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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0321
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2008

0117
「最後の難関は、雪子だな」

「最近、あからさまだよね…」

「あれじゃ、小島が可愛そうだよ…」

「慶子も完全なとばっちりだよね」

「ま、でも…しばらく休み入るから放っておけばいんじゃね?」





聞こえ始めた声。
完全に雪子が悪者になっているように聞こえるそれに深岬は、我慢ならなかった。

「深岬ちゃん。聞いた?」

夏休み最後の練習を終えて帰ろうとしていた深岬の元に絵里が寄ってくる。

「何を?」
「雪子さんがね…」

雪子の名前が出た時点で、またかと思った深岬だったが、その後に続く絵里の言葉を聞いて、深岬は自分の耳を疑った。

「小島さんに、慶子さんと付き合う気ならもう遊んだりはしないよ…って、部活の運営には差し支えないようにするけど、それ以外は口も利きたくないって」
「は?何それ。本当に?」
「本当みたいだけど?望が、小島さん本人から聞いたって言ってたし」

それだけ聞くと深岬の耳には、それ以上の絵里の言葉は入ってこなかった。
信じられないというのが、第一の感想と次に、お前は子供かという罵倒。
そんなことしたところで何の意味も持たないというのは、雪子とてわかっているだろうに…。
余計苦しむのは、雪子自身なのに。
着替え終わって荷物を片付けながら、そんなことをずっと考えていた。
荷物を持って挨拶をして更衣室を出て行く。
向かった先は、まだ体育館に残っている雪子のところだった。

「あ、深岬ちゃん…明後日ね…」

と途中すれ違った望が何か言っていたのだが、ほとんど聞いていなかった。
上級生と何やら楽しそうに話をしていた雪子に近づくと、雪子の体を引っ張る。

「ちょっと、雪子借りますね」
「あ…ああ」

深岬の拒否を許さない態度に目を剥いていた上級生達だが、頷く。
それを確認することなく深岬は、雪子の体を引っ張って体育館の外へ連れ出す。

「どうしたんだ?」

途中ですれ違った坂上も驚いたような表情で尋ねてくるが、それにも返事をしなかった。

「み、深岬どうしたのよ」
「あんたね…そりゃ卑怯でしょうが!」
「は?」

突然、怒り出した深岬に雪子は状況が掴めなくてきょとんとした顔で、深岬の顔を見返すだけ。

「小島さんに…慶子さんと付き合うなら絶交って言ったんでしょ」
「…誰から聞いたの?」

事を理解した雪子が眉間に皺を寄せて深岬に聞き返す。

「誰でもいいじゃない。皆知ってると思うよ」
「…絶交とまでは、言ってないわよ…」
「どっちも同じでしょ。何考えてんの?卑怯じゃない」
「…分かってるよ…それは、分かってるんだけど……素直に認めてあげらんないんだもん」

弱弱しく言葉を口にする雪子だが、深岬はそんな雪子に対して完全に呆れたような顔をしてみせる。

「なぁ、今の話、マジかよ?」

不機嫌さを隠しもしない低い声が聞こえてきて、雪子だけでなく、深岬も体を竦めて驚きを表現した。
恐る恐る顔を背後に向けると顔を顰めて雪子を睨みつけている坂上が立っている。
すれ違った深岬と雪子の様子を見て、不審に思って追いかけてきていた。
確りと深岬と雪子の会話も聞いてしまっていた。
近づいてくる坂上の迫力に思わず道を開ける深岬。

「お前、部のことそっちのけでやっていいことと悪いことがあんだろっ!ざけんなよっ。お前ら2人の問題に周りを巻き込むんじゃねぇよ」
「部活には迷惑かけないようにするつもりだったもん」
「そういう問題じゃねぇだろ!」

大きな怒鳴り声は、下手をすれば遠くの人間にも聞こえそうな声だった。
人に見つかったら危ないと思った深岬は、坂上を宥めにかかる。
「さ、坂上さん。落ち着いて…。雪子も本心じゃないと思うし…」
「だったら、尚更タチ悪ぃよ」
「寂しかったんだって、雪子は、小島さんのこと好きだったんだし、好きな人と友達同時に取られちゃったみたいに感じたんだって…きちんと撤回させるから」
「……お前、最悪だな。好きな男の恋愛ジャマして楽しいかよ」

深岬の言葉を聞き入れてくれたのか、坂上は怒りは抑えているが、殊の外冷たい声で雪子に向かってそう言うと大袈裟な動きで深岬と雪子の前から去っていく。
坂上がいなくなるのと同時に雪子がずるずるとしゃがみこむ。
慌てて深岬が近寄ると小さくしゃくりあげる声が聞こえてくる。

「分かってるんだもん…自分のやってることが、リョウちゃんに…」
「分かってるならやっぱ取り消した方がいいよ。友達まで無くしちゃうよ」
「もう…言っちゃった後だもん…無理だよ……。坂上も呆れてたじゃん…リョウちゃんだけじゃなくて、坂上まで…」
「今なら間に合うと思うよ。そういうことは、間を空ければ空けるほど、関係の修復が難しくなるでしょ?小島さんだって、雪子が離れていっちゃうのは寂しいと思うし」
「どうやって…接したらいいかわかんないよ…」
「じゃあ、素直に言えばいいじゃん。きっと分かってくれるよ。だって、小島さんも坂上さんも雪子の友達でしょ?」

下を向いたままじっと深岬の言葉に耳を傾けていた雪子だったが、しばらく微動だにしなかったものの最後に小さく頷いた。
それを見て、深岬はほっとした。
泣き止んだ雪子を連れて戻るともうほとんど人は、残ってなかった。
着替えをさせるために雪子を更衣室の中に放り込むと待っていたのだろう坂上が声を掛けてきた。

「…どうなった」

まだ、少し不機嫌な声だったが、それは仕方ないだろう。

「何とかなると思います…。坂上さんにの雪子から話あるかもしれないので、きちんと聞いてあげてくださいね。あまり、怒らないであげて欲しいんですけど…」
「努力はしてみる……」

ぶすっと言った坂上に苦笑を浮べた。
その日の夜、深岬の携帯に雪子からのメールが届いた。
内容は、話した――という簡潔なものだったが、深岬は敢えて聞かなかった。
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