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更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き. 嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック

2026

0730
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2007

0817
この一週間で、いろんなことがありました。
悪いことの連続で、一度お祓いに行った方がいいかしらと思いつつ更新作業です。

一周年企画 愛 新婚夫婦UPしました。

管理人何書いたか全く覚えてないものをUPしました。
何故か確認するのも恐ろしい…。
さくっと読んでしまえば、終わりなんですけどね。

今週、ばたばたしてて話を消化するだけ消化して補充できていないのでいい加減補充したいものです。
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2007

0816
まさにそれは、阿鼻叫喚。地獄絵図。
そんな言葉がぴったりと当てはまるような光景だった。
明らかに引いている深岬をお置いて、騒ぐ姿はまさに本当に自分が口実に過ぎないと実感せざるを得ない。

「びっくりした?」

と声をかけてきたのは、深岬が記憶している範囲でこの集団の長である部長の男だった。
そんな彼もすっかり顔は真っ赤になって出来上がっている。

「ええ…まぁ」
「まぁ、俺も最初の時はびっくりしたんだよね~。っつーかここまでひどくなったの坂上や小島達の代が入ってきてからだよ」

それは、男の嘆きのようなものも含まれていたかもしれない。
そう言われて集団の中心にいる坂上、小島そして雪子の姿を見る。
騒ぎながら飲む坂上。
そんな坂上に飲まされる小島、そして雪子を煽る小島。
乗せられるままに飲む雪子。
周りからの声もあり酒に手をつける3人。周りを巻き添えにする3人。
どちらにせよ中心にいるのは、坂上、小島、雪子の3人だった。
友人の初めて見せる意外な姿に驚かずにはいられない。
横から話しかけてくる男に適当に相槌を打ちながら、3人を見ているとふと雪子と視線が合う。
ヤバイと思った時には遅かった。
雪子が駆け寄ってくると深岬の腕を掴んで輪の中央に引っ張っていく。
その後は、筆舌に尽くし難い光景しか残らなかった。



翌朝、雪子の部屋で目の覚めた深岬は自分の身を襲う想像を絶する吐き気と頭をかなづちで殴られたことなどないが、まるで殴られたようにがんがんと響く頭。
少し動かすだけで痛みを訴える。
まさに生ける屍。

「うぅ…」
「大丈夫かぁ?」

のたうち回りながら声を上げた声に返ってきたのは、低い男の声。
ばっと目を見開いて体を起こした深岬がそこに見たのは坂上で、にっと笑った顔を深岬に見せるのだが、深岬の頭は急に動いたことにガンガンと響く。

「あ…いたた」
「二日酔いだなぁ。こりゃ。雪子ー。深岬ちゃん目ぇ覚めたみたいだぞ」
「あ、起きた?」

坂上の声に、雪子が深岬の前に姿を見せる。
明らかに昨夜は、深岬より大量に酒を飲んでいた筈なのに全く二日酔いのふの字も見せることなくすっきりとした顔で現れる雪子によりいっそう深岬はげんなりとした表情を見せる。
おかしいだろ…と。

「水いる?」

という問いに、こくこくと頭を振ると雪子が水を差し出す。
それを黙ったまま、飲むとごんっと強い力でコップと叩きつけるように置くとじろりと雪子を見る。
彼女は楽しそうな顔をして深岬を見返す。

「おっかしいでしょ…。何アレ」
「ほれみろ。雪子、やりすぎだろ」
「あはは~ごめんねぇ」
「ごめんねじゃない!」
「まぁまぁ、深岬ちゃん。まだ寝てるヤツいるし」
「へ?」

