更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き.
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2008
「ね、誰?」
深岬に覆いかぶさるようにして深い眠りい入ってしまった厚顔無恥な男は、どれだけ深岬が起こそうと奮闘しても起きる気配はなかった。
仕方なく雪子に手伝ってもらって2人がかりで雪子の家に運び込む。
行き先は雪子の家しかなかった。
意識を失った人間というものは、ひどく重たく感じる。
気分はもうすっかり重労働を終えた後のおっさん。
アルコールは抜けていた。
雪子の家につくなり津田の身体を転がして、どかりと2人で玄関先に座りこむ。
「水…」
「動きたくない」
「私も…」
と言いながら雪子は自分達がここまで運んできた男の気持ちよさそうな…。雪子や深岬からしてみれば腹立たしいことこの上ない男の寝顔を見た。
見て、驚いたように深岬の肩をぽんぽんと叩く。
「カッコいいんですけど」
「ああ、はいはい。いくら格好よくても、こんな非常識なの勘弁だよ」
ぼやくように言う深岬は置いて、雪子ははいはいのような姿勢で寝ている津田に近づいて行くと人差し指でつんつんと触る。
そして、冒頭に戻る。
誰?と聞かれた深岬は、雪子と津田の方を振り返りながら面倒くさそうに答えた。
「学科のクラスメート。水もらうよ」
「どうぞ。マジで~こんなのいるの?」
「いるよ。友達が狙ってる」
「やっぱり」
とうんうん頷いてみせる雪子を妙に冷めた目で見る深岬だった。
結局その日は、起きる気配のみせない津田に、深岬も雪子も彼を放置して、眠気が襲ってきたので自分達も寝ることにした。
とんだ厄日だと悪態をつきながら…。
ところが…。翌朝。
津田は、一向に起きる気配を見せない。
呆れたような視線を送る深岬に、雪子が苦笑しながら家の鍵を差し出した。
「はい、これ鍵」
「ありがと。ってかゴメン」
と一言謝っておく。
何で、私が謝らなきゃいけないのよ。
深岬の叫びは尤もだろう。
雪子が、2コマから授業があるということで出て行かなければならない時間が来ていた。
幸か不幸か深岬は3コマ目から、当然目の前でひたすら爆睡している男もそうだろう。
放り出すわけにもいかずに仕方なく深岬が雪子の部屋の鍵を預かることになった。
雪子を見送った後、大きな身体を丸めて眠る男を見て大きく溜息を零す深岬だった。
「何やってんだか…」
深岬の口からそんな言葉が漏れた途端、寝ていたはずの男の目がぱっちりと開いた。
自分の声で起きたのかとびびる深岬などおかまいなしに男は立ち上がると部屋の中をさまよい始める。
その姿はまるで何かを探しているようで…。
「何してんの?」
「と…トイレ~」
とまぁ、見事に情けない声・情けない顔で深岬に訴えるので、深岬はトイレの場所を指差してやるとだだだっと音をたててトイレに駆け込む。
そんな迷うほどの広さでもないというのに…。
余程切羽詰っていたのだろうかと思わざるを得ない。
しかし、整った顔立ちも功をなさないほどの顔の崩れっぷりを思い出して、思わず深岬は、思い出し笑いをした。
そして、数分後ましな顔で出てくるかと思った男は、まだ情けない顔をぶら下げて深岬の前に出てくる。
「きもちわるいよぉ~」
2日酔いかと津田を見ながら、深岬が分析していると津田がそこで深岬の存在に気づいたのか目を大きく見開いた。
「えっと?」
にへらと顔を緩ませて笑う津田の姿に、ぴきっと深岬の顔に青筋が浮かび上がる。
男の脛を思いっきり蹴り上げる。
「いたぁいぃ!!」
と声を上げてしゃがんだ後、「気持ち悪いぃ」と同じ言葉を繰り返した。
「散々人に迷惑かけてえっと?って何だ!」
「覚えてないもん」
と口を尖らせて言う男に思わずもう一度足が出そうになる深岬。
「覚えてなけりゃ何してもいいわけ?あんたが人に覆いかぶさって寝たもんでこっちはいい迷惑だっつーのっ!!」
