「だからさー」
「っつーか、それはお前がおかしいんだって」
「ま、飲めばいんじゃね?」
面白いくらいに会話がかみ合わない。
何かあれば、飲めばいいという言葉で括られる。
毎回のことだが、何とかならないんだろうかと思いつつも「ま、飲めばいいか」と思う自分は相当染まってきているのかもしれないと思う深岬。
目の前に置かれたコップは、なみなみに酒が入っている。
安い焼酎のオレンジジュース割り。
たまにビール。
これがいつものメニューだった。
ちょびちょび飲んであらかじめいざという時のために減らしておくのも良し。
コールがかかった時に、一気にあけるのも良し。
そこは自由なのだが、失敗して飲みすぎると次が注がれるから要注意。
「今年の新歓いつ?」
いつものように、雪子、小島、坂上の3人に深岬が何故か混じって飲んでいると気の知れた者同士で飲んでいるということもあるが、酔うといつもより表情が豊かになる小島が雪子と坂上を見て聞いた。
「5月の第二週の土曜日」
「あれ、交流戦は?」
「その次」
「しっかりしてよ、リョウちゃん。次期部長だよ」
「あ、そうなんですか?」
深岬が驚いた声をあげると他の3人の視線が深岬に集まる。
雪子たちの代で練習によく参加しているのは、小島と坂上だ。若干、小島の方が来る回数は多いかもしれない。女子ではダントツで雪子。
だが、どちらかと言えば坂上の方が部長に向いている気がしてならない深岬は不思議でならなかった。
その深岬の疑問をくみ取ったのか坂上が答えてくれる。
「あー去年の夏から秋くらいには俺って話も出てたわけよ?」
「それが、何で?」
「俺、めんどくさいの嫌いだからさー。それに一時期嫌気がさして部活に顔出さなかった時期があって先輩達も焦ったみたいだわ。俺に任せたら危険だからって」
「部長って指名制なんですか?」
「いいや、違うよ。その学年で話し合って決めたらいいけど、大体先輩達の予想するの人間が部長になるらしいんだよなこれが」
「それに、坂上はリョウちゃんに俺は部長なんかやりたくなーいって言ったんだよね?」
雪子の言葉に全く悪びれることもなく頷く坂上だった。
「そうそう。他人の世話なんか見てられっかーってね」
豪快に笑いながら言う坂上に首をかしげずにはいられない深岬。
自分一番みたいな台詞をはいておきながら、今部活の練習に顔を出してて一番下の学年―要は深岬達一年生だが、新入生に一番声をかけたりして気を配っているのは、坂上のような気がするのだ。
もちろん、雪子もそうだが。
「サシで飲みに行って、リョウちゃんに頼むよって言ったらリョウちゃんが笑顔で頑張るよって言うからリョウちゃんが次期部長」
「へぇ。じゃあ、雪子が副部長?」
「分かってるじゃん」
「じゃあ、飲も!」
すっかり出来上がっている小島が割り込んでくる。
『うっわー、うざい』と思ってても口には出さない深岬だった。
何より、楽しんでいるのだから仕様がない。
「新歓って何するの?」
「まあ飲み会だけど、オフィシャル飲み会だからこーゆー感じじゃなくてもっと激しくなるなぁ」
「まあね。最初はびびるだろうな」
「新歓っていう名目だけど上級生が騒ぐだけだしね」
聞けば聞くほどいいイメージがわかない。
「自己紹介させていただきまーすってね」
「あれはびびった」
雪子が目を見開いて言うもんだからそれは相当だったのかもしれない。
「もう今じゃ普通だけどね~。交流戦行く度にさせられるんだから慣れるわよ」
「この時期、新歓荒らしも出るけどウチは部員全員が新歓荒らしみたいなものだしなぁ」
「去年もいたいた」
やっぱり…と確信を持たざるを得ない。
