えた。
そういえば、入るのは初めてだと俄かに頭痛のする頭で考える。
そして、横に転がっている小島を見て思う。

「記憶がないんですけど…」
「だろーね」
「あの…私、何かしましたか?」

聞きたくない気もするが、取り合えず気になる。
変なことしていないだろうかと不安を覚える。
深岬が、恐る恐る尋ねると坂上は実に楽しそうににやりと笑いながら答える。
坂上の様子からこれは、碌なことしてないと悟った深岬だが、とりあえず大人しく答えを待つ。

「んー?とりあえず、野坂さんと福田さんに泣きついて」
「はっ!?」
「俺とリョウちゃんには、キレてたなぁ」
「ごめんなさーい」

恐れ多い。
平謝りする深岬を楽しそうに見ていた坂上だったが、来客を告げるドアベルが鳴って坂上は、立ち上がると玄関へと向かう。

「悪い、リョウちゃんと後輩がいるんだよ」
「いいよ~」

ワンルームのアパートだからどうしても玄関先の声が聞こえてくる。
深岬は、気持ち悪さと格闘しながら、その会話を聞いていたのだが、坂上の言葉に返ってきたのが、可愛らしい高い声であると気づいてドキリとする。
あんまり考えたくはないが、もしかしてもしかすると…かもしれない。
ドクドクと脈打つ心臓を抱えながら、坂上とその声の持ち主が入ってくるのを待っていると2人が深岬のすぐ傍にくる。

「ほらな…すげぇだろ」
「ハハ…いつものことだけどねー。あ、コンニチワ」
「こん…にちわ」

深岬に気づいて挨拶してきたのは、小さくてふわふわの可愛い女の子だった。
立っている彼女を見上げたまま、ぽかんとした顔でまじまじと顔を拝見する深岬。
その姿は、さぞかし間抜けだったに違いない。さらに大間抜けなことに、「可愛い…」と呟いていた。
深岬の言葉にくすぐったそうに笑う彼女だったが、坂上が嬉しそうに話すのを深岬は、どこか遠くで聞いていた。
坂上の言葉を聞きながら、深岬は思った。坂上は、こういう女の子が好きなのか…と。
同時に自分とは、掛け離れているとも思った。
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