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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0322
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2008

0102

深岬の所属するバドミントン部では、6月の半ばに毎年恒例で一週間ほどの合宿がある。
大学内に体育会用の合宿所が存在するのだが、そこを借り切って合宿を行う。
スケジュール上では、月曜から金曜までの5日間となっており、きちんといつもよりも練習時間が多く組まれている。
金曜までとなっているが、土曜日に他大学との交流戦が組まれている故に基本的には一週間まるまる合宿のようなものだ。
土曜日に帰ってきてから飲めるように合宿所は例年通り日曜まで押さえられている。

勿論、6月という時期だ。
大学の授業もあるのだが、その間は、朝練と夕方の練習が毎日のように組まれている。
昼間は学校。
当然、死活問題になってくるのは食事・風呂だが、食事は朝練と夕練の後にまとまってみんなで食べにいくということで何とかなる。
風呂は、大学近辺に住む下宿生の家で入るという強硬策が何年もの間とられてきている。

そして、毎晩のように飲み会が開かれる。
集まればすぐに酒に直結するのは、酒好きの集団ゆえに致し方ないといったところだろうか。
この微妙な時期に合宿をする目的として、第一にあるのはやはり練習なのだが、この時期大体新入生の数が確定する。
練習に参加する顔ぶれも固定してきたり、新歓には来なかったが後から入部を希望してきたものとの距離感を縮めるものとしてこの合宿は重宝されるのだ。
参加・不参加が自由となっている4年生や院生も度々姿を現しては、むしろ下級生よりも盛大に暴れるだけ暴れて帰っていく。

既にその合宿も水曜日を迎えていた。
部員の疲れなども考えてか、水曜日の午後からは、練習が組まれておらず帰りたいと希望すれば一日だけは、家に帰ることも可能だ。
深岬は授業の終わりと同時に伏せていた顔をあげると眠そうに大きなあくびをしながら、眠たい目を擦る。
きょろきょろと横を振り返り、涼子の姿を確認する。

「終わったぁ?」

と寝ぼけた声で尋ねれば涼子は苦笑を浮かべながらも終わったよと教えてくれる。
朝練をした後の授業を正直重たい。
襲ってくる睡魔に勝てずに授業始まると同時に落ちた深岬だった。
一応、出すだけ出しておいたノートをカバンの中に仕舞うと立ち上がる。

「眠いっ。ご飯ご飯」
「どこ行く?」
「午後から授業もないし、外にいこ」
「いいねぇ。そーしよ」

と言いながら、外に向かって歩きだした深岬と涼子だった。
昼からの授業がなかったために、のんびりとした時間を過ごして、大学へ戻る途中の道に1人暮らしをしている涼子は、家に帰ると言ったので、手を振って別れると深岬は1人になったままふらふらと大学への道を歩きながら、どうしようかと考えながら歩く。
合宿所に顔を出せば、誰かいるだろうかと思いつつ合宿所までの道を歩いていると途中で見知った顔とすれ違う。
学科のクラスメートで、必然的に同じ授業を受ける機会が多いので自然と顔も覚えていく。
入学当初、むさくるしい面々に気を取られて気づかなかったのだが、数多くのむさ苦しい男どもに混じっていた数少ない顔立ちの整ったクラスメートの1人だった。
何で気づかなかったのかと思うほどの整った顔立ちに上背のある細身の体。
合コンに行けば必ずと言っていいほど、注目を集めるだろうなと思いつつも深岬は、さほど興味はわかなかったので、顔だけは覚えていたが、名前までは覚えていなかった。
やはり、周りが放っておかなかったらしく、彼の横にはスレンダーな美女が手を組んで歩いている。
生憎と女の方は、深岬は知らなかったが、やっぱりなと思いつつ、不躾にも一枚の絵のようにお似合いの2人の姿を見つめていた歩きながら見つめていた深岬だったが、相手も深岬の視線に気づいたのか男の方―深岬のクラスメートと目が合う。
―まずい。じろじろ見すぎた。 …と思って深岬が目を逸らそうとしたが、向こうも深岬の顔を覚えていたのか、じっと深岬の顔を見てきた。
突然のことに困惑しながらも、深岬はわざとらしく視線を外したのだが、男から視線を外す直前、彼が深岬を見てにっこりと笑ったのを見逃さなかった。