「OBとかも顔を出してくれるし、普段あんまり練習にこない人たちもくるよね」
「それが腹立つ」
とコップを握り締めていうのは坂上だった。
少し酒が入ると気性が荒くなる坂上。
雪子と小島は気にした様子はないから、まだ大丈夫なのだろうけど、聞くところによると何回か店の壁を壊したり、ものを壊してきたこともある男だ。
練習にこない相手に向かって、言う彼の言葉はまあ仕方ないんだろうと思って深岬も聞き流していた。
「部活なんだから来いよっつーんだ」
「まぁまぁ、4年は就職活動あるしね?」
「4年はいいんだよ!問題は、3年だよ3年。あいつら、まだ幹部じゃねぇ俺達に押し付けてこねぇじゃねぇか」
宥めるような雪子の声にも納得がいかないようにドンっと机を叩きつける。
この時点で、坂上はも結構酔っていたのかもしれない。
その後は、出来上がって周囲を把握できていない小島の妙なノリと雪子が坂上を宥めていつも通りの空気に戻ったのだが、深岬からしてみれば坂上の意外なところを知ったという感じだった。
いつも笑いながら練習に参加しているときは、何だか周囲を盛り上げている男でちゃらちゃらしたような雰囲気を回りにアピールするような感じだが、根はまじめで熱い男なのかもしれないと普段見せる彼とのギャップのようなものを感じて、何だか落ち着かない深岬だった。
それと同時に、何だかその日は、部活の深遠を見たような気がした。
新入生が増えれば、当然帰りが一緒の方向の子も増える。
頻繁に飲み会をしている雪子たちだが、深岬が毎回のようにそれに参加するわけではない。
3人で話したいこともあるだろうし、特に気にも留めていない深岬だった。
部活が終わった後、食事に行って帰りは一緒の方向の子と途中まで一緒に帰る。
電車の中で取りとめのない会話を繰り返す。
その内容は、部活のことだったり、学校の授業のこととかいろいろある。
女の子同士なら尚更話題は次から次へと山のように出てくる。
ある日の帰り、3人で帰っていると1人の深岬と同じ学年の子が切り出してきた。
「ねぇねぇ、何で深岬ちゃんは、雪子サンのこと呼び捨てで呼ぶの?」
「あ!それ私も思った」
すっかり上級生の間では浸透していたが、新入生の中では違ったのかもう一人も異様に食いついてくる。
「あー、雪子とは中学の時、3年間同じ部活で…。高校になってからも何回か会ってたから。私一浪だし」
と説明したら納得してくれたようで深岬はほっとする。
すぐに彼女達の話題は別の話題に移る。
「色んな先輩から聞くんだけどさ…。雪子さんんと小島さんってどうなってんの?」
そこが彼女達が本当に聞きたかったところかも知れない。
「さぁ?坂上さんから聞いた話だと雪子の一方通行らしいよ。」
「あ、そうなんだ」
深岬がさらりと答えると2人は顔を見合わせて頷きあっている。
「何で?小島さん狙ってるの?」
「そういうわけじゃないけど…」
と否定はするものの、全くゼロというわけでもなさそうな様子だった。
まあ、あれだけ格好よければ多少コミュニケーション力が欠けていても問題はないかもねと深岬も彼女達の様子を見ながら思った。
だが、すぐに話が変わる。
「坂上さんはどうなんだろうね」
「遊んでそうなイメージだけど」
「それは、確かにそうかも」
「深岬ちゃんはどう思う?」
と話を振られて頭の中に坂上の姿を思い浮かべる。
あまりそう言った話は聞かないけどどうなんだろうと首を傾げる深岬。
あの性格で彼女がいないということもないだろうと思いながら、今度、雪子にでも聞いてみるかと考えていた。
「まぁ、彼女くらいはいるんじゃない?」
「やっぱそうだよね」
と下らない話で時間が過ぎていった。
更新日記と小説(18禁)とたまに嘆き.