「そんなことした?」
「お前以外に誰がいるっ」
「え~」
深岬は眩暈を感じずにはいられなかった。
この男の素とはこんなキャラだったのか…と。
見た目に物凄く裏切られた気がしてならない。
だからと言って昨日の時点で深岬の中でこの男の評価は、すでに最低ランクに位置しているので今更どうこうという話ではなかった。
「見ず知らずの人間に迷惑かけるような飲み方すんなっ!」
「しんどうしゃん」
「何!?」
相手が自分の名前を覚えていたことに少し驚く。
深岬は、涼子から聞いていなければ名前すら知らなかっただろうから…。
「お名前は?」
こんな時に何を聞いてくるのかと深岬は思ったが、律儀に答える当たりが深岬の性格のいいところでもあり悪いところでもある。
「深岬」
「じゃ、みさきちゃん」
「なんだそれは!?」
「君と僕は見ず知らずの人間じゃないよぉ」
などと言うものだから…。
津田の頭に深岬の握りこぶしがめり込んだことは言うまでもない。
ごんっという重々しい音に混じって男の悲鳴が響く。
「言うに事欠いてそこかっ!!」
「だってクラスメートでしょ?」
「ほとんど口利いたことないだろっ!」
と乱暴な口調になるのは、男兄弟の中で育った悲しさか…。
深岬に拳骨を貰ったところを手で押さえながらにっと笑う。
「今、口利いてる」
「屁理屈を言うな。このアンポンタン」
「ん~。今、何時ぃ?」
「人の話を聞け!」
とまぁ…。始終、こんな感じで時間は過ぎていった。
話してみれば、間延びした口調だわ、しゃべる内容はとんちんかんだわとそれだけで疲れてくるのだが、深岬はそれでもなんだかんだで津田の相手をしている。
何故か一緒に昼を食べに外に出ているのだから不思議だ。
「昼からの授業ってなんだっけ?」
少し頭がすっきりしてきたのか、存外まともな話し方をする津田だったが、この時点で深岬は違和感めいたものを感じずにはいられない。
最初に見た男の姿が、まぁあれでは仕方がないと言えよう。
「回路理論」
「うわっ、マジかぁ」
ラーメンすすりながら言う男の姿はどうもミスマッチだ。
「あのセンセさぁ、頭バーコードじゃん?あれが風でそよぐのを見ちゃうとさぁ、もうそればっかりに目がいっちゃうんだよねぇ。せめて窓閉めて授業してくれればいいのに…しかもたまぁに窓辺で黄昏てるじゃん。あれ絶対受け狙いだよ受け狙い」
「……」
津田の言葉に深岬は、教官の顔を思い出して思わず噴出した。
そんな深岬に嬉しそうに言う。
「でしょでしょ」
「あんた、そんなこと考えて授業受けてんの?」
「だって、そうでもしなきゃ退屈でさぁ」
と言いながら大きな欠伸をする男はすでに先にどんぶりを空にしていた。
そして、深岬のコップが空になっているのを見つけるとさりげなく水を注いでくれる。
「ありがと…」
「ん?ああ、別に~」
何てことないように軽く笑って言う津田に少し見直した深岬。
深岬が食べ終えるのを待って、揃って店を出る。
「ラーメンで本当に良かったの?」
「え?何が?」
「しかも、自分で払っちゃうし」
「別に…ってかねぇ、何であんたが私の分まで払う必要があんのよ!ばっかじゃない」
「だって、女の子ってみんなそうじゃない?それに迷惑かけちゃったし」
「一緒にすなっ!そして、今更迷惑かけたとかしおらしいこと言うなっ、最初に言え!」
「そりゃそうだ」
津田は満足そうに笑いながら、深岬と並んで2人で大学に向かう。
さも当然のように深岬の横を陣取って座った津田の姿に授業開始直前に現れた涼子は目をまん丸にして驚いていた。
「どうゆうこと?」
「成り行き。後で説明する」
面倒くさそうに言う深岬に、涼子は頷く。
無理やり、聞き出さないほうが良いと判断した。
横にいる津田は、楽しそうな表情をしているが、深岬はうんざりと言った表情を浮べていたから…。
気にしつつも聞けない。
その一時間は、涼子にとっては落ち着かない、深岬とってはうんざりと津田だけが非常に満足そうな顔をしていた。
その日以降も深岬の傍には、津田がついている光景が多々見られるようになっていった。
