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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0322
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2008

0111
テスト期間突入する7月の終わり―。
はっきり言って鬱陶しいことこの上ない時期。
テストだろうが何だろうが、部活はある。

「あぁ!もうやだー」

と思わず声が漏れた深岬に横にいた涼子がくすくすと笑みを零した。

「何?」
「んーん。部活もあって中々勉強する時間ないでしょ?」
「んー?行ったり行かなかったりかなぁ」

机に突っ伏しながら答える深岬に涼子は不思議そうな顔を向けた。

「行きにくい…」

小さな声で零した深岬に涼子がきょとんとした視線を向けているのを深岬は感じていたが、何も言わずに横目で机の木目を見ていた。

「何かあったの?」
「あったというかなかったというかやったというかなんというか…」

もぞもぞと口を動かして、聞こえるか聞こえないかわからないほどの小さな声。

テスト前の最後の試合。
深岬は、坂上に気を取られるあまり、試合の内容は散々だった。
公式試合であり、重要な位置を占める試合で取れるはずの試合を落とした自分への不甲斐なさと元凶とも言うべき坂上に会うきまずさも手伝って、格段に部活へと向く足が遠のいていた。
とはいえ、テスト終了後に一年で一番大きいともいえる試合が組まれている。
大きな大会で日程は3日組まれている。
一日は練習日、残りの2日が試合というように―。
最後のテスト日と練習日の一日が被っていたが、試合には、遅れていけば間に合うということと上級生から懇願された所為もあってか当然、その試合に出る深岬は、テスト中だろうが何だろうが練習はするべきことで…。
ずっと隠れているわけにもいかなかった。
深岬だけでなく、他の一年生も同様に足が遠のいている。
とりあえず、今までの半分程度と言ったところだろうか。
それ位は、深岬は練習に参加してはいた。
他の一年生とは、一人を除いて会うことがほとんど無かった。
勿論、一番大事な試合を目前にしている上に、練習に出てこない一年生に上級生は、ぴりぴりしていた。
だが、そんなことおかまいなしにそれとは別の部分で何となく後ろめたさを感じる。

知らず知らずのうちに重い溜息が零れてくる。

「意味わかんないよ」
「ですよね…」

涼子の少しむっとしたような声に、深岬は半笑いを浮かべながら体を起こして同意する。
横に座っていた涼子は、がたりと音をたてて椅子から立ち上がる。
目で追いかける深岬ににっこりと笑いかける。

「お腹すいたねー。ご飯いこっか」
「何かその笑顔が怖いんですけど…」
「はーい。行こうね」

何だか背筋に寒気を感じるような涼子の笑みに乾いた笑いで返すが、腕をしっかりと掴まれて立たされる。
そのまま引きづられるようにして、自分達がいたところから一番近い位置にある学食へと向かう深岬と涼子だった。
ショーケースに並べられた今日のメニューから適当に選び、注文する。
今日の深岬の昼食の乗ったトレーを持って空いている席に2人で向かいあって座る。

「あー。深岬ちゃんだ」

いただきますと律儀に手を合わせて入学して4ヶ月も経とうものなら、すでに味に慣れてしまった料理を口に入れようとしたときに一際高い声が聞こえてくる。
急に名前を呼ばれたことで吃驚した深岬だったが、振り返るまでもなく背後から聞こえてきた声の主が判別できた。

「望…」

振り返るとニコニコ顔で手を振りながら近づいてくる望の姿がある。

「お昼ー?」
「見たら、わかるでしょ」
「だね…。あ、この間の子だ」
「どうも」

涼子の顔を見て、笑いかけると同じように涼子も口許に笑みを浮かべながら応対する。

「ねぇねぇ。深岬ちゃん。今日の練習くるよね?この間なんてさー練習人が少なくて遊びだったー」
「明日は、テスト科目ないから行くつもりだけど、そんなに人が少なかったの?」
「うん。深岬ちゃんも来てくれれば良かったのに」
「無茶。言わないでよ。私は、あんたみたいに頭良くないの。必死なんだからね」

少しイラついたような口調で言う深岬に望は、けたけたと笑うだけ。

「大丈夫だよー。何とかなるもんだってサカガミも言ってたしー」

坂上の名前が出てきたことにどきりとする。

「ま、いいやー。今日来るんだよね。良かったぁ。最近、一年生全然来ないから先輩達なんかぴりぴりしてるんだよねぇ」

望の言葉にそうなのかと少し目を見開く深岬。
今まで、自分のことで精一杯で周りになど目を向けている余裕なんてなかった。

「はいはい。じゃあ、練習でね」
「うん。ばいばーい」

去っていく望の背中を見送った後、顔を前に戻すとじとっとしたような涼子の視線を感じて深岬は思わず体が硬直する。

「な…何?」
「坂上さんっていう人と何かあったの?」
「え…っ?」

突拍子もない―だが、見事に的を突いた涼子の言葉に深岬の顔が引きつる。
深岬は、涼子から視線を逸らすと大きな溜息をひとつ零した。

「何で分かるかなぁ?」
「だって、望ちゃんだっけ?あの子の口から坂上さんの名前が出てきてから急に顔色変わったもん」

もう一度大きく溜息を零す。
それは、自分に対する呆れも含んでいた。
もうちょっと上手くやれよ…という呆れ。
こんな調子では、確実に相手に伝わる。いや、伝わっているかもしれない。
余計に深岬の気分を重くさせる。

「あれ、でも…。その人って先輩じゃなかったっけ?なんで、あの子呼び捨てで呼んでたの?」
「あー。あれは、坂上さんが先輩って呼ばれるの嫌ってて」
「で、呼び捨てなの?」
「うん」
「深岬ちゃんは?」
「私?無理。できない…。仮にも先輩でしょ」
「ま、それが普通だと思うけど…それで、何があったの?」
「あ…いや」

話をそらせたかと思った深岬だったが、その考えは甘かった。
ちっと舌打ちをする深岬だが、涼子は対照的に笑みを口許に浮かべている。

「ほら、早く。気になるじゃん」

その顔には、興味津々という涼子の態度がありありと表れている。

「あ…、早く食べて明日の勉強しないと」
「明日は、テストなしだよ」

動揺からかない予定を無理やり言ってもすぐ涼子に指摘される。
これは、話をするまで離してもらえなさそうだということも深岬は直感で判断する。
上手く嘘を並べて交わせるのならば、それに越したことはないのだが、その自信がないのと同時に嘘は、目の前の彼女に容易く見破られそうな気がしたのだ。
答えに窮したままもう一度涼子の顔を確認するが、何一つ彼女は変わってはいなかった。
深岬が答えるのをいまかいまかと待ち望んでいる姿にくらりと眩暈がしそうだった。
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