嫌いな方・興味のない方・間違っちゃった方はバックバック
2007
一周年企画 育成 アリスと時計ウサギ
途中から完全捏造です。
一周年企画後2話で終わりです。
その後は、西を集中UPしますね。
合間に旅とか他の話もちょこちょこUPする予定です。
昨日、一昨日は、Salvationの続きが書けたのでUPしましたが、この話なかなか進まない…。
なげぇ…。
あまりに道のりが長すぎて、書く気がしばしば失せるんですよね。
展開やラストはある程度決めてあるんですけどね。
そこに持っていくまでが…。
遠い。遠い。
進まない。
今は、勝負に浮気中。良い具合に指が動きます。
途中から完全捏造です。
一周年企画後2話で終わりです。
その後は、西を集中UPしますね。
合間に旅とか他の話もちょこちょこUPする予定です。
昨日、一昨日は、Salvationの続きが書けたのでUPしましたが、この話なかなか進まない…。
なげぇ…。
あまりに道のりが長すぎて、書く気がしばしば失せるんですよね。
展開やラストはある程度決めてあるんですけどね。
そこに持っていくまでが…。
遠い。遠い。
進まない。
今は、勝負に浮気中。良い具合に指が動きます。
PR
2007
深岬がバドミントン部の部活に参加するようになってから、日が経つに連れて入部を希望して体育館にやってくる新入生、或いは、ひやかしも含めて見学をしにやってくる新入生の数は日に日に増えていった。
新入生としては、初めに部に顔を出していた深岬は勿論のこと連日のように入れ替わり立ち替わり現れる新入生の姿に、深岬だけじゃなく上級生も把握ができずに困る結果になっていった。
そこそこ真面目に練習には取り組んでいるもののバドミントン一筋という訳でなく、部活もやって他のことも適度に楽しみたいというような人間の集まりだ。
初心者を敬遠するような部の雰囲気でもないことが、それに拍車をかけていたのかもしれない。
現に、上級生の半分は初心者で始めたものもいるし、見学に来た新入生も大半は初心者ばかり。
そうこうしているうちに、練習に参加する新入生の数も増えていった。
もう何がなんだかわからない状態。
「今年は、一体どうしたんだ?」
と首を傾げるのは上級生。
「今、何人?」
「数だけで言ったらざっと15人は入部確定」
「うわーすげっ」
「俺らの年って、10人だけで残ったの2年に上がって6人しか残ってねぇし」
練習後、すっかり恒例となった食事に連れて行って貰った先での上級生の話にもくもくと食事を口に運びながら耳を傾ける深岬。
今日は、深岬の他に2人参加者が居た。深岬の他に、男と女が1人ずつ。
どうやって話に絡んだらいいかもわからなくて黙ったまま聞いているしかなかった。
笑いながら言ったのは、坂上で、彼は続けて言う。
「今年は何人残るかなぁ、半分残ればいいほうだな」
「っつーか、坂上、気がはえーよ。まだ新歓も終わってねぇだろ」
「ホントだよ~」
上級生が笑い飛ばすのに合わせるように笑うしか深岬たちにはできなかった。
一コマ目からの授業ははっきり言って面倒くさい。
朝早く起きなきゃならないし、それこそ本当に前日大学の近く…雪子の家にでも泊めてもらって学校に行きたくなるくらい面倒。
家を出るのは、6時半位に出なくちゃならない。
それこそ、じゃあ一コマ目の授業を取らなければいいという話になりそうだが、そうは上手くいかないというもの。
その授業が必修の課目だったりするものだから厄介なのだ。
電車に揺られながらうとうとする。
辛うじて席を確保できた日はまだいいが、できなかった日なんて最悪だ。
乗り換えも含めて2時間近く電車で立ちっ放しはつらい。
不思議なもので、まるで体内に正確な時計でも備えているかのように大学近くの駅になると目が覚める。
ぼうっとして働かない頭で電車を降りると大学に向かう。
眠い目を擦って教室に入ると後ろからぽんっと背中を叩かれる。
振り返ると涼子の姿がある。
「おはよ…」
「おはよう。眠い」
「眠いねぇ」
いつもよりか2割り増しで間延びした声で言う深岬に軽く笑いながら涼子は相槌を打つと空いている席に二人で並んで座る。
カバンの中からノートを取り出す。
「何で、一コマからこんな授業があるんだか…」
「あはは、仕方ないよ~昨日も部活だっけ?」
深岬のぼやきに律儀に返してくれる涼子の問いに頷く。
結局、涼子は適当に選んでテニスサークルに入ったようだった。