声を荒げる深岬を落ち着かせるように坂上が雪子のベッドの上を示す。
深岬がふとそちらに向けると雪子のベッドの上を占領する大きな男を見て深岬は目を見開く。

「小島さん?」

坂上もそうだが、何故小島も雪子の家で寝ているのか。
深岬はいくら思い出そうとしても思い出せない。

「何でですか?」

痛む頭を抑えながら坂上に聞くと彼は、子供のような顔で笑う。

「寝ちゃった深岬ちゃん連れてきたの俺達だもん」

寝ていたのだから彼らが何故ここにいるのか覚えていなくて当然だった。
だが、聞かなければ良かったと思った深岬だった。
はぁああと大きく溜息をつく。

「ご迷惑おかけしました」
「リョウちゃんと2人で捕らえられた宇宙人みたいにして運んだんだぜ」

その姿を想像しては、何たる間抜けな姿かと少し後悔した。
自分から話を逸らそうとして雪子のベッドを占領している小島を見た。

「何で、小島さんが雪子のベッドを占領してるんですか?」

何気なく疑問を口にした深岬に坂上は悪がきのような笑みを浮かべて深岬を手招きをする。
首を傾げつつも坂上に近づくと声の量を下げて小さな声で雪子には聞こえないように言う。

「リョウちゃんと雪子いっつも一緒に寝るから」

と聞いて思わず深岬の顔が赤くなる。
この瞬間だけは、二日酔いの頭痛もむかむかも吹き飛ぶ。
歯をむき出しにして笑う坂上の顔を間近でまじまじと見る。

「2人は…?」

付き合っているのかという深岬の問いを皆まで言わずとも分かったのか坂上は首を振る。
首を振った坂上をまじまじと見返す。
一緒のベッドで寝ているということは、そうではないのかと深岬には不思議ではならない。

「雪子の一方通行」
「なるほど…」
「何が、なるほどよ!坂上!あんたもねぇ、深岬に余計なこと教えるんじゃないの!」
「余計なことじゃないだろ?知っておかなきゃな。なぁ?」
「深岬も頷くんじゃないの!」

いつの間にか2人の傍に来ていた雪子が、小さな声で話を続ける深岬と坂上に雪子の大きな声が響く。
それは、深岬の二日酔いにはかなり効く声で、深岬は顔を顰めた。
雪子の怒声にも全く悪びれる様子のない坂上が、深岬に同意を求める。思わず頷いた深岬に雪子の怒声がもう一度響く。
さすがにその大きな声は、眠っていた小島を起こしたのか深岬の起きた時同様変なうめき声を上げてのたうちまわる小島に3人の視線が同時に向く。
一番、早く動いたのは雪子で、いそいそとベッドサイドに近づくと小島に声をかけている。

「リョウちゃん。起きた?」
「ユキ……。水…」

寝ぼけた小島の言葉に雪子が彼のために水をとりにいく。
その姿は、坂上から教えられるまでもなく深岬に雪子が小島を好きだと教えている。そして、深岬は自分が最初に小島と雪子のやり取りを見た時に思った、考えが間違ってなかったことを知る。
雪子の動きを目で追いかけた後、坂上と顔を見合わせてお互いにどちらからともなく噴き出した。
声を上げて笑い出した深岬と坂上に気にすることもなく、甲斐甲斐しく小島の世話を焼く。
最初に、深岬と坂上の様子に気がついたのは、小島のほうだった。

「2人ともどうしたの?」
「何でもないって」

小島の不審な顔すらおかしく見えて、深岬は笑い続け、坂上が代わりに答える。
坂上の答えにも首をかしげながら、小島は大きく伸びをすると「腹減ったなぁ」と何気なく言う。
そんな小島を見て、とめどなく自由な人なのかもしれないと深岬は小島のことを思った。
そして、そんな小島が好きな雪子。
小島と雪子の関係を一番傍で見て、楽しんでいるのが自分の横で笑う坂上なのだと3人の関係を理解した深岬だった。

「どっか食べに行く?」
「深岬ちゃん。授業何コマから?」
「あ、今日は昼からです」
 
小島の希望を叶えるために、小島に聞き返す雪子。
放っておけば置いていかれそうな深岬に声をかけてくれるのは、坂上で。
深岬の中で、どこか人を揶揄して楽しむところがある男が一番周囲に目を配れるのではないかと思った。
深岬の答えに頷くと「よしっ」と大きな声を上げて立ち上がる。

