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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0322
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2007

0814
深岬と見合って驚く彼女の名は、秋野 雪子。
深岬が入学した大学の2年生であり、深岬と中学の部活で一緒だった。彼女はストレートで大学に合格しているので、一浪している深岬とは同じ学年ということになる。
別にこれと言って親密な関係だったというわけではない。
まぁ、仲が良いか悪いかで言えば、間違いなく良い部類には入る。
中学の時の部活のメンバーで会ったりすれば、深岬は去年一年は顔を出さなかったものの彼女とは何度か顔を合わせていたし、話もしていた。
ただ、深岬にとって彼女の大学がどこの大学かなんて興味なかったので聞きもしなかったのだが、それを今日この場で知った。

「深岬ちゃん知り合い?」

横に座っていた涼子が不思議そうな顔で聞いてくるのを深岬はうんうんと頷いてみせる。
深岬は、偶然の再会にこの時少しばかり興奮していたのかもしれない。
それは、相手の雪子も同じで―。

「いやだぁ。そうならそうと言ってよー。入るよね?入るよね?やったぁ。深岬が入れば即戦力よ!あんたら喜べ!!」

と雪子と深岬を遠巻きに見ている同じジャージ集団にびしっと指を突きつけていう彼女の姿は、何も中学時代と変わっていない。
深岬は、まだ入るなんて言ってないんだけどなぁと思ったのは、彼女には内緒だ。

「何?雪子の知り合いかよ」

そう雪子に聞いてきたのは、涼子が全くの部外者だと知って不躾にも落胆の声を上げた男だった。
伺うような深岬の視線にも、男はにっと人好きのする笑みを浮かべる。

「俺、雪子と同じ学年の経済学部の坂上 公太。イチオー、これでも部の中じゃ強い方よ?」

なんて笑いながら言う彼は、どこか子供っぽい。
中学生の悪がきを彷彿とさせる。

「この節操ナシ男。深岬をナンパするな」
「んだよ…」

だが、雪子に鉄拳を食らって、殴られた頭を抑えながらチッと舌打ちをして不服そうな顔をして見せる。
雪子は深岬に向き直る。

「座って、座って。はい名前と連絡先書いて。ってかあんた学部どこ?」
「…工学部」
「学科は?」
「…電気、工学科」
「ウチのクラブ初じゃね?ね?」

深岬から学部と学科を聞き出して周りに確認している。

「女の子で電気?少ないでしょ?えっと深岬ちゃんだっけ?…あ、じゃあそっちの女の子も?」

別の男に声を掛けられて深岬が早速かよと思ったのは顔に出てしまっていたかもしれないが、口から出すことは避けた。
ほとんど身内扱いで話しかけてくる相手の勢いに引いてしまっている深岬に対して、落ち着いているのは涼子のほうだった。

「そうですね~。私と深岬ちゃんだけなんですよ」
「やっぱりなぁ」
「深岬、あんた一人暮らししてるの?」

涼子との会話を楽しんでいる男は放っておいて、深岬にそう尋ねてきたのは雪子だった。
深岬はその問いには少し顔を顰めて首を振る。

「雪子…あ、先輩だから呼び捨てはまずいか…」
「いい。いい。今更、今更。他の先輩たちには話しておくから私は別にいいよ」

闊達に笑いながら言う雪子に安心する深岬。

「雪子は?」
「私は、一人暮らし。って言っても今年からだけどね。去年、一年で限界って思ったもん。終電早いし。あ、深岬も帰れなくなったりしたら泊まっていいからね?」
「雪子の家は、飲み会会場の一つだから常に誰かいるけどな」
「サカガミ!五月蝿いから黙ってて」
「おーこわっ」

と大仰に体を震わせて、楽しそうに笑いながら坂上は後ろに下がって行った。
それを深岬は、目で追いかけながらもすぐに目の前にいる雪子に視線を戻す。
するとまたどっか別のところから声があがる。

「新歓しようぜ。新歓。深岬ちゃんの新歓!もちろんそこの可愛い子も一緒に!」
「やろうやろう」

それは口実をつけて飲んで騒ぎたい男達の要望に過ぎないのだが、深岬と涼子はその勢いに飲まれて何も言うことができなかった。
雪子はそんな2人を見て、実に覚えがあるのか気の毒そうな顔をしてみせるとバンッとテーブルを叩きつける。