やっぱりサークルと部活では何か違うものがあるようなのは、深岬も感じ取っていた。
「うん、今日は休みだけどね…。今さ、新入生が凄くてさ」
「凄いって?」
「増殖中」
「うそ~」
「先輩達も首傾げるくらいだよ」
「それは、凄いね」
「名前覚えらんなくて困る」
と深岬が言うと涼子は可愛く笑った。
自然とクラス中の視線が涼子に集まっているのが深岬には、分かった。
涼子はなれているのかあまり気にしたような様子はなく、その後も普通に会話をする2人だった。
5コマまで授業のある日は、それだけで疲れてしまう。
練習をしている体育館に顔を出すと今日も見知らぬ顔が増えている。
「こんにちわ~」
と言って入っていくと坂上に手招きをされる。
何だろうと首をかしげながら入っていく。
「新入生だって。すっかり馴染んでるけどこっちも新入生ね。深岬ちゃんって言う名前」
「え、そうなんですか?普通に入ってくるからてっきり上級生かと思いましたよ」
笑いながら言われた深岬は、そりゃあ早くから参加してたら嫌でも慣れるわと口には出さないものの心の中で毒づいた。
「進藤 深岬です」
「片岡 麻美です。よろしくね」
「深岬ちゃんと一緒で経験者だって」
「へー、そうなんですか」
あまり感慨もなく答える。
総合大学なだけに学部数も学生の数も多い。
注目を集める機会も増えてきたとはいえ、まだメジャーとは言い難いスポーツだが、数撃ちゃ当たるとは言ったもので何人かは経験者くらいいるだろうと思って深岬はあまり深く考えずに答えた。
「反応薄いなぁー」
「だって、そりゃあいるでしょ。経験者の1人や2人」
「それはねー今年の入部希望の子って経験者が少ないんだよ」
と答えをくれたのは、いつの間にか近くに来ていたこの部の部長だった。
深岬から見ると2学年上にあたる。
「あー、そうなんですか?」
「そう。だから重宝しないとね?」
「いや、初心者でも強くなる子は強くなるんじゃないですか?テニスやってた子とかなんか特に…」
「あ、でもやる気が違うから」
『私、やる気あんまりありませんけど…』とは口にし難かった。
もともと、学科では期待ができそうになかった友達が出来ればいいという程度にしか思っていないのだ。
ものすごく居た堪れない感じがしてきた深岬は、適当に着替えに行くと誤魔化して輪の中を抜け出した。
着替えていると更衣室に雪子が入ってくる。
顔を向けると雪子も深岬を見つけて寄ってきては、手にしていた荷物を深岬に渡してくる。
「ほら、ラケットとシューズ」
「ありがと」
いちいち持ってくるのが面倒なラケットとシューズを雪子から受け取りながら礼を述べる。
雪子が預かってくれるという言葉に甘えて、預けっぱなしにしていた。
部室も一応あることにはあるのだが、狭くて個人のものはあまり置けるような状況じゃなかったので雪子が提案してくれたのに飛びついた。
一応、最初にまずいかなと思った深岬だったが、いちいち、毎回家から持ってくる面倒くささには敵わなかった。
「また新しい子来たって?」
「うん。さっき坂上さんが紹介してくれた。経験者らしいよ」
「今年、経験者少ないからなぁ」
とぼやくように言う雪子。
やっぱり気になるところらしい。
着替えを終えて、靴を履き替える。
誰でも出入りできる更衣室に貴重品を置いておくのは危険なので、貴重品とラケットを手にして更衣室を雪子と一緒に出る。
「今日も、飲み会するよ。もちろん参加だよねー」
「っていうか、あんた本当に好きよね」
「えー?そうでもないよー」
嘘つけと深岬は心の中で呟いた。
そして、今日もアレを見る羽目になるのかと少し嘆息した。
アレというのは、雪子と小島がべったりする所。
まぁ一方的に雪子が小島を掴んで離さないのだが、小島も別に抵抗もしないから雪子がますますエスカレートするのではないんだろうかと深岬は冷静に分析する。
雪子は傍から見たら誰でもわかるくらいに小島が好きだというオーラが出ているのだが、小島は全くそんな様子を見せない。
普段、あまり自分から話をしない小島はどこか掴みにくい。
こちらから話しかければきちんと返事を返してはくれるし、面白ければ笑いもする。
けど、やっぱり一種のとっつきにくさのようなものがある。
これでもましになったほうだと雪子も坂上も声を揃えて言うが、何分彼らのような親しみやすい人間と比べてしまうとどうもまだ近寄りにくい。