「飯行くぞー。ファミレスでいっか?」
「いこいこ」

と朝のファミレスに向かって雪子の家を出た4人だった。

2007

0815
翌日、その日から始まった授業の中から、履修しようと考えていたものだけを受けると深岬は必要な道具を持って小島から教えられた体育館に来ていた。
昨日の部活の勧誘会で見かけた部員の姿が何人か見られる。
こういう時ほど入りにくい場所はないと思えるのは何故か―。
恐る恐る体育館の入り口から中を覗き込む、深岬の姿はどこか変質者を彷彿とさせる。

「深岬」

と後ろから声をかけられ思わず体をびくりと揺らしてしまったのもきっとその所為かもしれない。
驚いた所為もあってドキドキという胸を押さえながら後ろを振り返ると嬉しそうに笑う雪子の姿がある。
雪子は体育館の入り口で靴を脱いで、急いで駆け上がってくると深岬に近づいてきて、深岬の手を引いたまま中へと進んでいく。
深岬よりも体つきは小さいはずの雪子の強い力に引っ張られ深岬は自分と雪子に集まる視線に気付いていたが、掴まれた腕は離れることもなく、そのまま雪子の後を追うような形で彼女を追いかけた。

「あ、やっぱり来た」

と少し眦を下げたのは既に来ていた小島だった。
深岬はちょこんと頭を下げる。
そんな深岬の代わりに胸を張って答えるのが雪子だった。

「あったり前でしょ?」
「雪子は関係ねぇだろ。深岬ちゃんって経験者だったんだね?言ってくれれば良かったのに」

そう雪子に横槍を入れてきたのは、昨日も見た坂上という男だった。
身長は、深岬よりも若干高い程度で、どこか軟派な雰囲気のある男だった。
何も聞いてこなかったのはそっちだろと思いつつも、深岬は年長者相手に食ってかかることもできずに苦笑を顔に浮かべた。

「女の子に夢中で聞いてこなかったのはそっちでしょうが」
「可愛い女の子に声をかけないなんて、男がすたるでしょ?なぁリョウちゃん?」

雪子の怒ったような口調にも悪びれることなく小島に同意を求める坂上に雪子がさらに金きり声をあげたのは、間違いない。

「リョウちゃんがそんなことするわけないでしょ!」
「わっかんねぇかなぁ?」
「あっちに更衣室あるから着替えておいで」

怒り出した雪子と彼女をおちょくるように少し小バカにしたような坂上の言い合いはいつものことなのか、小島は少し離れた位置にある更衣室を示す。
言われるままに深岬が更衣室に向かい着替えを済ませて戻ってくると言い合いも収まっていた。
その後は、普通に練習に参加する深岬だったが、一年以上、高校の受験期間も含めると2年近く運動から遠ざかっていたために思うように動かない体をもてあましていた。
普通に練習メニューをこなしていく彼らもそんな深岬の様子に覚えがあるのか、あまり無理はするなというように声をかけてくれる。
時間が経つと5コマ組みと呼ばれる5コマ目の授業を終えてから練習に参加する者達も集まり、練習を続ける。
最後に、全体で集まったところで各人自己紹介をしてその日は終わった。
とは言っても、一気に名前を言われても深岬にそれを処理できるだけの能力はなく、なんとなく顔はつかめたものの名前は一致しなかった。

「深岬ー。ご飯行くでしょ?」

練習後に着替えていると雪子が声をかけてくる。
それに深岬は、顔を上げて、時計を確認する。
微妙な時間だった。
その時点で7時半。こちらを9時に出れたとしても家に帰りつくのは11時を過ぎる。
雪子が一年で下宿に切り替えたのは、この所為かと納得せざるを得ない。

「んー。帰るの遅くなるから…」
「なぁに言ってんの。1年の間はご飯おごられっぱなしよ~。行かなきゃ損でしょ」

それにうっと固まる深岬。
現金な話しだが、それは非情に魅力的だった。
がっしりと肩に雪子の腕を回されて、何だか嫌な予感がする深岬。

「それに、あんた忘れてないでしょうね?今日は、あんたの新歓」
「だから…その新歓って何よ?」

新歓、新歓と男達が言うのを聞いた深岬だったが、実質それが何をするものなのかは、深岬にはわからない。
雪子に聞くと妙に納得したように「あ、そっか」と頷いている。
肩に回っていた雪子の腕が外れたのを感じて、深岬はその隙に着替えを素早くすませてしまう。