何故か妙な男に懐かれた深岬だった。
深岬に覆いかぶさるようにして深い眠りい入ってしまった厚顔無恥な男は、どれだけ深岬が起こそうと奮闘しても起きる気配はなかった。
仕方なく雪子に手伝ってもらって2人がかりで雪子の家に運び込む。
行き先は雪子の家しかなかった。
意識を失った人間というものは、ひどく重たく感じる。
気分はもうすっかり重労働を終えた後のおっさん。
アルコールは抜けていた。
雪子の家につくなり津田の身体を転がして、どかりと2人で玄関先に座りこむ。
「水…」
「動きたくない」
「私も…」
と言いながら雪子は自分達がここまで運んできた男の気持ちよさそうな…。雪子や深岬からしてみれば腹立たしいことこの上ない男の寝顔を見た。
見て、驚いたように深岬の肩をぽんぽんと叩く。
「カッコいいんですけど」
「ああ、はいはい。いくら格好よくても、こんな非常識なの勘弁だよ」
ぼやくように言う深岬は置いて、雪子ははいはいのような姿勢で寝ている津田に近づいて行くと人差し指でつんつんと触る。
そして、冒頭に戻る。
誰?と聞かれた深岬は、雪子と津田の方を振り返りながら面倒くさそうに答えた。
「学科のクラスメート。水もらうよ」
「どうぞ。マジで~こんなのいるの?」
「いるよ。友達が狙ってる」
「やっぱり」
とうんうん頷いてみせる雪子を妙に冷めた目で見る深岬だった。
結局その日は、起きる気配のみせない津田に、深岬も雪子も彼を放置して、眠気が襲ってきたので自分達も寝ることにした。
とんだ厄日だと悪態をつきながら…。
ところが…。翌朝。
津田は、一向に起きる気配を見せない。
呆れたような視線を送る深岬に、雪子が苦笑しながら家の鍵を差し出した。
「はい、これ鍵」
「ありがと。ってかゴメン」
と一言謝っておく。
何で、私が謝らなきゃいけないのよ。
深岬の叫びは尤もだろう。
雪子が、2コマから授業があるということで出て行かなければならない時間が来ていた。
幸か不幸か深岬は3コマ目から、当然目の前でひたすら爆睡している男もそうだろう。
放り出すわけにもいかずに仕方なく深岬が雪子の部屋の鍵を預かることになった。
雪子を見送った後、大きな身体を丸めて眠る男を見て大きく溜息を零す深岬だった。
「何やってんだか…」
深岬の口からそんな言葉が漏れた途端、寝ていたはずの男の目がぱっちりと開いた。
自分の声で起きたのかとびびる深岬などおかまいなしに男は立ち上がると部屋の中をさまよい始める。
その姿はまるで何かを探しているようで…。
「何してんの?」
「と…トイレ~」
とまぁ、見事に情けない声・情けない顔で深岬に訴えるので、深岬はトイレの場所を指差してやるとだだだっと音をたててトイレに駆け込む。
そんな迷うほどの広さでもないというのに…。
余程切羽詰っていたのだろうかと思わざるを得ない。
しかし、整った顔立ちも功をなさないほどの顔の崩れっぷりを思い出して、思わず深岬は、思い出し笑いをした。
そして、数分後ましな顔で出てくるかと思った男は、まだ情けない顔をぶら下げて深岬の前に出てくる。
「きもちわるいよぉ~」
2日酔いかと津田を見ながら、深岬が分析していると津田がそこで深岬の存在に気づいたのか目を大きく見開いた。
「えっと?」
にへらと顔を緩ませて笑う津田の姿に、ぴきっと深岬の顔に青筋が浮かび上がる。
男の脛を思いっきり蹴り上げる。
「いたぁいぃ!!」
と声を上げてしゃがんだ後、「気持ち悪いぃ」と同じ言葉を繰り返した。
「散々人に迷惑かけてえっと?って何だ!」
「覚えてないもん」
と口を尖らせて言う男に思わずもう一度足が出そうになる深岬。
「覚えてなけりゃ何してもいいわけ?あんたが人に覆いかぶさって寝たもんでこっちはいい迷惑だっつーのっ!!」
「そんなことした?」
「お前以外に誰がいるっ」
「え~」
深岬は眩暈を感じずにはいられなかった。
この男の素とはこんなキャラだったのか…と。
見た目に物凄く裏切られた気がしてならない。
