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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0322
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2008

0113
今日の主役は、3年生と2年生だった。
故に、飲み会のターゲットになっているのは専ら3年生と2年生になる。
3年生と2年生が1人ずつ挨拶をした後4年生や1年生はこぞって彼等に乾杯を求めては潰しにかかる。
挨拶の直後は、良かったのかもしれない。
一時間が経過しようという頃にはすっかり二分されていた。
上級生と1年生とで面白いくらいにはっきりと分かれていた。
もう既に、いつもの飲み会となんら変わらない様子ではしゃぐ上級生に対して、それを傍観する1年生。
唯一の例外は、望だけだった。
彼女は、上級生に混じって大いにこの場を楽しんでいた。
他の1年生はと言えば、望のように何とかその場に溶け込もうとしている者もいれば、完全に蚊帳の外から見ている者もいる。多いのは、どちらかと言えば後者だろう。
深岬は当然後者である。
昨日の飲み会で坂上が1年生に対してキレたという話を望から聞いたばっかりの深岬は、そんな同学年の様子に仕方ないかと思いつつも自分が輪の中に入っていく気にはなれなかった。
昨日とは、違い上機嫌の坂上。
今日は、キレそうな雰囲気は醸しだしてはいないが、彼と接する1年生はどこかぎこちない。
当然といえば当然の結果だろう。

深岬の横には、麻美が座っているのだが、いつもなら仲の良い坂上の近くではしゃいでいる彼女が珍しくも深岬の横で大人しくしている。
自分以外の誰かが坂上の横で楽しそうに笑っていたり、同じように坂上が笑う姿を見るのは、良い気持ちはしないものだが、これはこれで少し違和感を感じ、一体どうしたのかと思いながら麻美を横目で見ると、麻美と目が合う。

「今日は、行かないの?」

とはしゃぐ上級生の方向を指差すと麻美は首を振った。
至って普通の顔をしているので、酒もあまり飲んでいないということがわかる。

「いかない」
「珍しい…」
「だって、望がいるもん」

苛立ったように言う麻美に深岬は両目を見開いた。
言葉の調子から判断するに麻美が望に対していい感情を抱いていないということが容易に判断できる。
少なくとも深岬が覚えている範囲では、2人が仲が悪いということはなかった。

「何かあった?」
「あった?じゃないんだってば!アイツ、ムカツク…」

一応離れているとは言え、同じ空間にいることに配慮して、後半の言葉は声を抑えて言っていたが、横にいた深岬にははっきりと耳に届いていた。

「え…」
「アンタはムカつかないの!?」
「は?何が」
「練習来いメール」

と聞いて漸く理解できた深岬だった。
深岬に望がみんなにメールしようかなと言った翌日から練習にちらほらと数は少ないが出てくるようになった。
ただ、麻美はその後も出てきてなかった。
なるほどと納得する深岬の横で、怒りが沸々と湧き上がっている麻美は、イライラした様子で携帯の画面を見せてくる。

「このメール、来たでしょ?」
「いや…私には、着てない」
「何でよ?」
「望みたいに毎日行ってたわけじゃないけど…ほら、昨日の試合に出ることになってたから、顔は何度か出しててさ」
「そうなの?ま、いいや…、これ見てよ」

深岬の台詞に納得はしたようで、メールの内容を読めと促がしてくる。
言われるままに目を落とす深岬だったが、内容を見て顔を少し顰めた。
麻美が怒るのも納得できるような書き方だった。
深岬が携帯を麻美に返すと乱暴な仕草で携帯電話を仕舞う麻美。

「あったま来る…何が、私にできてるんだから皆出来て当然でしょ?だ」
「まぁまぁ」
「あんただってムカつかないの?テストはただの言い訳だって、アンタの楽な経済学部と一緒にすんなっっーの」
「それは、ちょっとね」

確かに全部を自分の目線で見られることは腹が立つことこの上ないだろう。

「でしょ!?何様って感じがするし…私、望ダメかも」
「ま、合う人合わない人がいるから仕方ないよ…ヤなことは、忘れて飲も」

随分前から空になっていた麻美のコップに酒を注ぐ。
ひとしきり深岬に話したことで少しすっきりしたのか、麻美もそれ以上何も言わずに頷いた。

「ところで、深岬。今日も雪子さんのところでしょ?」
「あ、うん。そのつもり…」
「とてもじゃないけど、無理じゃない?」

そう言って麻美はある方向を指差す。
深岬が指の方向を追いかけていくとそこには、既にぐだぐだになって床に沈んでいる雪子がいる。
それを見て、無理かも…と思っていると麻美が「ウチにきてもいいけど…」と言い掛けた時に、既に酒に酔って顔を赤くさせた望がにこにこ顔で寄ってくる。

「深岬ちゃんも麻美ちゃんも、こんなところでまったりしてないであっちで飲もーよ」

先ほど麻美から望に対する不満を聞いた直後だっただけに、間が悪いと冷や汗をかきそうな深岬だったが、深岬の心配は杞憂に終わった。
望に不満たらたらの様子の麻美は、深岬の予想の範疇を超えて笑顔で望に応対していた。
わっけわかんない…と呆然としながら笑って上級生が騒いでいる一団に近づいていく麻美を見送った深岬に、麻美を送り出した後、深岬が席を立つのを待っていた望が焦れたように深岬の手を引っ張る。

「深岬ちゃんも早くいこっ」

邪気のない笑みを浮かべながら深岬の手を引く望に引きずられるようにして連行されながら、深岬は、「女って怖い…」などと思っていた。





その後、宣言通りに麻美は、部活に顔を出さなくなった。
また、他の1年生も一度行かなくなるとそのまま引きずってしまうのか足が遠のいていた。
夏休み中の練習は、常に顔ぶれが決まっていた。
幹部になった2年生と1年では、深岬と望。そこにたまに顔を出す上級生と毎日入れ替わり立ち替わりで変わる1年生の姿。

練習をした後は、ぐだぐだと時間を潰して、夜は飲み会。
主に雪子から誘われたり、坂上が思いつきで計画したりというのが大半だった。
練習に出た後は、特にすることもなかった深岬は、当然のようにそれに参加する。勿論、望もだ。

たとえ、練習時間にいなくても1人暮らしをしている者は、呼び出せば大体現れるので、下手したら練習時間よりも人が多いかもしれなかった。
だが、坂上を呼び出すと2回に1回の割合で確実に麻美が付いてくる。
練習に来なくなっても2人の仲の良さは健在のようで、その2人の姿は少なからず深岬に影響を与えていた。
2人が揃って現れた日の飲み会は、純粋にその場を楽しめない。
気になってしまう。
何か特別な関係なのだろうかとか―。
或いは、自分が麻美と同じ立場になったとして、同じようには決してならないだろうとか―。

そして、夏―いや、幹部になってからという方が正しいかもしれないが、酒が入ると坂上が兎に角、キレやすくなった。
その矛先は練習にあまり意欲を見せずに出てこない1年に向いている。
キレた坂上に対して、深岬はうまく宥める方法など知らないし、どうすればいいのかすらわからずに困ってしまうのだ。
上手く宥めるのは、麻美や望と言った坂上と親しい人間で、それも深岬の嫉妬心を煽るのを手伝っていた。

近づきたいのに、一定の距離以上近づけない。麻美や望のように坂上の近くに立つことができない。心では、どれだけ近づきたいと思ったところで、そんな勇気もない。ジレンマを抱えたまま、日々が過ぎていった。
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