「新入生歓迎会」
「あっそ。私一人しか新入生いないじゃん」
「あー、ウチの部、新しい子がくるたんびにやってんのよねー。ウチらん時もやってたよ。最初はびっくりしたけどねー」

とけたけた笑う他の女子部員を不思議そうな顔で見る深岬。
何じゃそりゃ―と。

「帰れなくなったら、雪子んち止まってけばいいよ~」
「ってか、いつも最後は雪子の家だし」

なんて軽く言いながら、先に着替え終わった女子部員達が出て行く。
残されたのは、まだジャージのままの雪子と着替えを片付けている深岬だけになった。

「何でそんなにやってるわけ?」
「んー?唯、口実にして飲みたいだけだよ」
「はぁ?」
「まぁ見てれば分かるって」

雪子の言葉に自分は完全な巻き添えじゃないかと一抹の不安を覚えつつ、しかし、仮にも主役となる人間を帰してくれる彼らではなく深岬は結局、母親に今日は泊まってくと入学して早3日目にしてそんな連絡をする羽目になった。
一体、何してるんだかと思った深岬だったが、まいっかと深く考えないようにした。
食事に行った後、一度解散して、家に帰る人間は家に帰り、もう一度集合となった。
練習に参加していたほとんどの者が、下宿している者だった。
深岬は当然雪子の家に連れていかれる。

「あー荷物適当においとけばいいから」

と言って案内されるままに深岬は入るが、まず玄関先にある台所に目が行く。
綺麗で問題はないのだが、そこに並んだ空の酒瓶や空き缶の数々に思わず引きつった笑みを浮かべる。
入ってこない深岬を不審に思って雪子が深岬を振り返る。

「どうかした?」
「な…何コレ…」
「あー酒瓶」
「見たらわかるわよ。何この量」
「この前の飲み会で出たゴミなんだけど、ゴミ捨てまだだから」

何てことないように言う雪子に思わず深岬は乾いた笑いを零した。
不思議そうな顔をして見てくる雪子に深岬は心の中でおかしいでしょ…、これ一回の量じゃないってばと言わずにはいられなかった。

「荷物置いたら行こうか?」
「あ、うん」

言われるままについていく深岬。
もう一度、玄関先に大量におかれた空き瓶、空き缶を見て寒気を覚える深岬だった。
これから起こることの恐ろしさを予感して――。

2007

0814
深岬と見合って驚く彼女の名は、秋野 雪子。
深岬が入学した大学の2年生であり、深岬と中学の部活で一緒だった。彼女はストレートで大学に合格しているので、一浪している深岬とは同じ学年ということになる。
別にこれと言って親密な関係だったというわけではない。
まぁ、仲が良いか悪いかで言えば、間違いなく良い部類には入る。
中学の時の部活のメンバーで会ったりすれば、深岬は去年一年は顔を出さなかったものの彼女とは何度か顔を合わせていたし、話もしていた。
ただ、深岬にとって彼女の大学がどこの大学かなんて興味なかったので聞きもしなかったのだが、それを今日この場で知った。

「深岬ちゃん知り合い?」

横に座っていた涼子が不思議そうな顔で聞いてくるのを深岬はうんうんと頷いてみせる。
深岬は、偶然の再会にこの時少しばかり興奮していたのかもしれない。
それは、相手の雪子も同じで―。

「いやだぁ。そうならそうと言ってよー。入るよね?入るよね?やったぁ。深岬が入れば即戦力よ!あんたら喜べ!!」

と雪子と深岬を遠巻きに見ている同じジャージ集団にびしっと指を突きつけていう彼女の姿は、何も中学時代と変わっていない。
深岬は、まだ入るなんて言ってないんだけどなぁと思ったのは、彼女には内緒だ。