「五月蝿いですよ!黙っててください」
「…はい」
「先輩たち、遊んでるなら勧誘行ってくる」
「はぁい」
「っつーかお前は遅刻してきたのに偉そうだっつーの」
「さぁかがみぃ。何か言った?」
「いえ、何も。俺も勧誘行ってこよっと」

雪子に睨まれて坂上は他の部員とともに姿を消した。
少し静かになったブースだったが、まるでタイミングを合わせたかのようにまた新しく別の部員が姿を表す。

「ユキ。何?入部希望者?」

低いよく通る声に雪子がいち早く反応する。
深岬も雪子の視線を追いかけて相手を確認すると思わず感嘆してしまうような長身で顔のつくりが綺麗な男がいた。
それは、隣に座っていた涼子も驚いたようで、深岬の服をくいくいと引っ張っては耳打ちする。

「やっばい。カッコ良くない?」

ああ、やっぱり可愛い子でもそうやって言うんだなぁと変なところで感心しながらも深岬は頷いた。否、可愛いからこそ気になるのかもしれないとも思った。
彼は、雪子の隣のパイプ椅子を引いて座る。

「ユキ寝坊しただろ…」
「バイトが長引いて、寝るのが遅くなったんだからしょうがないでしょ。リョウちゃんこそどこ行ってたのよ」

と会話をする彼らからは、2人の親密さが伺える。
そして、深岬は何となく2人の表情を見ていて、リョウちゃんと呼ばれた男はあまり表情は変わらないが、雪子の表情がくるくる変わるのは見ていて、何となく、そう何となくだが、雪子が彼のことを好きなんだろうなと思った。
雪子がものすごく嬉しそうな顔をして話をしているから―。
ぼんやりと見ていた深岬だったが、2人の注意が自分に向いたのを見てどきりとして姿勢を正した。
というよりも、男の綺麗な顔に見られることに慣れない深岬が動揺しただけなのだが…。

「この子、深岬って言うんだけどね。私達一緒の部活だったのよ」
「じゃあ、経験者?」

そう聞かれて、深岬は一回頷いた。
無表情の中にも、少し嬉しそうな感情が表れているのを感じた。
部員達の雰囲気はおちゃらけた、とても部活とは今まで在籍していた部活からは思えなかったが、目の前にいる彼は結構真面目なのかもしれないと深岬は思った。
だが、胸を張って深岬を推薦する雪子に深岬は少し慌てた。

「即・戦・力!どう?」
「ゆ…雪子。わ、私は、だらだら続けてただけだし…、それに去年一年は全くやってなかったから、もう」
「なぁに言ってんの、だらだらで県大の表彰台上れるわけないでしょうが。大丈夫。すぐに勘なら取り戻せるから」

何故、雪子がそんなに胸を張っていえるのかは深岬には分からなかったが、雪子の言葉が殊の外、男の興味を引いたのは間違いなかった。

「ま、まだ入るって言ってないし…」
「あんたは、入るの!入る!いい?分かった?と決まれば新歓よっ!」

と大きな声で言う雪子は、先ほど彼女が追い出した男達と言っていることはなんら変わらない。
その間に、雪子の横に居た男が懇切丁寧に深岬に教えてくれる。

「あ、俺、2年の小島っていいます。学部は理学部で…えぇと、練習は体育館使える日が限られてるから、月・木・金あと土曜日。4コマ終わりは4時半から練習、5コマ組みはその後合流。大体7時か8時くらいまでやってます。場所は第一体育館で、来てもらえれば分かるから。何なら明日とか練習してるし、見に来て貰うのが一番わかると思う」
「はぁ」
「これ、一応。渡しておくね。練習予定表。あ、飲み会の予定も書いてあるけど気にしないで。ラケットとかシューズは?」
「あ…持ってます」
「じゃあ、来るとき持っておいで」
「はぁ」
「よし、深岬。今日は、私の家に泊まっていきな」

小島との話が終わるのを待っていたのか雪子が深岬の肩を掴んで力説する。
深岬は、強引な雪子の姿に苦笑を浮かべながら「今日は…」とやんわりと断りを入れた。
それでも雪子は諦めがつかなかったのか、じゃあ明日と急なことを言っては深岬を解放した。
説明をしてくれた小島に一礼して涼子と一緒に外へ出た。

「巻き込んでゴメン」

と涼子に謝ると彼女は笑う。

「全然、楽しそうでいいじゃない?それにカッコイイ人もいたし。いいなぁなんか。もう入っちゃえば?私は、どうしよっかなぁ~」

と彼女が言うのを聞きながら、深岬の気持ちもほとんど固まりつつあった。
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