顔見知りだから挨拶代わりに笑った程度なのだろう。
だが、綺麗とか可愛いなどという形容とはまるで縁のない深岬にとって、整った顔立ちの男から微笑まれることなど滅多にないことで、耐性のない深岬はすっかり動揺してしまい、ばくばくと脈打つ心臓を抱えたまま足早に彼の近くから去った。
心臓の上の辺りを手で押さえながら、足だけを早く動かす。
気付けば、いつの間にか合宿で利用している合宿所の前に来ていた。
立ち止まって一度深呼吸をして気持ちを落ち着けると合宿所の中へと入っていく。

もしかしたら、誰もいないかもしれない―と思いながら。
すれ違った男の存在を頭から消すように深岬は、中へと足を踏み入れた。

「あっれぇー深岬ちゃんじゃん。授業は?」

と馴染みの声がすぐに聞こえてきて深岬は声のした方を振り返った。
にっと人好きのする笑みを浮かべて深岬のほうに向かってくるのは、野坂だった。
ほっと肩から力を抜いて深岬も軽く笑いながら答える。

「授業はないので、来ちゃいました」
「オレもオレも。あれ?なんか顔赤くない?」

どきりと一瞬緊張が走ったが、すぐに首を振って「そうですか?」ととぼけてみせた後、話題を逸らす。

「誰かいますかね?」
「多分、誰かはいる気がするんだよねー」

と言って先に歩き出した野坂の後を追いかけて深岬も合宿所の廊下を歩き、一番奥にあるバドミントン部が借りている部屋へと向かう。
とりあえず、野坂がいたことで退屈な時間は過ごさずに済みそうだと思いながら歩いていった。

先を行く野坂が合宿所のドアを開けると、数人というよりも坂上と小島が先客として広い部屋の中央に大の字になって寝ている姿があり、一瞬驚いて目を見開く。

「ははっ、こいつら寝てらー。おーい起きろー」

寝ている2人の体を足で蹴りながら野坂が声をかけていると2人のうめき声のようなものがした後、のっそりとした動きで坂上が先に体を起こす。
坂上は険しい顔をしながらも起き上がるとそこにいる野坂と深岬の顔を見つけて、横でいまだ大の字になって寝ている小島の体をゆする。

「リョウちゃん、リョウちゃん」
「んーサカガミぃ?」
「起きろって、人が来た」
「みず…」

寝ぼけ眼で言う小島に坂上は、ばしんと頭を一回叩く。

「オレは、雪子じゃねぇよ。自分でとってこい」

坂上が笑いながら言うと小島は、立ち上がってふらふらの足取りで水を取りにいく。
野坂は苦笑を浮かべたまま2人の姿を見ていた。

「あれ?野坂サン、何してるんですか?深岬ちゃんも…」

明らかにとってつけたかのような坂上の言葉に、深岬も苦笑を禁じえなかった。
あまり良い気分ではなかったが、気にしないようにした。

「授業なくてヒマだったから誰かいるかなと思って覗いたら、お前ら寝てんだもん」
「寝かしておいてくださいよー」
「ヤダ。なぁ?深岬ちゃん」

と同意を求められても深岬には答えに困るだけだ。
曖昧な笑いを浮かべていると、坂上が頭をがしがしとかき乱す。

「…っし!どっか行きますか?」
「いいねぇ」
「んじゃ、雪子たちにも連絡取るか?」
「あ、オレも誰か呼ぼうっと」

どこかに連絡し始めた坂上と野坂を深岬は黙ったまま見ているしかなかった。
深岬とは違いまだ覚醒していない小島ははっきりとしない頭で深岬と同じように坂上と野坂の姿を見ていた。
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