「何?雪子の知り合いかよ」

そう雪子に聞いてきたのは、涼子が全くの部外者だと知って不躾にも落胆の声を上げた男だった。
伺うような深岬の視線にも、男はにっと人好きのする笑みを浮かべる。

「俺、雪子と同じ学年の経済学部の坂上 公太。イチオー、これでも部の中じゃ強い方よ?」

なんて笑いながら言う彼は、どこか子供っぽい。
中学生の悪がきを彷彿とさせる。

「この節操ナシ男。深岬をナンパするな」
「んだよ…」

だが、雪子に鉄拳を食らって、殴られた頭を抑えながらチッと舌打ちをして不服そうな顔をして見せる。
雪子は深岬に向き直る。

「座って、座って。はい名前と連絡先書いて。ってかあんた学部どこ?」
「…工学部」
「学科は?」
「…電気、工学科」
「ウチのクラブ初じゃね?ね?」

深岬から学部と学科を聞き出して周りに確認している。

「女の子で電気?少ないでしょ?えっと深岬ちゃんだっけ?…あ、じゃあそっちの女の子も?」

別の男に声を掛けられて深岬が早速かよと思ったのは顔に出てしまっていたかもしれないが、口から出すことは避けた。
ほとんど身内扱いで話しかけてくる相手の勢いに引いてしまっている深岬に対して、落ち着いているのは涼子のほうだった。

「そうですね~。私と深岬ちゃんだけなんですよ」
「やっぱりなぁ」
「深岬、あんた一人暮らししてるの?」

涼子との会話を楽しんでいる男は放っておいて、深岬にそう尋ねてきたのは雪子だった。
深岬はその問いには少し顔を顰めて首を振る。

「雪子…あ、先輩だから呼び捨てはまずいか…」
「いい。いい。今更、今更。他の先輩たちには話しておくから私は別にいいよ」

闊達に笑いながら言う雪子に安心する深岬。

「雪子は?」
「私は、一人暮らし。って言っても今年からだけどね。去年、一年で限界って思ったもん。終電早いし。あ、深岬も帰れなくなったりしたら泊まっていいからね?」
「雪子の家は、飲み会会場の一つだから常に誰かいるけどな」
「サカガミ!五月蝿いから黙ってて」
「おーこわっ」

と大仰に体を震わせて、楽しそうに笑いながら坂上は後ろに下がって行った。
それを深岬は、目で追いかけながらもすぐに目の前にいる雪子に視線を戻す。
するとまたどっか別のところから声があがる。

「新歓しようぜ。新歓。深岬ちゃんの新歓!もちろんそこの可愛い子も一緒に!」
「やろうやろう」

それは口実をつけて飲んで騒ぎたい男達の要望に過ぎないのだが、深岬と涼子はその勢いに飲まれて何も言うことができなかった。
雪子はそんな2人を見て、実に覚えがあるのか気の毒そうな顔をしてみせるとバンッとテーブルを叩きつける。

「五月蝿いですよ!黙っててください」
「…はい」
「先輩たち、遊んでるなら勧誘行ってくる」
「はぁい」
「っつーかお前は遅刻してきたのに偉そうだっつーの」
「さぁかがみぃ。何か言った?」
「いえ、何も。俺も勧誘行ってこよっと」

雪子に睨まれて坂上は他の部員とともに姿を消した。
少し静かになったブースだったが、まるでタイミングを合わせたかのようにまた新しく別の部員が姿を表す。

「ユキ。何?入部希望者?」

低いよく通る声に雪子がいち早く反応する。
深岬も雪子の視線を追いかけて相手を確認すると思わず感嘆してしまうような長身で顔のつくりが綺麗な男がいた。
それは、隣に座っていた涼子も驚いたようで、深岬の服をくいくいと引っ張っては耳打ちする。

「やっばい。カッコ良くない?」

ああ、やっぱり可愛い子でもそうやって言うんだなぁと変なところで感心しながらも深岬は頷いた。否、可愛いからこそ気になるのかもしれないとも思った。
彼は、雪子の隣のパイプ椅子を引いて座る。

