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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0321
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2008

0116
夏休みの練習は、9月前半までで一応終了する。
後半は、練習は休みになり後期の授業が始まる10月までは、基本的に解放される。
後少しで終わるという開放感を感じるところなのだが、深岬の気分は、ひどく重かった。
大学へと向かう電車の中でも、そして、駅から大学に向かう途中でも自然と溜息が零れてくる。

雪子が深岬の話を聞いてくれると言った日に運悪く見てしまった小島と慶子の姿。
それからの雪子は、ひどい状態でとても自分の話など聞いてもらえそうもなく、雪子の愚痴を聞いて終わってしまった。
当然、悩みが解消されるわけもなく。寧ろ、増えたといっても過言ではない。
翌日の練習に顔を出しても、深岬は雪子の様子も気になるし、望と最近、少しずつ顔を出すようになってきた麻美の関係にも頭を悩ませていた。

麻美は、必要以上に望に近づかないように距離を置いたりしている。
深岬とは、よく話をしているが、望とは一言も口を利かずに帰るときもある。
望は、気づいているのか気づいていないのか全く気にした様子はなく、深岬と麻美が話していたりすると普通に話しかけてきたりする。
その度に、表面上は、決して悟らせるようなことはないが、望にいい感情を麻美が持っていないことを知っている深岬は、気を遣わなければならない。
練習以外の部分で疲れを感じる深岬。
そして、深岬に雪子が打ち明けた通り、小島や慶子とどう接していいかわからないのか、雪子もなんとなくぎこちない。

練習を終えても、皆と飲み会をするような気分ではなく、2倍以上の疲れを感じて家へと帰る。



練習後にダウンをしていた深岬と麻美の傍に、望がにこにこ顔で駆け寄ってくる。
一瞬だけ、麻美の顔が強張ったのを見た深岬は、自分の体にも変な緊張感が走る。

「ねーねー」
「何?」
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないよー。小島さんと慶子さんがね…」
「知ってるから言わなくていいよ」

望は、楽しそうな顔をして言うが、深岬は、少し語気を強めて言う。
まるで人の不幸を楽しんでいるような姿にむかむかしてくるのは、気のせいだろうか。
深岬がそう思うのは、雪子の姿を見ていることも手伝っている。

「なんだぁ。知ってたのなら、教えてくれてもいいじゃん」

唇を尖らせて言う望にイライラが募る。
望をいつもよりきつい眼差しで見ながら、少し離れた位置に立つ雪子の姿を確認する。
雪子は、同じ学年の友人でもある理恵と笑い合っている姿を見て少しほっとする。
深岬が神経質になる必要はないのかもしれないが、自然と気にしてしまう。

「望さー。そうやって言いまわってるの?」
「言いまわるって何が?」
「小島さんと慶子さんのこと」

深岬の代わりに、険のある口調で口を開いたのは、麻美だった。
麻美の問いに不思議そうな顔をした望だったが、迷うことなく肯定した。

「え?だって…2人とも別に隠してるつもりないって言ってたしー」
「それって別にさー言いふらしてもいいっていう理由にはならないよ」
「2人ともどうしたの?そんな怖い顔してー。なんか暗いしー」

望が言いかけたところで小島からの集合の声がかかり、3人は会話を止めて人が集まっている方向へと歩いていく。
妙な空気が流れていた。

着替えを終えて帰ろうとするところを麻美が声をかけた。

「途中まで一緒にいこ」
「…うん」

2人で外に出る。
今日は、午前中のみの練習だったので、上級生達がご飯に行くかといっているのを聞いていた2人だったが、深岬も麻美も行く気にはなれずに「お先に失礼します」と言って体育館を後にした。
外に出た瞬間むわっとするような暑さを感じて2人の口から「あっつー」と同じ言葉が揃って出てくる。
お互いの顔を見合わせた後、笑いながら歩き始める。