練習を終えた後、帰ると言っているのに無理やり雪子の家に連れて行かれて何度目になるかわからない飲み会。
こんなんだから新しく入ってきた子達にも新入生に見られないんだと思わざるを得ない深岬だった。
新入生としては、初めに部に顔を出していた深岬は勿論のこと連日のように入れ替わり立ち替わり現れる新入生の姿に、深岬だけじゃなく上級生も把握ができずに困る結果になっていった。
そこそこ真面目に練習には取り組んでいるもののバドミントン一筋という訳でなく、部活もやって他のことも適度に楽しみたいというような人間の集まりだ。
初心者を敬遠するような部の雰囲気でもないことが、それに拍車をかけていたのかもしれない。
現に、上級生の半分は初心者で始めたものもいるし、見学に来た新入生も大半は初心者ばかり。
そうこうしているうちに、練習に参加する新入生の数も増えていった。
もう何がなんだかわからない状態。
「今年は、一体どうしたんだ?」
と首を傾げるのは上級生。
「今、何人?」
「数だけで言ったらざっと15人は入部確定」
「うわーすげっ」
「俺らの年って、10人だけで残ったの2年に上がって6人しか残ってねぇし」
練習後、すっかり恒例となった食事に連れて行って貰った先での上級生の話にもくもくと食事を口に運びながら耳を傾ける深岬。
今日は、深岬の他に2人参加者が居た。深岬の他に、男と女が1人ずつ。
どうやって話に絡んだらいいかもわからなくて黙ったまま聞いているしかなかった。
笑いながら言ったのは、坂上で、彼は続けて言う。
「今年は何人残るかなぁ、半分残ればいいほうだな」
「っつーか、坂上、気がはえーよ。まだ新歓も終わってねぇだろ」
「ホントだよ~」
上級生が笑い飛ばすのに合わせるように笑うしか深岬たちにはできなかった。
一コマ目からの授業ははっきり言って面倒くさい。
朝早く起きなきゃならないし、それこそ本当に前日大学の近く…雪子の家にでも泊めてもらって学校に行きたくなるくらい面倒。
家を出るのは、6時半位に出なくちゃならない。
それこそ、じゃあ一コマ目の授業を取らなければいいという話になりそうだが、そうは上手くいかないというもの。
その授業が必修の課目だったりするものだから厄介なのだ。
電車に揺られながらうとうとする。
辛うじて席を確保できた日はまだいいが、できなかった日なんて最悪だ。
乗り換えも含めて2時間近く電車で立ちっ放しはつらい。
不思議なもので、まるで体内に正確な時計でも備えているかのように大学近くの駅になると目が覚める。
ぼうっとして働かない頭で電車を降りると大学に向かう。
眠い目を擦って教室に入ると後ろからぽんっと背中を叩かれる。
振り返ると涼子の姿がある。
「おはよ…」
「おはよう。眠い」
「眠いねぇ」
いつもよりか2割り増しで間延びした声で言う深岬に軽く笑いながら涼子は相槌を打つと空いている席に二人で並んで座る。
カバンの中からノートを取り出す。
「何で、一コマからこんな授業があるんだか…」
「あはは、仕方ないよ~昨日も部活だっけ?」
深岬のぼやきに律儀に返してくれる涼子の問いに頷く。
結局、涼子は適当に選んでテニスサークルに入ったようだった。
やっぱりサークルと部活では何か違うものがあるようなのは、深岬も感じ取っていた。
「うん、今日は休みだけどね…。今さ、新入生が凄くてさ」
「凄いって?」
「増殖中」
「うそ~」
「先輩達も首傾げるくらいだよ」
「それは、凄いね」
「名前覚えらんなくて困る」
と深岬が言うと涼子は可愛く笑った。
自然とクラス中の視線が涼子に集まっているのが深岬には、分かった。
涼子はなれているのかあまり気にしたような様子はなく、その後も普通に会話をする2人だった。
5コマまで授業のある日は、それだけで疲れてしまう。
練習をしている体育館に顔を出すと今日も見知らぬ顔が増えている。
「こんにちわ~」
と言って入っていくと坂上に手招きをされる。
何だろうと首をかしげながら入っていく。
「新入生だって。すっかり馴染んでるけどこっちも新入生ね。深岬ちゃんって言う名前」
「え、そうなんですか?普通に入ってくるからてっきり上級生かと思いましたよ」
笑いながら言われた深岬は、そりゃあ早くから参加してたら嫌でも慣れるわと口には出さないものの心の中で毒づいた。
「進藤 深岬です」
「片岡 麻美です。よろしくね」
「深岬ちゃんと一緒で経験者だって」
「へー、そうなんですか」
あまり感慨もなく答える。