だからと言って昨日の時点で深岬の中でこの男の評価は、すでに最低ランクに位置しているので今更どうこうという話ではなかった。
「見ず知らずの人間に迷惑かけるような飲み方すんなっ!」
「しんどうしゃん」
「何!?」
相手が自分の名前を覚えていたことに少し驚く。
深岬は、涼子から聞いていなければ名前すら知らなかっただろうから…。
「お名前は?」
こんな時に何を聞いてくるのかと深岬は思ったが、律儀に答える当たりが深岬の性格のいいところでもあり悪いところでもある。
「深岬」
「じゃ、みさきちゃん」
「なんだそれは!?」
「君と僕は見ず知らずの人間じゃないよぉ」
などと言うものだから…。
津田の頭に深岬の握りこぶしがめり込んだことは言うまでもない。
ごんっという重々しい音に混じって男の悲鳴が響く。
「言うに事欠いてそこかっ!!」
「だってクラスメートでしょ?」
「ほとんど口利いたことないだろっ!」
と乱暴な口調になるのは、男兄弟の中で育った悲しさか…。
深岬に拳骨を貰ったところを手で押さえながらにっと笑う。
「今、口利いてる」
「屁理屈を言うな。このアンポンタン」
「ん~。今、何時ぃ?」
「人の話を聞け!」
とまぁ…。始終、こんな感じで時間は過ぎていった。
話してみれば、間延びした口調だわ、しゃべる内容はとんちんかんだわとそれだけで疲れてくるのだが、深岬はそれでもなんだかんだで津田の相手をしている。
何故か一緒に昼を食べに外に出ているのだから不思議だ。
「昼からの授業ってなんだっけ?」
少し頭がすっきりしてきたのか、存外まともな話し方をする津田だったが、この時点で深岬は違和感めいたものを感じずにはいられない。
最初に見た男の姿が、まぁあれでは仕方がないと言えよう。
「回路理論」
「うわっ、マジかぁ」
ラーメンすすりながら言う男の姿はどうもミスマッチだ。
「あのセンセさぁ、頭バーコードじゃん?あれが風でそよぐのを見ちゃうとさぁ、もうそればっかりに目がいっちゃうんだよねぇ。せめて窓閉めて授業してくれればいいのに…しかもたまぁに窓辺で黄昏てるじゃん。あれ絶対受け狙いだよ受け狙い」
「……」
津田の言葉に深岬は、教官の顔を思い出して思わず噴出した。
そんな深岬に嬉しそうに言う。
「でしょでしょ」
「あんた、そんなこと考えて授業受けてんの?」
「だって、そうでもしなきゃ退屈でさぁ」
と言いながら大きな欠伸をする男はすでに先にどんぶりを空にしていた。
そして、深岬のコップが空になっているのを見つけるとさりげなく水を注いでくれる。
「ありがと…」
「ん?ああ、別に~」
何てことないように軽く笑って言う津田に少し見直した深岬。
深岬が食べ終えるのを待って、揃って店を出る。
「ラーメンで本当に良かったの?」
「え?何が?」
「しかも、自分で払っちゃうし」
「別に…ってかねぇ、何であんたが私の分まで払う必要があんのよ!ばっかじゃない」
「だって、女の子ってみんなそうじゃない?それに迷惑かけちゃったし」
「一緒にすなっ!そして、今更迷惑かけたとかしおらしいこと言うなっ、最初に言え!」
「そりゃそうだ」
津田は満足そうに笑いながら、深岬と並んで2人で大学に向かう。
さも当然のように深岬の横を陣取って座った津田の姿に授業開始直前に現れた涼子は目をまん丸にして驚いていた。
「どうゆうこと?」
「成り行き。後で説明する」
面倒くさそうに言う深岬に、涼子は頷く。
無理やり、聞き出さないほうが良いと判断した。
横にいる津田は、楽しそうな表情をしているが、深岬はうんざりと言った表情を浮べていたから…。
気にしつつも聞けない。
その一時間は、涼子にとっては落ち着かない、深岬とってはうんざりと津田だけが非常に満足そうな顔をしていた。
その日以降も深岬の傍には、津田がついている光景が多々見られるようになっていった。
何故か妙な男に懐かれた深岬だった。
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