「アイスでも食べる?」
「いいね」

途中のコンビニに立ち寄ってアイスを選んで、外に出る。

「家、寄ってく?」
「いいの?」
「いいよ」

麻美の言葉に甘えるようにして、深岬は麻美の家にあがる。
テレビを付けながら、アイスを食べる。

「今日、望に言ってくれて助かった」
「何が?」
「あの、小島さんと慶子さんの話をしたときに…」
「ああ、あれ…。ちょっと無神経だと思ったし」
「悪気はないんだろうけどさ…。あのままだったら私、切れそうだった」
「あったら、最悪じゃん」

と軽く笑って言う麻美に頷き返して半分溶けかかっているアイスを食べることに集中する深岬だった。
その後、軽く雑談をして時間を過ごした後、帰ると言って麻美の家を出てきた深岬だった。
暑さは変わらなかったが、少しは足取りが軽かった。

「あっれー、深岬ちゃん」
「あ…望」
「ご飯のときいなかったから、どうしたのかと思ったよ」

練習終了直前のきまずさなどどこへやら、全く気にした様子を見せることなく話す望に少し拍子抜けする深岬。

「麻美の家によってアイス食べてたんだ」
「へー何か最近、麻美ちゃんと深岬ちゃんって凄い仲良しだよね。2人でよく先帰ったりとかするし」
「あ、まぁね」

少し含むような言い方だったが、気にしないようにして深岬は返事をした。

「でもさ…。それってどうなんだろう?」
「え?」
「ほら、他にも同じ学年の子がいるわけでしょ?2人がお互いにべったりってまずいと思うんだよね」
「あ…気をつけるよ。じゃ、電車の時間あるから」

望の口から出てくる苦言にから逃げるように深岬は、手を軽く持ち上げて振ると「気をつけてね」という声とともに望も同じように振り返した。
気分が沈むそんな感じだった。
別に麻美だけとそんなに仲良くしているつもりはなかった。
それは、麻美も同じだろう。
他の子ともの会話はするし、笑いあう。回数は、減ったが飲み会にも参加するし、ご飯も行く。
望の目には、そうやって映っているのかと思って人間関係って面倒だとつい心の中でぼやく。
女の子同士の付き合いは、えげつなくて面倒だって誰かが言っていたが、本当に面倒だと深岬は再確認した。





「おはよーございまーす」

体育館に行くと珍しく人はいなかった。
他の部活はもうすでに練習が始まっているのか騒がしかったが、バドミントン部に割り当てられたコートは誰もいなくて静かだった。
珍しいと思いながらも壁際に寄っていき、座っていると坂上が顔を出した。

「あれ?深岬ちゃん1人?」
「はい…」

こうして坂上と会話をするのも何だか久しぶりな気がした。
それどころじゃなかったのも一つ理由に入るのだが…。
坂上は、まっすぐ深岬の横にくると深岬と同じように床に腰を降ろす。

「最近、何かあった?」
「え…」

坂上が何気なく口にした問いに、深岬は横顔のまま目を見開く。
思わず言葉に詰まる。

「なんかさ…最近、暗い顔してること多くない?」

鋭い指摘に返す言葉がすぐに出てこなかった。
すぐにでも、何でもないと否定できたらよかったのかもしれないが、生憎と咄嗟にそんなことは思いつかなかった。
それくらいには、疲れていたのかもしれない。
また、気づいてくれているということに嬉しさを感じない深岬ではなかった。
坂上の顔を縋るような目で見返す。
深岬の視線に対して、坂上は「ん?」と不思議そうな顔をして見せる。

「あ…あの…」

と言い掛けた矢先に、人が数人入ってくる気配がしたことと、自分が今口にしようとした人物達の名前が、坂上がとりわけ可愛がっている後輩のことだけに、即座に言うべきではないと判断した。
開きかけた口を閉ざして、視線を坂上から外す。

「あ、やっぱり…なんでもないです」
「でも、何か言いかけたじゃん」
「あ、気のせいです。気のせい…」

言いかけて止めた深岬に少し咎めるような視線を送る坂上。
気づかない深岬ではなかったが、坂上には、相談できないと思って口を閉ざすしかなかった。

人が増えてきたことに便乗して、立ち上がると坂上のことは気にしないようにして、同じ学年の部員が集まる方へと寄っていく深岬だった。
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