「ユキ寝坊しただろ…」
「バイトが長引いて、寝るのが遅くなったんだからしょうがないでしょ。リョウちゃんこそどこ行ってたのよ」

と会話をする彼らからは、2人の親密さが伺える。
そして、深岬は何となく2人の表情を見ていて、リョウちゃんと呼ばれた男はあまり表情は変わらないが、雪子の表情がくるくる変わるのは見ていて、何となく、そう何となくだが、雪子が彼のことを好きなんだろうなと思った。
雪子がものすごく嬉しそうな顔をして話をしているから―。
ぼんやりと見ていた深岬だったが、2人の注意が自分に向いたのを見てどきりとして姿勢を正した。
というよりも、男の綺麗な顔に見られることに慣れない深岬が動揺しただけなのだが…。

「この子、深岬って言うんだけどね。私達一緒の部活だったのよ」
「じゃあ、経験者?」

そう聞かれて、深岬は一回頷いた。
無表情の中にも、少し嬉しそうな感情が表れているのを感じた。
部員達の雰囲気はおちゃらけた、とても部活とは今まで在籍していた部活からは思えなかったが、目の前にいる彼は結構真面目なのかもしれないと深岬は思った。
だが、胸を張って深岬を推薦する雪子に深岬は少し慌てた。

「即・戦・力!どう?」
「ゆ…雪子。わ、私は、だらだら続けてただけだし…、それに去年一年は全くやってなかったから、もう」
「なぁに言ってんの、だらだらで県大の表彰台上れるわけないでしょうが。大丈夫。すぐに勘なら取り戻せるから」

何故、雪子がそんなに胸を張っていえるのかは深岬には分からなかったが、雪子の言葉が殊の外、男の興味を引いたのは間違いなかった。

「ま、まだ入るって言ってないし…」
「あんたは、入るの!入る!いい?分かった?と決まれば新歓よっ!」

と大きな声で言う雪子は、先ほど彼女が追い出した男達と言っていることはなんら変わらない。
その間に、雪子の横に居た男が懇切丁寧に深岬に教えてくれる。

「あ、俺、2年の小島っていいます。学部は理学部で…えぇと、練習は体育館使える日が限られてるから、月・木・金あと土曜日。4コマ終わりは4時半から練習、5コマ組みはその後合流。大体7時か8時くらいまでやってます。場所は第一体育館で、来てもらえれば分かるから。何なら明日とか練習してるし、見に来て貰うのが一番わかると思う」
「はぁ」
「これ、一応。渡しておくね。練習予定表。あ、飲み会の予定も書いてあるけど気にしないで。ラケットとかシューズは?」
「あ…持ってます」
「じゃあ、来るとき持っておいで」
「はぁ」
「よし、深岬。今日は、私の家に泊まっていきな」

小島との話が終わるのを待っていたのか雪子が深岬の肩を掴んで力説する。
深岬は、強引な雪子の姿に苦笑を浮かべながら「今日は…」とやんわりと断りを入れた。
それでも雪子は諦めがつかなかったのか、じゃあ明日と急なことを言っては深岬を解放した。
説明をしてくれた小島に一礼して涼子と一緒に外へ出た。

「巻き込んでゴメン」

と涼子に謝ると彼女は笑う。

「全然、楽しそうでいいじゃない?それにカッコイイ人もいたし。いいなぁなんか。もう入っちゃえば?私は、どうしよっかなぁ~」

と彼女が言うのを聞きながら、深岬の気持ちもほとんど固まりつつあった。

2007

0813
8月13日

0:38
>白乃ちゃんが凄く悲しいです。虎空と女一同に天罰を!いっそうの事、華陀が白乃を連れ去って欲しいです。

拍手&コメントありがとうございます。
なんだか私生活でごたごたしている管理人です。
しばらくは、Salvationで更新の方はよろしくお願いします。

ですが…、西のお話はそこの部分がキーになります。
その点については、後日をお待ちいただけると嬉しいです。
西のお話は、近々展開がありますので…。気長にお待ちください。
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