総合大学なだけに学部数も学生の数も多い。
注目を集める機会も増えてきたとはいえ、まだメジャーとは言い難いスポーツだが、数撃ちゃ当たるとは言ったもので何人かは経験者くらいいるだろうと思って深岬はあまり深く考えずに答えた。
「反応薄いなぁー」
「だって、そりゃあいるでしょ。経験者の1人や2人」
「それはねー今年の入部希望の子って経験者が少ないんだよ」
と答えをくれたのは、いつの間にか近くに来ていたこの部の部長だった。
深岬から見ると2学年上にあたる。
「あー、そうなんですか?」
「そう。だから重宝しないとね?」
「いや、初心者でも強くなる子は強くなるんじゃないですか?テニスやってた子とかなんか特に…」
「あ、でもやる気が違うから」
『私、やる気あんまりありませんけど…』とは口にし難かった。
もともと、学科では期待ができそうになかった友達が出来ればいいという程度にしか思っていないのだ。
ものすごく居た堪れない感じがしてきた深岬は、適当に着替えに行くと誤魔化して輪の中を抜け出した。
着替えていると更衣室に雪子が入ってくる。
顔を向けると雪子も深岬を見つけて寄ってきては、手にしていた荷物を深岬に渡してくる。
「ほら、ラケットとシューズ」
「ありがと」
いちいち持ってくるのが面倒なラケットとシューズを雪子から受け取りながら礼を述べる。
雪子が預かってくれるという言葉に甘えて、預けっぱなしにしていた。
部室も一応あることにはあるのだが、狭くて個人のものはあまり置けるような状況じゃなかったので雪子が提案してくれたのに飛びついた。
一応、最初にまずいかなと思った深岬だったが、いちいち、毎回家から持ってくる面倒くささには敵わなかった。
「また新しい子来たって?」
「うん。さっき坂上さんが紹介してくれた。経験者らしいよ」
「今年、経験者少ないからなぁ」
とぼやくように言う雪子。
やっぱり気になるところらしい。
着替えを終えて、靴を履き替える。
誰でも出入りできる更衣室に貴重品を置いておくのは危険なので、貴重品とラケットを手にして更衣室を雪子と一緒に出る。
「今日も、飲み会するよ。もちろん参加だよねー」
「っていうか、あんた本当に好きよね」
「えー?そうでもないよー」
嘘つけと深岬は心の中で呟いた。
そして、今日もアレを見る羽目になるのかと少し嘆息した。
アレというのは、雪子と小島がべったりする所。
まぁ一方的に雪子が小島を掴んで離さないのだが、小島も別に抵抗もしないから雪子がますますエスカレートするのではないんだろうかと深岬は冷静に分析する。
雪子は傍から見たら誰でもわかるくらいに小島が好きだというオーラが出ているのだが、小島は全くそんな様子を見せない。
普段、あまり自分から話をしない小島はどこか掴みにくい。
こちらから話しかければきちんと返事を返してはくれるし、面白ければ笑いもする。
けど、やっぱり一種のとっつきにくさのようなものがある。
これでもましになったほうだと雪子も坂上も声を揃えて言うが、何分彼らのような親しみやすい人間と比べてしまうとどうもまだ近寄りにくい。
練習を終えた後、帰ると言っているのに無理やり雪子の家に連れて行かれて何度目になるかわからない飲み会。
こんなんだから新しく入ってきた子達にも新入生に見られないんだと思わざるを得ない深岬だった。
2007
一周年企画 西 先生と生徒 UPしました。
今日は、勢いで思いつくままに息吹話を考えたんですけど、息吹の苗字を忘れてさぁ大変。
読み返したりして、思い出すのに1時間かかりましたよ。
困った。弱った。
本当は、こっちをUPしようかと思ったんですけど、一周年企画を終わらせる方が先かと思って一周年企画UPです。
今日は、勢いで思いつくままに息吹話を考えたんですけど、息吹の苗字を忘れてさぁ大変。
読み返したりして、思い出すのに1時間かかりましたよ。
困った。弱った。
本当は、こっちをUPしようかと思ったんですけど、一周年企画を終わらせる方が先かと思って一周年企画UPです。
2007
2バック(200m背泳ぎ)で金メダルを取った高校生が可愛かったです。
関係ありませんね…。
一周年企画 講座 幼馴染
完全別人と化してますが、笑って読みとばしてください。
今日は、何か中途半端な一日だったなぁ。
研究もテキトーやったし、話も一話も書かずに…。
時間よカムバック。
peko様。隠しページのヒント、メール送信しました。
ご確認ください。